- 9日(月)米中閣僚級協議開始
- 11日(水)米5月CPI発表
- 米中関税交渉の進展は?
これまでの動き
先週の米国株は、全体的に上昇基調を強める一週間となり、主要3指数はいずれも堅調に推移しました。
S&P500は週を通じて約+1.5%上昇し、心理的節目である6,000ポイントを回復する場面も見られました。
特にナスダックは、テクノロジー関連株の好決算やAI需要の強さに支えられ、約+2.2%の上昇を記録しました。
中小型株の指標であるラッセル2000も約+3.2%上昇し、投資家のリスク選好姿勢が強まっていることがうかがえます。
週末には5月の雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数が予想を上回る13.9万人の増加を示したものの、前月分の大幅な下方修正とあわせて、労働市場の適度な減速とインフレ圧力の緩和を同時に示唆する結果となりました。
失業率は4.2%と横ばい、賃金上昇率も前年比3.9%と高水準を維持しているものの、市場はこれを景気の底堅さを維持しつつ、インフレ懸念はやや後退と捉え、リスク資産への資金流入が加速しました。
加えて、テクノロジーセクターではGoogle、Amazon、Microsoftなどの大型銘柄がAI関連事業の進展を背景に投資家から高評価を受け、ナスダック総合指数の上昇を牽引しました。
また、米中貿易摩擦に関しては、トランプ政権による追加関税の一部見直しや交渉再開の可能性を示す報道もあり、月曜から始まる関税交渉をポジティブ材料として織り込みました。
一方で、株価上昇が続く中、過熱感も一部で指摘されており、Bank of Americaは市場は2つの主要な売りシグナルに近づいているとして警戒を呼びかけ、Barron’sもS&P500が6,000ポイントを上抜けるには更なる材料が必要と報じるなど、短期的なテクニカル調整の可能性も意識され始めています。
とはいえ、週全体としては、好調なマクロ経済指標、企業業績の改善、インフレ期待の安定といった複数の好材料が揃い、米国株式市場は総じてリスクオンの地合いを強める展開となりました。
これからの投資戦略
短期的な値動きに注意をしましょう。
今週の米国株市場は、インフレ指標の発表や米中貿易協議、テクノロジー業界の重要イベントが重なる週となり、投資家にとって極めて注目度の高い一週間となる見通しです。
週明けの9日にはロンドンで米中高官による貿易協議が予定されており、関税や供給網に関する議論が前進すれば市場心理にプラスとなり、リスク資産への選好が強まる可能性があります。
同日にはAppleが年次開発者会議WWDCの基調講演を実施し、AI関連の新機能や製品発表が見込まれています。
このニュースは、テック株、特にApple株の値動きが相場全体に影響を与えると見られています。
10日にはミーム株として知られるGameStopの決算と、OracleやAdobeの決算発表が控えており、個別銘柄中心にボラティリティが高まることが予想されます。
市場の最大の注目は、11日発表の5月CPI(消費者物価指数)であり、インフレ圧力が沈静化すればFRBによる早期利下げ観測が再燃し、株価の追い風になる可能性がある一方、予想を上回るインフレが示されれば利下げ期待は後退し、ハイテク株を中心に売りが強まる恐れもあります。
今後の金利政策に関するヒントが示されれば、市場の方向性を大きく左右する材料となるかもしれません。
これら複数の材料を受け、特にテクノロジー株と小型株が注目されており、Appleのイベントを契機としたAI関連銘柄の再評価など、週の後半には上昇基調が強まる展開も期待されそうです。
総じて、インフレ指標とFRBのスタンス、加えてテック業界の動向が交錯する今週の米国株は、高い注目とともに一段の値動きの大きさが見込まれます。
これまで苦戦してきた米国株ですが、ここにきて投資家にとって心地よい動きで楽観的な動きも見られます。
しかし、トランプ関税の行方ははっきりしておらず、その影響など今後の動きには注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
短期的な上昇基調に惑わされる事なく、大局的視点で状況を判断しましょう。
場合によっては、保有銘柄の整理をしながら次の大きな動きに備える必要もあります。
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