近年、SNSやYouTubeでは、高配当株こそ安心、キャッシュフローが安定するから初心者は高配当株から始めるべきといったインフルエンサーの主張があふれています。
一方で同じ個別株投資であるはずの優待株については、株主優待はおまけに過ぎない、優待目当ての投資は間違っていると強く否定される傾向があります。
しかし、この扱いの差に違和感を覚えたことはありませんか?
実は、SNSで語られる、高配当株は推奨、優待株は否定という構図には、投資論としての合理性よりも、インフルエンサー側の都合の良い論理が深く関係しています。
表向きはもっともらしい理由が並びますが、高配当株が推される理由も、優待株が叩かれる理由も、冷静に分析すると矛盾だらけです。
しかも、どちらも本質的には同じ個別株投資であり高リスクであることに変わりはありません。
それにも関わらず、初心者に誤った印象を与える情報が拡散され、結果として遠回りする投資家が後を絶ちません。
本記事では、有名インフルエンサーたちの主張で頻繁に語られる
- 高配当株はキャッシュフローが安定する
- 今すぐ恩恵を受けられてモチベが続く
- 株主優待はおまけなので投資判断に使うべきではない
といった意見をひとつひとつ分解し、なぜ高配当株だけが持ち上げられ優待株だけが否定されるのか、その矛盾した構造を明確に解説します。
そして最後に、SNSの雑音に惑わされず、初心者が迷わず資産形成を進めるための投資の本質も提示します。
SNSの情報に少しでも違和感を覚えている方は、ぜひ最後まで読んでください。
この記事を読み終える頃には、騒がしい情報に振り回されることなく、冷静に資産形成を進めるための正しい判断軸が身につきます。
高配当株を推すインフルエンサーの論理の裏側
SNSやYouTubeで高配当株が強烈に推される背景には、インフルエンサー側の発信都合が大きく影響しています。
表向きには、キャッシュフローが安定する、今すぐ恩恵を受けられる、モチベーションが維持できるといった魅力が語られますが、その多くは心理的効果を強調したもので、投資としての本質を必ずしも表してはいません。
まず、キャッシュフローが安定するという主張ですが、配当金は企業が生み出した利益の一部ではなく、企業の資産を株主側に移転しているだけです。
配当が出れば、その分だけ企業価値は下がります。
これは基本的な企業財務の仕組みですが、配当金を推すインフルエンサーが明確に説明することはほとんどありません。
安定という言葉が一人歩きし、実態より大きく見せられているのが現実です。
次に、現在の恩恵があるからモチベーションが続くという主張。
これは投資初心者にとっては確かに魅力的ですが、実はインフルエンサー自身にとっても美味しい構造があります。
配当金はスクショで視覚的に見せやすく、今月の配当金〇万円!と投稿するとSNSでバズりやすい。
含み損でも配当金の画像だけでポジティブな発信ができるため、フォロワー獲得に非常に相性がいいのです。
この見せやすさが、高配当株推しが強まる一因となっています。
また、株価下落時も配当があるから耐えられるという意見もよく見かけます。
しかし実際には、株価が大きく下がったとき配当金でその損失を補えることはほぼありません。
市場が悪化すれば減配リスクも高まり、心理的な安心感が投資成果に直結するわけでもないのです。
つまり、高配当株が推される理由の多くは、投資家にとっての合理性よりも、インフルエンサーが語りやすい・拡散されやすい・収益化しやすいという発信側の都合が強く反映されているというのが実態です。
初心者はこの構造を理解した上で、冷静に判断する必要があります。
株主優待株が叩かれる理由
高配当株が持ち上げられる一方で、株主優待株はインフルエンサー界隈で過剰に否定されがちです。
その理由は一見合理的な投資論に見えますが、実際には情報発信側の都合が大きく影響しています。
よく見られる主張は、株主優待はあくまでおまけでありそれ目当てで投資するのは間違い、優待はコストがかかるため企業価値を毀損する、海外投資家が評価しないから株価が伸びにくいといったものです。
確かにこれらには一理ありますが、話が必要以上に大げさに語られ、優待=悪のような極端な構図が作られていることが問題です。
なぜここまで優待株は叩かれるのか。
その理由のひとつは、優待制度の説明が複雑で、インフルエンサーにとって扱いにくいテーマだからです。
優待には自社グループの割引券、商品券、食品など多様性があり一つの指標で語れません。
高配当株のように利回り◯%とシンプルに説明できず、YouTubeやSNSでバズりにくい。
つまり、インフルエンサー側の発信効率の悪さが、優待株を避けたい本当の理由なのです。
もう一つの理由は、優待銘柄を初心者が誤解しやすいこと。
優待をもらえる楽しさだけが先行し、企業価値や業績分析が後回しになりがちです。
この誤解しやすい性質が叩かれやすさにつながっています。
そして、インフルエンサーは間違っている初心者を批判することで知識マウントを取りやすく、発信者としての権威性も高められるのです。
さらに本質的には、高配当株も優待株も同じ個別株投資であり、企業の業績悪化や減配・優待廃止などのリスクは本質的に変わりません。
それにもかかわらず、高配当株は持ち上げられ、優待株だけが不合理なほど叩かれる。
