- 15日(水)米9月CPI発表(予定)
- 決算シーズン本格化
- 米中追加関税対立再燃
これまでの動き
先週の米国株は、前半こそ好調なセンチメントと AI・テック期待感に伴う追い風が観測されたものの、週末に突如再燃した米中貿易リスクの報道を受けて急落する展開となりました。
具体的には、6日にはS&P500やナスダック指数が新高値圏での推移を見せ、投資家心理には強気が優勢となっていました。(6日〜8日の段階で複数の銘柄が年初来高値を更新)
ところが、10日(金)にドナルド・トランプ大統領が中国輸入品に対し追加で100%関税を課す可能性があると発表し、さらに中国側がレアアース(希土類)輸出規制を強める動きを見せたことから市場は急激にリスクオフに傾き、テクノロジー株などが中心に売られました。
その結果、S&P500 はその日−2.71%、ナスダックは−3.56%、ダウ平均は−1.90%の下落を記録し、3指標ともに週ベースで下落となりました。
また、株式ファンドからの資金流出も確認され、利益確定売りや不確実性回避の動きが強まったことが見てとれます。
市場参加者は、これまで過熱気味だと指摘されてきたバリュエーションに警戒感を抱いており、今回の地政学リスクの表面化は調整入りの引き金となった可能性があります。
加えて、10月時点で米国では政府機関の閉鎖状態(シャットダウン)が続き、主要な経済指標データの公表が遅延するなど、投資判断を下す材料不足という構図も不安要因となっていました。
このように、週間を通じては前半の希望と後半の失速が鮮明に対比される動きとなり、投資初心者にとっては良ニュースが続いても安心はできないという教訓を改めて示す週となりました。
これからの投資戦略
今週の米国株は、政府機関の閉鎖(シャットダウン)によるデータ発表の混乱リスク、インフレ指標や企業決算などの材料出尽くし・期待剥落、そして対中貿易政策動向が重しとなる中で、相場の行方を左右する分岐点的な週になる可能性があります。
まず、注目すべきは経済指標の発表で、シャットダウンにより重要データの公表遅延が懸念される中で、それでもインフレや活動データから金融緩和への手がかりが求められる旨を指摘しています。
ただし、シャットダウンの継続という構図がこの週の最大の不確実性になり得ます。
たとえば、労働統計や商業センサス、物価統計など、通常は定期的に発表される指標が発表遅延または欠落となると、投資家は判断材料を欠くため、ポジションを縮小したり、動きが鈍くなったりする可能性が高いです。
加えて、この週には企業決算のシーズン本格化が控えており、金融セクター(銀行・資本市場系)やハイテク企業などが注目されます。
特に金利収益や貸倒引当金、コスト抑制の動向に焦点が集まるでしょう。
決算が想定より強ければ買い材料になり得ますが、市場予想のハードルが高まっているため、ちょっとしたネガティブな結果でも過敏に売りを誘う可能性があります。
もう一つ見逃せないのは対中貿易政策・関税リスクです。
前週の10日にはトランプ前大統領が中国輸入品に対し二重関税を示唆したことで相場が急落しました。
今週も中国側の報復や政策発表、関税措置が再燃すれば、市場センチメントを再び揺さぶる格好になりかねません。
こうした要素を踏まえると、今週の相場のシナリオ仮説としては次のようになります。
- ベースケース:インフレ指標・企業決算ともに大きなサプライズがないレンジ相場。指標と決算の両方で強い方向性が出ないため、上下どちらにも振れるが、大きなトレンド転換には至らない。
- 強気ケース:インフレが抑制されてきたデータが出て、利下げ期待がくすぶる中で、好決算や緩和観測がサポート材料となり、週後半にかけて反発への動きが強まる。
- 弱気ケース:予想を上振れするインフレ、もしくは決算のネガティブサプライズ、さらには中国への報復関税強化の材料連鎖が重なり、大幅下落モード突入。
特に、この週は市場のモメンタム変化の可能性を指摘するアナリストもいます。
また、S&P Globalレポートも週後半にかけて観測される指数変動を注視しています。
戦略的には、保守派であればこの週はポジションを軽めにしておく、キャッシュ比率をやや引き上げておくこと、逆にリスクをとるなら決算銘柄のスクリーニングとテーマ投資(AI、クラウド、半導体、インフラ系など)で勝負できる余地を残しておくというアプローチが考えられます。
総じて、今週は不透明性との格闘週になりそうで、相場が乱高下する中で明確なトレンドを追うよりも逆張り・値動き反応型戦略が奏功する可能性が高いと見ています。
まとめ
いかがでしたか?
これまでの楽観ムードから一変して、短期的に厳しい相場が展開されると予想されています。
日・米共に史上最高値を更新し続けてきたものの、常に割高感が意識されていたのも事実で、ここにきての調整は簡単には済まない可能性もあります。
気を引き締めて相場に向き合いましょう。