- 10日(水)米8月PPI発表
- 11日(木)米8月CPI発表
- 11日(木)欧9月ECB政策金利発表
これまでの動き
先週の米国株は、レーバーデーによる休場明けから週末の雇用統計発表まで、方向感の乏しい展開が続いた一週間でした。
5日に発表された米8月雇用統計は以下の通り。
非農業部門雇用者数前月比予想7.5万人に対し、結果2.2万人。
失業率予想4.3%に対し、結果4.3%。
平均賃金+10¢。
特に、連邦政府の雇用や卸売業、製造業の雇用減少が著しく、個人消費の落ち込みを示唆しているのではないかとの懸念が市場に広がりました。
レーバーデー明けの2日から再開した市場は、月初の持ち高調整や金利動向への警戒感から主要三指数がそろって反落して始まりました。
その後は米長期金利が一時落ち着きを見せ、ハイテク株中心に買い戻しが入り、ナスダックが上昇基調を維持しましたが、ダウ平均は景気敏感株や高配当株の上値が重く、方向感に欠ける展開となりました。
5日に発表された米国8月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比2.2万人増にとどまり、市場予想を大きく下回ったうえ、失業率も4.3%へと上昇し、労働市場の減速が鮮明になりました。
この結果を受けて米10年債利回りは一時4.08%へ低下し、金融引き締め長期化懸念が後退する一方で、景気減速懸念が同時に意識され、株式市場の反応は限定的となりました。
週間ベースで見ると、景気減速による金利低下がグロース株の相対的優位につながった一方で、全体指数は冴えない結果にとどまったのです。
投資家にとって重要なのは、今回の雇用統計の弱さが一時的か、それとも景気の下振れトレンドの始まりかを見極める点にあります。
短期的には金利が下がれば成長株優位が続く可能性が高いものの、中期的には企業業績が下振れすれば高バリュエーション銘柄にはリスクが残ります。
したがって、投資初心者がとるべき戦略は、まず長期的には全世界株やS&P500インデックスを中心とした分散投資を継続しつつ、戦術的には金利低下局面でNASDAQ100など成長株比率を引き上げることです。
ただし一括投資は避け、イベント前後ではドルコスト平均法を基本にしながらリスクを分散するのが安全です。
さらに、金利低下の恩恵と景気減速リスクの綱引きを見極める冷静な視点を持つことにあります。
長期の資産形成においては、日々の値動きに一喜一憂せず、積立投資を続けつつ、金利や雇用などマクロの流れを理解して資産配分を微調整することが成功への近道となります。
これからの投資戦略
9月の調整局面に気を付けましょう。
今週の米国株は、先週の雇用統計を受けた9月利下げ期待が引き続き意識されつつ、インフレ関連指標と主要企業決算を控えて方向感を模索する展開となるでしょう。
投資家の間でも、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%利下げの確率が9割を超えており、9月から利下げが始まる事を織り込んでいます。
残りの10月・12月のFOMCでも0.25%利下げがあると考える投資家が多く、複数回利下げのシナリオを織り込んでいます。
利下げのアナウンスは投資家にとって非常にポジティブ要因となりますが、実体経済への波及にはタイムラグもあり、利下げして即景気悪化の歯止めとなることは無いので注意しましょう。
次に、10日(水)にはPPI(生産者物価指数)の発表、11日(木)は最大の注目であるCPI(消費者物価指数)の発表があります。
これらの経済指標は、米国の個人消費や景気の状態を見る最重要の指標です。
米国経済のインフレがトランプ関税によって再燃しているのであれば、実体経済はかなりの痛手を被っている可能性が高くリセッション入りが意識されるかもしれません。
週末12日(金)には、ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が発表を控えており、消費マインドの弱さが警戒されれば株価の上昇は限定的になるか調整局面を迎えるかもしれません。
これらの事から、投資家は金利低下メリットと景気後退リスクを天秤にかけながら冷静に市場を見る姿勢が必要だということです。
特に生成AIやクラウドといった構造的成長分野は金利低下局面で強さを見せやすい一方で、景気悪化が長期化すれば消費関連や景気敏感株には厳しい展開が続く可能性が高いため、セクター分散を意識することが重要です。
資産形成においては長期視点と分散投資の基本を守りつつ、重要イベント前後の値動きに柔軟に対応することが次の一手につながるといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
米国株主要指数は最高値を更新し勢い付いている様にも見えますが、実体はそこまで楽観的ではありません。
9月は特に警戒する月でもありますし、トランプ関税やAI関連銘柄や半導体セクターの需要の維持が顕在化する時期でもあります。
これらをしっかり確認しながら投資を継続しましょう。