- 28日(木)米第2四半期実質GDP発表
- 29日(金)米7月PCEデフレーター発表
- ジャクソンホール会議後の市場の動向
これまでの動き
先週の米国株は、前半は小売決算やFRB(米連邦準備制度理事会)のジャクソンホール会議を控えた様子見ムードが強まり小幅な動きにとどまったものの、週末にはパウエル議長の発言をきっかけに急上昇し、主要指数が記録的な水準に到達するなど、投資家心理の変化が如実に表れた一週間となりました。
まず週明けは、ジャクソンホール会議でのパウエル議長講演と言う最重要イベントを前に、割高感の高い株は調整されて下落する展開が続きました。
その結果、米国株主要指数は全体的に方向感のない展開でした。
この背景には、週後半に控えていたWalmartなどの小売大手の決算発表や、予定されていたFRBパウエル議長のジャクソンホール会議での講演を前に、市場が積極的な売買を控えていたことがあります。
週後半になると、市場は再び軟調に転じ、ダウ・S&P500・ナスダックはいずれも下落を記録しました。
特に小売大手Walmartの決算が市場予想を下回ったことや、CEOが関税によるコスト増への懸念を表明したことが投資家心理を冷やし、消費関連株が売られる展開となりました。
加えて、AI関連企業における設備投資が過剰なのではないか、割高な固定費等で収益見込みの無い事業になっていないかなど、特に小型株に対する警戒感が広がりマグニフィセントセブン銘柄を含めたハイテク株全体が落ち込む事態となりました。
この様なリスクを前に、市場全体が一旦利確を進めたいという慎重姿勢に傾いたことが読み取れます。
そして迎えた22日、世界の投資家が注目するジャクソンホール会議でパウエル議長が講演を行い、利下げを明言こそしなかったものの9月にも利下げが実施される可能性を示唆する発言を行ったことで、マーケットは一気にリスクオンへと傾きました。
このサプライズにより、米国株主要指数は上昇して大幅な反発を記録しました。
特にこれまで売られていたハイテク株やグロース株が買い戻され、指数全体を押し上げたことが印象的です。
また国債市場では利回りが低下し、ドルも軟調に推移するなど、金融緩和期待が株式市場だけでなく為替や債券市場にも波及しました。
こうした動きを総括すると、今週は週前半の停滞から週後半の小売決算による軟化、そして週末のFRB講演を契機とした急反発という、まさにイベントドリブンで市場が上下に振らされた一週間だったと言えます。
投資初心者にとって重要なのは、今回の相場が示したようにFRBの金融政策や経済指標が株式市場の方向性を大きく左右するという点です。
特に政策金利の見通しは企業業績や株価評価に直結するため、米国の経済指標やFRB高官の発言には常に注目しておく必要があります。
これからの投資戦略
9月利下げに向けた市場の動きに注目しましょう。
今週の米国株は、ジャクソンホール会議後の動向や週初から終盤にかけて経済指標と企業決算が市場の流れを決定づける重要な一週間となる見通しです。
パウエル議長の講演を受けて、投資家の間でも9月のFOMCで0.25%利下げ確率が9割弱と、9月には利下げを行う事を織り込んでいます。
加えて、残りのFOMCの内にもう一回利下げを行うのではないかとも織り込み始めており、利下げによるリスク資産へのポジティブ要因が高まり投資家にとっては好感が持てる動きとなっています。
次に、週を通して続々と経済指標が発表され、7月の新築住宅販売件数など堅調予測に対する実績結果次第で住宅セクターや関連銘柄の動向に注目が集まるほか、建設許可件数、住宅着工件数、FRB関係者のスピーチも市場心理に繊細に影響する見通しです。
その他にも、耐久財受注、S&Pケースシラー住宅価格指数、コンシューマー・コンフィデンス指数が控えており、これらは景気動向把握に直結し、特に耐久財発注の落ち込みが消費関連や素材セクターの株価に敏感に反応することも予想されます。
そして、27日はこの週最大の焦点であるNvidiaの第2四半期決算発表が予定されており、AIチップ需要、データセンター向け需給、中国向け輸出制限リスクといった文脈がテクノロジー市場全体に影響する可能性が高く、市場のセンチメントに大きな重しにも追い風にもなり得ます。
週後半にも、第2四半期GDP改定値、PCEデフレーター発表などFRBの政策見通しに大きな影響を与える経済指標が目白押しなので、気が抜けない週となるでしょう。
こうしたマクロ経済指標、企業決算、政策期待、株式供給の複合的要因が交錯する中で、米国株市場はボラティリティが高まる一方、チャンスも同時に拡大する展開が予想されます。
戦略的には、重要イベント前後のポジション調整やセクターごとの感度を分けて捉えることが勝機を掴む鍵となります。
一方で、新NISAを利用した積立投資家や長期投資家は、短期の上下に惑わされずコツコツ継続しましょう。
SNS時代は情報過多による判断ミスが起きやすいですので、最初に決めた投資目的を忘れずホームワークを続けましょう。
まとめ
いかがでしたか?
ジャクソンホール会議と言う重要イベントを無事通過し、株式市場は安堵感に包まれています。
しかし、今週以降も重要なイベントは続きますので、気を引き締めて投資を続けましょう。