- 23日(水)米6月中古住宅販売件数発表
- 24日(木)欧7月ECB政策金利発表
- 24日(木)米7月製造業PMI発表
これまでの動き
先週の米国株は、企業決算の好調さと金利引き下げへの期待感が追い風となり、週前半から中盤にかけてはS&P500とナスダック総合指数が一時史上最高値を更新しました。
特にナスダックは連続での高値更新を記録し、テクノロジー関連銘柄の強さが際立つ展開となりました。
年初来でもS&P500、ナスダック共に順調に上昇しており、トランプショック後の相場でも堅調なパフォーマンスを維持しています。
週前半のマーケットを動かしたのは、決算シーズンの本格化です。
米国を代表する企業たちが次々と決算を発表し、総じて市場予想を上回る内容となりました。
特にテック・金融・産業セクターで収益の上方修正が相次ぎ、米経済の底堅さが改めて意識されました。
これにより、投資家のセンチメントは強気に傾き、米国株全体に買いが広がりました。
さらに、FRB(連邦準備制度理事会)の一部メンバーから年内の利下げを支持する発言が出たことも、市場の支えとなりました。
6月のCPI(消費者物価指数)の結果に続き、消費支出関連指標もインフレ沈静化を裏付けるものとなり、金利が低下するとの見方が広がっています。
金利低下は株式市場にとってプラス材料であり、特にPER(株価収益率)の高いテック株には大きな追い風です。
しかし、週後半にはトランプ前大統領が再びEUおよびメキシコ向けに最大30%の関税を課す可能性を示唆したことで、市場は一時不安定な動きを見せました。
特に18日(金)には欧州製品に対して15〜20%の新たな関税を検討しているとの報道が出たことで、投資家心理が冷やされ、米国株主要指数が下落する場面もありました。
これにより、週末には若干の調整が入り、全体としては高値圏を維持しつつも慎重ムードが広がりました。
注目された企業決算では、Netflixがユーザー数・売上ともに市場予想を上回る好決算を発表しましたが、同時にコンテンツ制作費の増加により利益率が低下したことが嫌気され、株価は5%超の下落となりました。
一方で、American Expressは個人消費の強さを背景に好決算を発表し、株価は2%以上上昇しました。
このように、決算内容が明暗を分ける展開が続いており、銘柄ごとの選別がより重要になっています。
今後の焦点は、今後に発表が予定されているTeslaやAlphabet(Google親会社)といった大型テック企業の決算です。
これらの企業の業績が市場全体のセンチメントを大きく左右するため、投資家にとっては正念場とも言えます。
また、FRBの利下げ時期に関する思惑や、関税リスクの行方も引き続き重要な材料です。
初心者にとっては、決算・金利・政治リスクの三つが株価の主な動因であることをこの1週間で学ぶ良い機会となりました。
短期的には不安定な動きも見られましたが、全体としては堅調な成長トレンドを維持しています。
こうした局面では、個別銘柄への集中投資ではなく、インデックスやセクターETFなどを活用した広く分散されたポートフォリオがリスクを抑えつつリターンを狙える戦略となるでしょう。
短期的な値動きに一喜一憂せず、冷静な視点と長期的な視野を持ち、ニュースに振り回されずに資産形成を継続していくことが初心者にとっての最善のスタンスです。
これからの投資戦略
これからの米国株は、決算シーズン本格化の中で企業業績とマクロ経済指標などを確認する大事な週となるでしょう。
22日(火)に決算発表するコカ・コーラは、好調な北米需要と価格転嫁の成功を背景に市場予想を上回る事が期待され、同業他社のペプシコも決算発表後株価が上昇した事もあり、これが生活必需品セクター全体の安心感に繋がるかもしれません。
また、半導体大手各社も決算を控え、半導体セクター需要の底堅さを裏付けられるかが注目です。
一方で、23日に発表されるアルファベットとテスラの決算など、マグニフィセントセブン銘柄が続々と発表を控えている事から、今後のAI関連銘柄などの旺盛な需要が続くのかにも注目です。
経済指標面では、新築住宅販売件数や耐久財受注などが注目されます。
これらの経済指標の結果によっては、市場は再びFRBによる年内利下げ観測を織り込み始め、米10年債利回りは小幅に低下、株式市場には金利面からの支援が働く可能性があります。
このように、メリット・デメリットそれぞれが株価に影響を与える可能性がありますが、基本的には今の米国株は割高であり決してお買い得という訳ではありません。
米国株主要指数のひとつであるS&P500のPERは現在約26倍と、非常に割高に推移しているなど今の上昇基調に対し過度に楽観視するにはあまりに危険な状況でもあります。
加えて、パウエルFRB議長の解任論が根強く囁かれており、任期途中の交代や後任の議長などによる市場への影響なども理解しなければなりません。
新NISAを利用した長期投資家は、このような情報に惑わされずコツコツ継続するのが一番です。
しかし、インデックス投資に飽きて他のリスク資産に手を出そうと考えている投資初心者にとっては、この夏の相場は難しいかもしれません。
大局的な視点をもって、最終的には自己の判断で行動しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
米国株主要指数も個別株も、今の米国株は気持ち良い程順調に来ています。
しかし、それはリスクが解消された青空ではなく、多くの投資家の楽観視から駆け上がっている無理な相場なのかもしれません。
積極的になるのは程々に、常に冷静な視点で相場と向き合いましょう。