「高配当株は安定的に配当金がもらえて安心」
そう思って投資を始めたのに、数年経っても資産が増えない…。
そんな経験はありませんか?
実は、多くの投資初心者が高配当株投資=資産形成の近道と勘違いし、知らず知らずのうちに複利の力を失っています。
昨今では、有名とされる素人インフルエンサーが高配当株投資について推奨する情報を発信しているせいもあって、投資初心者ほどこの罠に嵌っています。
複利は資産形成の魔法とも呼ばれ、長期投資で資産を大きく育てる最大の武器です。
しかし、やり方を間違えると、その魔法は簡単に消えてしまいます。
特に、配当金の使い方や銘柄選びを誤ると、数十年後の資産額に何倍もの差が生まれることもあります。
この記事では、高配当株投資で初心者が陥りやすい3つの間違いと、複利効果を最大限に活かす正しいマインドを解説します。
今から修正すれば、まだ間に合います。
なぜ高配当株投資が人気なのか?
高配当株投資は、長期的な資産形成において複利効果を十分に活かせない場合があるにもかかわらず、投資初心者を中心に非常に人気があります。
その理由の背景には、投資心理と行動経済学の理論が深く関わっています。
まず最大の要因は、目に見えるリターンの魅力です。
配当金は現金として口座に振り込まれるため、投資の成果をすぐに実感できます。
株価上昇のように数字上の含み益ではなく、手元に現金が届く感覚は心理的な安心感を与えます。
これは行動経済学でいう現在志向バイアスの影響で、将来の大きな利益よりも、今すぐ得られる利益を高く評価してしまう傾向があります。
さらに、損失回避バイアスも人気を後押しします。
株価は変動しますが、配当金はすぐには変動せず安定的にもらえる印象があるため、市場が下落していても損をしていないという感覚が生まれます。
実際には株価下落や減配リスクが存在しても、配当を受け取っているから大丈夫と思い込みやすいのです。
また、配当利回りという分かりやすい数値は、初心者が銘柄を選ぶ際の簡単な判断基準になります。
PERやROEといった財務指標よりも直感的に理解しやすく、高いほどお得と誤解されやすいのも人気の一因です。
加えて、SNSやYouTubeなどで有名素人インフルエンサーが高配当株投資を推奨する情報が多いことも影響します。
毎月○万円の配当収入といった実例は非常に魅力的に映り、配当金は出れば確実に振り込まれるため自分もできそうと思わせる強い訴求力があります。
結果として、多くの投資家が短期的な満足感を優先し、複利効果を最大化できないまま資産形成を続けてしまうのです。
高配当株投資が資産形成の近道とならない理由
高配当株投資は、定期的に配当金が振り込まれるため、投資初心者にとって心理的な満足度が高い手法です。
毎年5%の配当がもらえるなら、銀行預金よりはるかにお得と感じるのも自然です。
しかし、この魅力の裏には、長期的な資産形成を妨げる落とし穴が潜んでいます。
その背景にあるのが、行動経済学でいう現在志向バイアスです。
現在志向バイアスとは、人は将来の大きな利益よりも、今すぐ得られる小さな利益を優先してしまう心理傾向のことです。
高配当株投資の場合、今すぐ手に入る配当金という即時的なリターンが、このバイアスを強く刺激します。
その結果、本来なら配当を再投資して複利効果を最大限活かすべきところを、生活費や趣味に使ってしまいがちになります。
あなたの周りにもいませんか?
