- 22日(木)米5月製造業PMI発表
- 22日(木)米4月中古住宅販売件数発表
- 注目決算が続々登場
これまでの動き
先週の米国株は、主要3指数が大幅に上昇し、年初来の損失を取り戻す力強い反発を見せました。
S&P 500は5.3%、ナスダック総合指数は7.2%、ダウ平均は3.4%の週間上昇を記録し、特にナスダックは4月の安値から20%以上の上昇で短期的な強気相場入りとなりました。
この上昇の背景には、米中貿易摩擦の緩和、AI関連銘柄の好調、強い企業決算、そして米国債の格下げという複数の要因が絡み合っています。
まず、米中貿易摩擦の緩和が市場に大きな安心感をもたらしました。
5月12日、米中両国は90日間の関税停止と相互の関税引き下げに合意しました。
米国は中国製品への関税を145%から30%に、中国は米国製品への関税を125%から10%に引き下げることで合意し、これが市場の大幅な反発を促しました。
これは、トランプショックの主因でもあるため、このリスクが緩和された事が投資家にとって非常に好感されました。
これにより、AI関連銘柄に対する投資家の期待が高まり、エヌビディアやブロードコムなどのAI関連銘柄や半導体セクターが買われ、ナスダックを中心に市場全体の上昇を牽引しました。
とくにブロードコムは週間で9.8%上昇し、AI分野への強気な市場心理を反映しています。
これまでの下落要因であったAI過剰投資や半導体の需要落ち込みなどが嘘のように霧散した事で、その旺盛な需要が再び注目されました。
なお、エヌビディアの決算は、2025年5月28日の米国市場終了後に予定されています。
この発表では、2026会計年度第1四半期の業績が報告される予定です 。
決算発表では、AI関連の需要や新製品の展開がどのように業績に影響を与えているかが注目されます。
特に、サウジアラビアのAI企業Humainとの提携による500メガワットのデータセンター建設プロジェクトが話題となっており、これが今後の業績にどのように寄与するかが焦点となります。
世界中の投資家や市場関係者は、5月28日の決算発表を注視しており、AI市場の成長やエヌビディアの業績が今後の株価にどのような影響を与えるかに関心が集まっています。
決算発表後の動向に注目しましょう。
さらに、小売大手のウォルマートが好調な決算を発表し、消費者の購買力の強さを示しました。
ただし、同社はインフレ圧力により価格のさらなる上昇を警告しており、今後の消費動向に注目が集まっています。
一方、ムーディーズが米国の信用格付けを「Aaa」から「Aa1」に引き下げましたが、市場への影響は限定的でした。
これは、2011年のS&Pによる格下げ以降、機関投資家がリスク管理を強化していたためと考えられます。
米国は、日本や英国と同様に変動相場制で自国通貨建ての国債を発行する先進国なので、本来民間企業の格付けなど気にする必要はありません。
しかし、債券投資家の中には古典的な知識の投資家も多く、格付けによる利回り上昇を危惧する動きも多少見られます。
特に大きな影響はありませんが、短期的な変動には注意が必要かもしれません。
これからの投資戦略
この上昇期間に保有銘柄を整理しましょう。
今週の米国株は、米国の主要小売企業の決算発表が相次ぎ四半期決算を公表する予定です。
これらの企業は消費者動向の先行指標と見なされており、特にインフレや金利高が個人消費に与える影響を測るうえで、決算内容が注視されています。
加えて、FRB(米連邦準備制度理事会)の高官による講演が連日予定されており、ジェファーソン副議長、ウィリアムズNY連銀総裁、ボスティック・ローガン・デイリー・ムサレムら各地区連銀総裁が発言を行う予定です。
多くの投資家は、これらの発言から利下げの時期やインフレの持続性に関するヒントを探ろうとしています。
さらに、5月22日には5月のS&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値や中古住宅販売件数など経済の強弱を占う重要指標が発表され、翌23日には新築住宅販売件数が公表されます。
不動産指標は消費マインドの変化や金利の影響を測る上でも重要であり、マーケットの反応が予想されます。
また、直近ではムーディーズが米国の長期国債格付けを「Aaa」から「Aa1」に引き下げたことも市場のセンチメントに影を落としており、今週のリスク要因の一つとなっています。
さらに、エヌビディアの決算発表が翌週28日に控えていることから、AI関連銘柄に対する期待が先行し、投資家の関心が高まっています。
直近の株価上昇は、米中の関税交渉合意によるポジティブ要因が大きかったですが、今後はトランプ関税に関する発言を気にしつつ注目企業の決算内容にも注視する必要があります。
短期的な上昇局面はまだ続くと考えられますが、リスクを意識しながら慎重な行動をしていきましょう。
それが難しいようなら、世界には米国株よりパフォーマンスの良い市場はいくらでもありますので、世界を広く見てみるのも良いかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
解放の日の急落から一転して、年初来プラスの勢いを保ったまま値運びが軽い相場が続いています。
他の投資家が浮かれている時は慎重に、上昇の波に乗りつつ過度な楽観視はしない。
この考えで相場を向き合うのが良いでしょう。
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