- 非農業部門雇用者数は予想を上回る
- 失業率の悪化が顕在化してきている
- SVBファイナンシャル・グループ破綻により世界は変わった
2月の雇用統計の結果
2月の雇用統計を含めた主要指標の結果は以下の通り。
非農業部門雇用者数前月比予想22.3万人に対し、結果31.1万人。
失業率予想3.4%に対し、結果3.6%。
平均時給前月比予想0.3%に対し、結果0.2%。
非農業部門雇用者数は予想を上回る結果となりましたが、失業率や平均時給の伸びは予想を下回る結果となりました。
中でも、レジャー・ホスピタリティ部門で雇用者数の伸びが顕著であり、低所得者層の雇用が堅調である一方、今まで高所得者とされてきた分野のレイオフが著しくなってきています。
1月の雇用統計が強い結果となっていただけに、今回の結果を受けてFRB(米連邦準備制度理事会)は利上げ幅を0.5%にするのではないかとの憶測が生まれていました。
これはインフレが思うように沈静化しない事に対しての考えであり、パウエル議長も議会証言の中で利上げペース加速に対して言及した事、FRBメンバーもタカ派寄りの発言をしていたことなどを考えればその可能性はあり得るかもしれません。
SVBファイナンシャル・グループ破綻がもたらしたものとは
米国で2つの地方銀行が経営破綻しました。
米国のシルバーゲート銀行は事業を自主的に精算する事で破綻し、SVBファイナンシャル・グループも同行の損失拡大の影響により破綻しました。
このニュースは、これまでの雇用統計など根強いインフレを退治するため利上げしてきた方針を一気に転換せざるを得ないほどの状況となりました。
シルバーゲート銀行は、暗号資産取引などでの銀行業務を代行する事をメインにしており、昨今の暗号資産市場の落ち込みで業績が悪化し事業が立ち行かなくなりました。
SVBファイナンシャル・グループ(シリコンバレー銀行)は、シリコンバレーで事業を行うデジタル分野のスタートアップ企業などを主な顧客として取引しており、昨今の金利引き上げでスタートアップ企業の資金繰りが苦しくなり預金の引き出しが増加しました。
加えて、SVBファイナンシャル・グループ自身も債券投資での損失が拡大し、それを損失計上したため銀行自体も危ないのではないかとの噂が広まりバランスシートが一気に悪化しました。
これらの根本的な原因の一つが、FRB(米連邦準備制度理事会)が急速に利上げをしてきた事に起因しています。
従って、FRB(米連邦準備制度理事会)の監督下にある銀行が潰れていく中にあって、これ以上過度な利上げをするかと問われると大いに疑問であり、今後利上げ終了の時期が早まるのではないかと考えます。
つまり、SVBファイナンシャル・グループ破綻後の投資環境は明らかに変わっており、今までの投資戦略を変える必要に迫られています。
まとめ
いかがでしたか?
米国の消費は依然として強いものの、FRB(米連邦準備制度理事会)がこれまで行ってきた金融引き締め策は確実に効いてきており、今回の銀行破綻のニュースを機に株式市場にとっても大きな転換点を迎える可能性が高いと考えます。
それに備えて、しっかりと準備していきましょう。