この構図自体が、発信者側の視聴数・クリック数を最大化するための都合の良い情報操作に過ぎないのです。
高配当株も優待株も同じ個別株投資でリスクは同一
高配当株と優待株のどちらが良いかという議論はSNSで終わりなく続きますが、投資の本質から見れば、このテーマ自体に大きな意味はありません。
なぜなら、高配当株も優待株も同じ個別株投資であり、企業の業績次第で利益も損失も大きく変動する高リスク投資だからです。
配当という名のキャッシュフローがあるか、優待という目に見えるリターンがあるかという違いはあっても、それは単なる利益の出し方の違いでしかありません。
本質的なリスク要因は共通しています。
業績が悪化すれば株価は下落し、減配や無配、さらには優待廃止が起こる。
どちらを選んだとしても、企業そのものが成長し続けなければ投資としての価値は維持できません。
つまり、高配当株=安全、優待株=危険という二項対立は完全に誤りなのです。
しかしSNSでは、高配当株を推す側は、キャッシュフローが安定、今すぐ恩恵がある、心理的に続けやすいとプラス要素を強調し、優待株を否定する側は、優待はコスト、おまけに惑わされるなと批判する。
初心者はこの都合よく切り取られた情報に引き寄せられ、あたかも高配当株が低リスクで優れた投資法であるかのように錯覚してしまうのです。
だが、どれだけ高配当でも、企業が倒れれば株価はゼロ。
どれだけ魅力的な優待でも、業績が悪化すれば廃止される。
これは全ての個別株に共通する絶対的なリスクであり、そこから逃れる方法はありません。
むしろ、配当や優待といった目に見えるリターンに気を取られ、本質である企業価値の分析が疎かになる方がよほど危険です。
結局のところ、個別株投資はどの銘柄を選ぶかがすべてであり、高配当か優待かという議論は枝葉でしかありません。
初心者こそ、この視点を見誤らないことが資産形成の成功につながるのです。
投資初心者はキャッシュフロー幻想に惑わされるな
高配当株が人気化する最大の理由は、定期的にお金が入ってくるというキャッシュフローの魅力が、初心者の心理に強烈に刺さるからです。
口座に振り込まれる数千円、数万円の配当は、小さな成功体験として脳に刻まれ、まるで不労所得の階段を登っているような錯覚を与えます。
しかし、ここにこそ初心者が陥りやすい最大の罠があります。
キャッシュフローがあるというだけで、安全性や成長性まで高いと錯覚してしまうキャッシュフロー幻想です。
資産形成で本当に重要なのは、リターンの源泉がどこから来ているのかを理解すること。
配当も優待も企業の利益という同じ源泉から支払われています。
企業が成長しなければ、配当は維持できず優待も成立しない。
つまり、配当や優待という見えるリターンは副産物にすぎず、本質は企業価値そのものの成長なのです。
しかしSNSでは、キャッシュフローが得られる投資は紙一重で、安心、堅実と語られます。
インフルエンサーにとっても、高配当株は視聴率が取れ、広告収益が伸び、初心者が食いつくテーマとして最適です。
そのため、都合よくキャッシュフロー=正義という構造が作り上げられています。
一方で、投資初心者が本当に理解すべきは、キャッシュフローが出るかどうかではなく、企業が稼ぐ力を持っているかどうかです。
優良企業は配当も優待も継続できますが、企業価値が停滞・崩壊すればどちらも消えます。
この当たり前の本質が、華やかなSNSの情報の中でかき消されているのです。
資産形成の目的は、短期的な小さなキャッシュフローを拾い集めることではありません。
長期で資産を増やすこと。
そのためには、配当利回りや優待品ではなく、企業の収益性・競争力・成長力に目を向けるべきです。
まとめ
いかがでしたか?
あなたもSNSやYouTubeで有名とされる素人インフルエンサー等から、高配当株投資は魅力、株主優待株投資は危険と聞いたことはありませんか?
しかし、投資の本質から見るとこの議論はほとんど意味がありません。
高配当株も優待株もどちらも個別株投資であり、一つの企業の業績に左右される高リスク資産です。
配当や優待は目に見えるリターンに過ぎず、投資判断の根拠にするべきではありません。
SNSで強調される派手なメリットや短期的な恩恵は、初心者に誤った安心感を与えるだけです。
では、初心者はどこから資産形成を始めるべきでしょうか。
答えはシンプルでインデックス投資です。
インデックス投資は、株価指数に連動する金融商品に分散投資する方法であり、個別株のような企業リスクに左右されにくく、長期的に安定した成長が期待できます。
高配当株や優待株に目を奪われ、個別株の損失リスクで挫折するよりも、まずインデックス投資で市場全体に投資する習慣を身につけることが、資産形成の第一歩として最も安全かつ合理的です。
つまり、SNSの議論やインフルエンサーの主張に振り回されず、長期・分散・低コストというインデックス投資の本質を理解することが、初心者にとって最大の近道です。
配当や優待の誘惑に惑わされず、まず市場全体の成長に身を委ねること。
それこそが、無理なく資産を増やし、投資の本質を学ぶ最初のステップとなります。
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