- 13日(火)米4月CPI発表
- 15日(木)米4月小売売上高発表
- ドイツ首脳のインフレ懸念の行方
これまでの動き
先週の米国株は、前週の急騰からの反動や米中貿易交渉の行方を巡る不透明感、加えて米経済指標の悪化といった複数の要因が重なったことで、すべてが小幅な下落に転じる展開となりました。
主要指数は、S&P500は週間で0.5%の下落、ダウ平均は0.2%安、ナスダック総合も0.3%のマイナスを記録しました。
特に注目を集めたのは、5月9日にスイス・ジュネーブで開催された米中貿易交渉が生産的と評価されたものの、具体的な合意や詳細が明かされなかったことで投資家の期待感がやや冷やされました。
トランプ大統領が表明した中国製品への関税を145%から80%に引き下げる方針についても、具体的な交渉内容や合意形成が無い事などが好材料とならない原因の一つとなりました。
一方で、米英の関税交渉の成立は、これから米国と親密な関係を維持してきた国々の合意形成が続々と発表されるのではないかとの期待が投資家に好感され、再び上昇する場面もありました。
しかし、4月に発表された2025年第一四半期の実質GDP成長率が年率換算でマイナス0.3%と予想外のマイナス成長に転落したことが景気後退懸念を強めた要因となりました。
輸入急増による貿易赤字の拡大が主因であるとはいえ、投資家の間では成長のエンジンが鈍ってきたとの見方が強まり、ネガティブ要因と捉えられました。
ただし、同時期に発表された4月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は17万7,000人増加と底堅さを示し、失業率も依然として4%台前半の水準で推移するなど労働市場の強さが一定の支えにはなりました。
インフレ指標の再加速が危惧される中での経済減速は、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策運営にも影を落とし、5月のFOMC会合では政策金利を5.25~5.50%で据え置いたものの、パウエル議長が記者会見でインフレリスクと失業リスクの両睨みでの政策判断が求められる局面にあると発言したことから、年内の利下げ期待に再びブレーキがかかった格好となりました。
あくまで様子見の発言を貫いたパウエル議長から、2025年の利下げ回数が投資家の予想通りにならず、利下げ時期の遅れは投資家の失望を買う結果となりました。
更に、リバウンドしていたハイテク株に対しても調整売りの動きが広がり、これまで相場をけん引してきた半導体やAI関連銘柄にも利益確定の売りが入りました。
一部はバリュー株や高配当株といったディフェンシブセクターへの資金シフトが徐々に進行する一方、FRBのスタンスを見極める上で今後発表されるCPI(消費者物価指数)や小売売上高といった重要経済指標への注目度が高まっています。
先週の米国株は、景気の減速懸念と利下げ期待の後退、加えて地政学リスクを含めた外部環境の不透明さが交錯する中で神経質な展開となったが、短期的には上昇局面に入ったとの見方もある一方で、中長期的には依然としてトランプ関税の影響が本格化した際のダメージに警戒しており、不透明感の高まりが株式市場に悪影響を及ぼす可能性があります。
投資家としてはボラティリティの高い相場の中でも、分散投資やセクター選定によるリスクヘッジを意識しつつ、米中交渉の進展やFRBの姿勢を冷静に見極める戦略が求められる重要な局面にあります。
これからの投資戦略
トランプ関税の影響に注意しましょう。
今週の米国株は、重要な経済指標の発表が相次ぐため、FRBの動向とともに注目する必要があるでしょう。
まず、5月13日には米国の4月CPIが発表され、米国経済の実態が明らかになるため、今後の利下げ政策への影響は高いでしょう。
15日には、米国の4月小売売上高が発表され、米国GDP(国内総生産)の6~7割を占める個人消費の動向が確認できます。
米国の実体経済がどこまで後退しているのか、それとも今の物価上昇に適応しているのかなどが判断できます。
これらの経済指標の発表により、米国経済の現状や先行きに対する市場の見方が形成され、株式市場の動向に影響を与える可能性があります。
特に、インフレ指標や消費関連データは、FRBの金融政策に対する市場の期待を左右する要因となります。
投資家の間でも、6月に期待されていた利下げも可能性が低いと考え、現状維持の確率が8割を超えています。
7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%利下げの可能性は5割に達しているものの、FRBの姿勢によってはこれも先送りになる可能性は高いです。
利下げ時期が遅れれば遅れるほど投資家の失望感は高まり、再び株価が調整局面を迎えても可笑しくはありません。
今の上昇基調が力強い反発であると考えるのは止めましょう。
まとめ
いかがでしたか?
束の間のラリーで保有銘柄を選別できていると思います。
この短期間の内に、次に来る調整局面に向けて銘柄を分散させたり現金比率を高めておきましょう。
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