【米国株】6月第3週の株価動向と今後の注目ポイントを解説!

心得
  • 23日(月)米6月製造業PMI発表
  • 26日(木)米6月中古住宅販売成約件数発表
  • アメリカ介入による中東情勢の泥沼化

これまでの動き

先週の米国株は、様々な要因が交錯する中で全体としてやや軟調な展開となり、投資家の間には警戒感と期待感が交錯する一週間となりました。

S&P500指数は高値圏でのもみ合いを続ける中、週末にかけてわずかに下落し、ナスダック総合指数もAI関連銘柄の利益確定売りが重なり小幅に下落、ダウ平均は方向感を欠いたまま横ばい圏で推移しました。

市場を取り巻く最大の材料は6月18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)であり、政策金利は4.25〜4.5%に据え置かれたものの、パウエルFRB議長が年内の利下げ回数を1回と見込む慎重な見通しを示したことで、早期利下げへの期待がやや後退し株式市場の買い意欲を冷やしました。

これにより長期金利はやや上昇し、ハイテク株を中心に重しとなりましたが、一方でFRB理事の中にはインフレが鈍化すれば7月利下げも可能といった柔軟な見解を示す発言もあり、市場全体としては完全なリスクオフには至らず、投資家は慎重ながらも次の展開を見据える姿勢を保っていました。

加えて、今週は経済指標の弱さも相場の足を引っ張りました。

特に5月の小売売上高が駆け込み需要の反動もあり、市場予想を大きく下回ったことに加え、新規失業保険申請件数も増加傾向を示し、米国経済の減速懸念が強まりました。

こうした流れの中で、景気敏感株や消費関連株には売りが集まりました。

一方、外部要因として注目されたのが中東地域の地政学的リスクです。

イスラエルとイラン間の緊張が再燃し、原油価格が一時77ドル台まで上昇したことで、エネルギー関連株は買われ、相場の下支えとなりました。

さらに、防衛関連銘柄であるロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンなども地政学リスクの高まりを背景に上昇し、安全資産としての魅力が再認識されました。

また、金価格も安全資産需要の高まりを受けて年初来の上昇を記録しており、資金の逃避先として存在感を示しています。

セクター別では、エネルギー、AI・半導体、防衛といったテーマ性のある銘柄群が市場を下支えする一方、金融や消費関連、工業セクターは軟調に推移し、指数全体の上昇を抑える要因となりました。

特に半導体関連では、NVIDIAやAMD、Micronなどが引き続き堅調で、AI向け需要やデータセンター投資の拡大が株価を支えています。

企業決算では、好決算を発表した企業が買い材料となった一方、決算内容の悪い企業は大きく売られるなど、明暗が分かれました。

市場全体としては、VIX(恐怖指数)が20前後で推移しており、過度な悲観が広がっているわけではないものの、積極的なリスク選好にも至らず、堅調なセクターを選別する動きが強まりつつあります。

今後の注目材料としては、6月28日に発表予定のPCEデフレーター(FRBが注目するインフレ指標)や、7月末のFOMCにおける利下げ有無の判断があり、これらのイベントを通じて金融政策の方向性が明確になることで、株式市場にも新たなトレンドが生まれる可能性があります。

加えて、中東情勢ウクライナ情勢など地政学的リスクの動向も無視できず、引き続き市場のボラティリティを高める要因となりそうです。

このように、2025年6月第3週の米国株市場は、金融政策・経済指標・地政学リスクという三つの不透明要因が交錯する中で、短期的な方向感に欠ける展開となったものの、AIやエネルギーといった成長テーマには資金が集中し、全体としてはバランスを取りながら推移した一週間でした。

投資家としては、今後のFOMCやインフレ指標の結果を見極めつつ、分散投資を軸に防御と攻めを使い分ける戦略が求められるフェーズに入ったと言えるでしょう。

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これからの投資戦略

地政学リスクによる株安に注意しましょう

今週の米国株は、経済指標や企業決算だけでなく、中東情勢の急激な悪化が市場心理に大きな影響を及ぼす重要なファクターとなっています。

特に、アメリカ軍がイランに対して限定的な軍事攻撃を実施したことが、地域の緊張を一気に高める引き金となりました。

今回の攻撃は、イランの核関連施設やミサイル基地に対する精密な空爆であり、アメリカ政府はこれを防衛的措置と位置付けていますが、イラン側は強く反発し、報復を警告しています。

この動きにより、中東全域での軍事的緊張が急速に高まり、イスラエルやサウジアラビアといった主要国も警戒を強めています。

実際に、ホルムズ海峡付近での船舶攻撃やドローン襲撃が報告されており、原油の供給ルートの安全性に対する懸念が急増しています。

このため、原油先物価格は一時77ドル台近くまで上昇し、世界的なエネルギー価格の高騰リスクが顕在化しています。

世界最大の産油国である米国は、ホルムズ海峡等のエネルギー航路に依存していないためリスクは軽微ですが、世界的に見ればこの航路は世界中のエネルギーの主要部分を担う大事な役割があるため、世界的な株安になる可能性も否定できません。

こうした地政学リスクの高まりは、株式市場においては防衛関連銘柄の買いを誘発し、ロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンなどの株価は上昇傾向を示していますが、一方で輸送業や消費関連銘柄には不安心理から売りが先行しています。

また、安全資産である金の価格も急騰しており、投資家のリスク回避姿勢が鮮明になっています。

加えて、エネルギー需要の高まりでドルが再び急騰する可能性もあり、海外投資家は一概に厳しい状況とも言い難いのが難しい所です。

このように、アメリカのイラン攻撃による中東情勢の悪化は、経済指標や企業決算と並んで今週の米国株を揺るがす大きな要因となっており、市場のボラティリティを押し上げるとともに、投資家の慎重姿勢を強める材料となっています。

加えて、トランプ関税も90日間の猶予期限が7月上旬に迫っており、交渉の進展が無い多くの対象国への対応が注目されます。

今後も中東地域での軍事衝突の拡大や原油供給の不安定化が懸念されるため、投資家はこのリスクを踏まえた上で、ポートフォリオの防御強化や分散投資の重要性を改めて認識する必要があります。

まとめ

いかがでしたか?

米国の軍事介入によって、中東情勢の緊迫感は日に日に上昇しています。

このまま泥沼化するのか、それとも何とか外交努力で解決するのか。

2025年の株価を占う重要な場面に直面するでしょう。

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