- 5日(水)米1月ISM非製造業景況感指数
- 7日(金)米1月雇用統計発表
- トランプ関税発動の影響
これまでの動き
先週の米国株は、DeepSeekショックの影響やトランプ関税発動への不安感などで、ハイテク株を中心に軟調な週となりました。
中国発の生成AI(人工知能)DeepSeekR1の全容はまだ明らかにされていませんが、中国独自AIではないとの見方が大半です。
しかし、米国株の急落の背景である本質はそこではなく、生成AIの運用コストが安価で満足いく速度が実証される可能性がある事が問題なのです。
稼働状況に問題ない事が分かると、これまで生成AIに対して膨大な設備投資を必要とし、エヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)のブラックウェルなど最新鋭半導体を大量に導入しなければならないと言う常識が覆されることになります。
つまり、「AI投資にそこまでの金額が必要だったのか?」という疑念や、過剰投資による資金回収の困難さが投資家に嫌われる事態となったのです。
旧式モデルでも同等の運用が可能となれば、今まで独占的な地位にいたエヌビディアやchatGPT(OpenAI社)やCopilot(Microsoft社)、Gemini(Google社)などの主要生成AIの投資額が妥当なのかと疑われます。
その結果によっては、これまで米国株を牽引してきたAI関連銘柄や半導体セクターなどのバブルが崩壊する可能性があります。
従って、中国企業がこれから雨後の筍の様に発表する安価生成AIが実用に足る存在になるのか、それともただの模倣の劣化版に終わるかは注目です。
しかし、現在は不透明な部分が多く、確証が得られるまではギクシャクする展開となるでしょう。
次に、4日から本格的に発動されるトランプ関税の問題です。
トランプ大統領は、大統領選からカナダ・メキシコに25%、中国に10%の追加関税と課すと明言していた通り、2025年2月4日に発動する大統領令にサインしています。
事前に伝えられたこの情報によって、米国内では関税前の駆け込み需要が発生し一時的な消費の高まりが確認されました。
これは、日本で言う所の消費税増税前の駆け込み需要に似ており、需要の先食いで一時的に消費は伸びるものの、全体的な需要に影響を与える訳ではありません。
つまり、関税発動後に落ち込む個人消費によって相殺される事や、その後の消費減退による景気へのダメージなど経済にとってはデメリットが大きい政策となります。
投資家もそれを嫌気してか、強く意識された先週の金曜日に堅調だった株価も値を消しマイナスに転落する相場の動きとなりました。
関税発動によるネガティブ要因を容易に織り込めるとは限らず、対象国による報復関税や米国内のインフレ再燃の可能性など株価下落要因がどこまで影響するか注意が必要でしょう。
これらはいずれにしろ、続報を待たなければ全体像が判断しずらく、現段階では安易に行動するのは避けた方が良さそうです。
これからの投資戦略
決算内容を確認しましょう。
ネガティブ要因が顕在化していますが、今は決算時期でもありますのでその内容は無視できません。
今週もマグニフィセントセブン銘柄の決算や、最近注目を浴びる個別銘柄の決算発表が控えているなど見過ごせない週となるでしょう。
加えて、雇用統計の発表もあることから、米国内の雇用環境がどうなっているのか把握する大事な週です。
米国GDP(国内総生産)の6~7割は個人消費で占められていますので、個人所得の源泉である労働環境は米国経済の成長や景気の底堅さを確認する大事な指標となります。
しかし、今はコストプッシュインフレによるインフレ懸念が根強く、あまり強気な結果が示されると投資家にとってはネガティブ要因となる可能性がありますので注意が必要です。
総じて、今は弱気でギクシャクした相場の動きになる可能性が高いので、情報が一通り出揃うまで慎重にならざるを得ません。
積立投資をメインとした長期投資家は変わらずコツコツ継続する事に変わりはありませんが、個別株に投資する者にとっては難しい判断を迫られるかもしれません。
十分に警戒しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
2月も引き続き難しい相場で、春先の出直りまでは積極的な行動は控えた方が良さそうです。
その間にしっかりホームワークを続け、投資機会が訪れた時に乗り遅れないよう準備しましょう。