【2月10日~14日】今週の投資ニュースと戦略

心得
  • 12日(水)米1月CPI発表
  • 14日(金)米1月小売売上高発表
  • トランプ関税の動向に注意

これまでの動き

先週の米国株は、トランプ関税を巡る思惑や雇用統計の結果が好意的に捉えられなかった事などがネガティブ要因となり軟調な週となりました。

2025年2月7日に発表された雇用統計の結果は以下の通り。

非農業部門雇用者数前月比予想17.2万人に対し、結果14.3万人

失業率予想4.1%に対し、結果4.0%

平均時給+16¢

内訳を見ると、ヘルスケア分野や一部の小売業の伸びはあったものの、それ以外の分野では目立った伸びが見えなかった事や逆に減少するなど雇用環境の広がりは見られませんでした。

しかし、全体的な失業率の改善や平均時給の伸びが強い結果となった事で、コストプッシュインフレの原因の一つである賃金インフレが加速している事を嫌気する投資家が多かったように思えます。

米国のインフレは沈静化してきているものの、2%台に安定化させるためにはこのコストプッシュインフレに対応しなければなりません。

FRB(米連邦準備制度理事会)もそれが分かっているのか、今後の利下げスケジュールを大幅に遅らせても慎重な姿勢を貫いています。

加えて、トランプ大統領による関税発言など、各国とのディールのためとは言え米国内に対するインフレ圧力になる行動は株式市場にとって必ずしもプラスに働きません。

最終的には、他国との交渉によって決まる事とは言え、今のトランプ大統領は交渉が上手くいかなければ関税発動も躊躇しないでしょうから投資家の不安は拭えません。

ディール相手の本命は中国でしょうから、これから本格的な情報戦・関税合戦が予想されます。

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中国の話題と言えば、一時期急激に持て囃された中国産生成AIのDeepSeekが安価で開発されたのではないかとの情報によって、AI関連銘柄や半導体セクターなどこれまで米国株を牽引してきた銘柄が軒並み急落する事態となりました。

発表当時はほとんどがベールに包まれていたため、安価での開発成功と言うインパクトのみで市場は動揺しました。

しかし、時間が経過しその内容が徐々に明らかになると、これまでの生成AI関連に対しての脅威はほとんどなく、いつもの中華性能と言った内容であったためすっかり投資家から忘れ去られてしまいました。

ただ一点だけ懸念を残したのは、chatGPTやCopilotなど主要なAI関連事業に対して「設備投資が過剰すぎるのではないか?」という事です。

これまでは、最新の設備を導入する事で効率的な運用を可能とし利益拡大に繋げていくと言う考えで、ほとんどの関連企業はエヌビディア社のGPUを買い漁りました。

そのおかげで、米国株はエヌビディアを筆頭にAI関連銘柄が上位を占めるようになりました。

しかし、低コストでの運用が可能であることが分かり、現在の設備投資計画が過剰なものであるという事になれば、成長が一気に衰える事になりAIバブル崩壊となる可能性もあります。

それに対応するための新たな事業が立ち上がる気配は今の所ありませんので、トランプ関税やインフレ再燃と共に警戒する点の一つとなるでしょう。

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これからの投資戦略

決算内容を確認しましょう

これまで約6割の企業が決算発表を終え、その内約7割以上の企業が良好な決算内容となっています。

この結果は10年間の平均よりやや高く、企業の成長鈍化を確認する内容でもないため良好決算銘柄は値運びが軽くなっています。

今回の決算で、これまで苦戦していたグロース株も決算後に株価が急騰するなど、今後の成長が期待されています。

一方で、米国全体の景気が落ち込むのではないかとの懸念など需要縮小を嫌気したドル安基調が徐々に顕在化しており、日本の投資家を含めた海外の投資家にとっては為替差損の状態が続いているため満足な儲けが得られていません。

これまでは、世界が米国に対する需要拡大を期待した中長期のドル高がメインシナリオとなっていましたが、ここにきて高金利下でインフレ再燃を懸念する声やFRBの利下げペース鈍化に対する不安感が高まっています。

世界が利下げの流れに向かっている中で、中国の様なデフレ経済や日本の様な不景気なのに利上げと言った投資価値が無い国は論外として、米国が利下げの波に遅れるとなると投資家は別の投資先を模索する事になるかもしれません。

今後は、景気後退局面による利下げ継続中のユーロ圏など米国以外に注目が集まるでしょう。

ECB(欧州中央銀行)は、ユーロ圏の景気後退を懸念しこれまで順調に利下げを継続してきました。

加えて、ECBメンバーはあと数回の利下げが妥当との見解を示しており、利下げ政策は今後も続くことが予想されます。

そうなると、ユーロ圏の長期金利は低下基調になる事が予想され、投資家にとってはポジティブ要因となるかもしれません。

このように、米国以外でも投資環境が整っている国は多くありますので、世界を見渡しながら投資先を選定するようにしましょう。

それが分からない人や時間の無い人は、これまで通り広く分散されたインデックスファンドをメインにコツコツ積み立てていく方が良いでしょう。

利上げしているのに高配当株投資など素人丸出しな間違った情報などに騙されず、あなたの投資目的に合った方法を愚直に続ける事が資産形成には大切な事です。

まとめ

いかがでしたか?

トランプ大統領の関税を巡る動きは大統領選挙中から言われてきた事であり、本来はとっくに織り込み済みでなければなりません。

しかし、世界のどこまで広がるかに対しては予測がつかず、今後も注意して見ていく必要があるでしょう。

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