配当金・分配金が自動で振り込まれたら安心する、配当金・分配金が入ったら実際に使ってみよう、毎月の配当が生活費の足しになっている、こんな甘い言葉でリスクの高い高配当株投資を勧める人が。
複利の本質は利益が利益を生むことにあります。
配当金を消費すれば、投資元本が増えず、将来の配当額や株価上昇分も小さくなります。
さらに高配当株は成熟企業が多く、株価成長率が低い傾向にあります。
つまり、配当という単利を受け取って再投資してもインデックスファンドには敵わないどころか、再投資しない限り、資産の増加スピードは鈍化してしまうのです。
この短期的な満足のために長期的な利益を犠牲にするという構造こそ、現在志向バイアスが資産形成を妨げる典型例です。
ほぼ全ての素人インフルエンサーは、この真実を教えず拡散するため投資初心者は判断を誤ってしまうのです。
従って、投資初期ほど元本の増加が複利効果を大きくしますが、その大切な時期に配当を消費してしまうと、30年後の資産額は何倍も差がつきます。
高配当株投資を資産形成の武器にするには、現在志向バイアスを自覚しリスクが高い上にインデックスファンドに劣る投資手法だという事を理解しなければなりません。
つまり、高配当株投資で資産形成をしていると言っている人は、何も分かっていないのか、資産形成の本質を理解していないで発信する素人のどちらかでしょう。
複利を台無しにする3つの高配当株投資の間違い
複利は、利益が利益を生むことで資産を加速度的に増やす投資の最大の武器です。
しかし、高配当株投資では、その複利効果を自ら殺してしまう間違いを犯すケースが少なくありません。
その上、高配当株投資の多くは個別株に投資しており、リスク許容度から言っても明らかに投資初心者にお勧め出来ません。
そんな初心者が陥りやすいのは次の3つです。
1. 配当金を消費してしまう
もっとも多い間違いが、配当金を生活費や娯楽に使ってしまうことです。
本来、配当金は税金や手数料などで投資資金を失いながら再投資して元本を増やすことで、翌年以降の利益がさらに膨らむ複利効果がかろうじて生まれます。
しかし、今すぐの満足感を優先して配当を消費すると、元本は増えず、将来の配当額も増えません。
これは現在志向バイアスの典型例で、長期的な大きな利益よりも短期的な小さな利益を選んでしまう心理が働いています。
2. 高利回り銘柄に飛びつく
配当利回りが高いほどお得に見えますが、利回りが極端に高い銘柄には業績悪化や減配リスクが潜んでいます。
株価が下落した結果、見かけの配当利回りが上がっているケースも多く、結果的に元本割れで総合的なリターンがマイナスになることもあります。
リスクを過小評価するバイアスが、この間違いを後押しします。
3. 株価成長性を軽視する
高配当株は成熟企業が多く、成長率が低い傾向があります。
企業は成長戦略が無くても投資家を集め続ける必要があるため、日本では特に配当や株主優待などで投資家を集める傾向が強いです。
配当を再投資しても、株価がほとんど上昇しなければ資産の伸びは限定的です。
資産形成の初期段階では、株価成長と配当再投資の両方が複利効果を押し上げますが、成長性を軽視して配当だけに依存すると、長期的なパフォーマンスは低下します。
配当は出口戦略に良いという幻想
高配当株投資を支持する人の中には、配当は自動で口座に振り込まれるから、老後の生活資金としての出口戦略に最適だと考える人が少なくありません。
一見もっともらしく聞こえますが、これは大きな誤解です。
まず、配当金は企業の利益の一部を株主に還元しているだけであり、その分株価は理論上下落します。
つまり、現金で受け取るか、株を売却して現金化するかの違いに過ぎず、自動振込だからお得というわけではありません。
しかも、配当は自動的に再投資されないため、複利効果を最大限活かすことができません。
一方で、インデックスファンドは取り崩しのタイミングが難しいから、配当のように自動でもらえる高配当株の方が安心という意見もあります。
しかし、これもまた誤解です。
インデックスファンドの取り崩しは、少額から定期的に行うことで簡単に習慣化できます。
例えば、月1回決まった金額を取り崩す定率・定額売却を設定すれば、配当と同じように安定的な現金収入を得られます。
しかも、必要なときだけ多めに取り崩す柔軟性もあり、株価の変動は高配当株投資も同じで減配リスクや業績悪化による収入減には一切左右されません。
これは、多くの投資初心者が最初にしていた少額積立投資と同じ原理です。
定期的に積立投資は出来ているのに、定期的に取り崩しは出来ない、こんなこと本当にあるのでしょうか?
要するに、配当金の自動振込は便利そうに見えて、実際には資産形成や取り崩しの最適解ではありません。
老後の生活資金を考えるなら、インデックスファンドを活用し、少額の定期取り崩しから慣れていくほうが、リスク分散・複利活用・柔軟性の面で優れた出口戦略となります。
まとめ
いかがでしたか?
昨今の高配当株投資ブームは、資産形成の本質を理解していない素人が作り出した幻想です。
素人インフルエンサーの甘い言葉で、多くの投資初心者が今も高リスクでインデックスファンドより低い利回りの投資手法で資産形成をして遠回りをしています。
あなたの投資目的は何ですか?
自分自身にもう一度問いかけてみましょう。
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