- 17日(火)米11月小売売上高発表
- 18日(水)FOMC後会見
- 20日(金)米11月PCEデフレーター発表
これまでの動き
先週の米国株は、ハイテク株が好調で上昇を牽引したものの、米長期金利が4.3%台に上昇するなどネガティブ要因もありまちまちの展開となりました。
多くの要因の内で最も重要な事の一つは、これまでFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げ政策に転換し連続で利下げを実行してきた動きに変化が出る可能性がある事です。
これまで続けられてきた急ピッチな利上げで、FF金利(フェデラルファンズレート)は5.25%~5.50%まで引き上げられてきましたが、利下げ政策への転換後現在では4.50%~4.75%まで低下しています。
投資家の間では、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では0.25%利下げの確率が約93%とほぼ間違いなく利下げが行われると予測しています。
FF金利の低下は長期金利の低下を招く要因となり、投資家にとってはポジティブ要因です。
しかし、FRBが命題としている物価安定目標達成に近づき、現在では2.7%と2%台になったものの、より2%に近づけるためには、今までのデマンドプルインフレとは違うコストプッシュインフレに対応した政策が必要となります。
つまり、安易に利下げを続けて再びインフレが再燃するようでは、これまで成功してきたインフレの抑え込みが全て無駄になる可能性があるのです。
加えて、来年以降トランプ大統領が誕生した後、以前より明言している関税の強化が実行されれば、コストプッシュインフレがさらに加速する可能性も否定できません。
これによって、FRBが来年以降の利下げスケジュールをすべて停止し、再びインフレ退治の政策へ舵を切るかもしれません。
米国経済の負担となっている賃金インフレを含めたコストプッシュインフレは、価格転嫁と言う形で最終消費者に悪影響を及ぼしています。
しかし、米国経済の底堅さから価格転嫁を受け入れられる顧客をターゲットにしている企業は業績が好調ですので明暗が分かれる形となっています。
これまで上昇してきた金利もピークを迎えてもその水準を維持するとの見方が強いため、株式市場にとって苦しい状況が続くかもしれません。
それと同時に、米国株全体のPER(株価収益率)の高さにも注目しなければなりません。
直近の米国株への資金流入で、主要指数であるS&P500指数のPERは25倍を超えています。
これは明らかに従来の平均を大きく上回り割高と言わざるを得ません。
すぐに影響が出ることは無いものの、今後も注視する必要があり積極的な買いは控えるべきかもしれません。
これからの投資戦略
上昇基調の内に保有銘柄の整理をしましょう。
直近では金利上昇と言えども、今の米国株の動きがすぐに崩れる可能性は低いかもしれません。
アノマリー的にも年末年始は上昇相場になる事が多いため、過度に悲観的な動きをする必要はありません。
むしろ、トランプラリーや今後起きるかもしれないクリスマスラリーの中で、あなたが保有する銘柄を整理する時間に充てるのが良いでしょう。
米国では本格的なクリスマス商戦が始まっており、購買意欲の高まりから小売業を含めた多くのセクターで売上高を押し上げる事でしょう。
年末に向けて積極的な買い推奨は出来ませんが保有銘柄を整理する意味では良い時期かもしれません。
当然の事ですが、積立投資を始めとする長期投資家にとっては今まで通り継続しましょう。
資産形成目的でインデックスファンドをメインに積立投資をする投資初心者にとっては、下手な売買をする必要は無くひたすらコツコツ積み立てるのが唯一の正解です。
株式投資で生計を立てる訳ではない投資家は、そもそも投機を行う必要が無いため個別株やその他リスク資産を持つ必要はありません。
しかし、それでも多少興味を持った分野など、余裕資金があってどうしても試してみたいなどの趣味程度に考えるのであれば否定はしません。
従って、あなたの投資目的に合わない行動は止めましょう。
まとめ
いかがでしたか?
年末に向けて色々と買い意欲が高まる時期ではありますが、あなたの投資目的を今一度考えて行動しましょう。
私欲のままに建てた投資のポジションで儲かる事はほとんどありません。
SNSが発達して情報が民主化した弊害で不正確な情報が散乱する事態となっていますが、よく分からない素人インフルエンサー等に惑わされない様に規律をもって行動して下さい。
あなたの大事な資産を守れるのはあなたしかいませんから。