- 景気指数・サービスPMI等共に予想を下回る
- 雇用指数は予想を下回る
- インフレ低下・景気後退懸念が再燃している
景気指数・雇用指数の結果と考え方
2023年4月5日に発表されたISM非製造業景気指数の結果は以下の通り。
予想54.5に対し、結果51.2(前回55.1)
同日に発表されたADP全米雇用者数は以下の通り。
前月比予想21.5万人に対し、結果14.5万人(前回24.2万人)
雇用環境に関する重要指標は、いずれも市場予想を下回りました。
これまで底堅く推移していた米国経済が悪化している事を示唆しており、4月7日(金)に発表される雇用統計などの重要指標と合わせて、労働者の平均賃金等インフレ動向の変化に注目する必要があります。
これまで行ってきたFRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め政策が累積的に効いてきたことで利上げも最終局面に来ており、パウエル議長も会見であと1回の利上げを用意していると発言している通り、市場も次回のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%利上げが最後であることを織り込んでいます。
実体経済の悪化はインフレ鎮静化をより確実なものとする要因です。
従って、この流れを見越して株式市場は先に上昇局面へと変わりました。
当面は、重要指標やFRB(米連邦準備制度理事会)からの発言を注視しながらも積極的に投資する場面となっています。
これから先のリスクとは
3月・4月の株式市場は、堅調な展開が予想されるもののリスクが無い訳ではありません。
4月4日に発表されたJPモルガン・チェース(ティッカーシンボルJPM)のジェイミー・ダイモンCEO(最高経営責任者)は株主宛の年次書簡で、銀行危機はまだ終わっていない旨の内容を示していることが分かりました。
リーマンショックのような事態が起きる事はないとしながらも、影響は何年も残るだろうと米当局は過剰反応して更なる規則を増やしてはならないとの見解を示しています。
確かに、銀行の持つ債券価格の含み損が発端となりいくつかの米地方銀行は破綻しました。
破綻した銀行は、スタートアップ企業や暗号資産などをメインの取引相手としたリスクの高い経営を行っていたため、それ以外の米国銀行全体が危機になる可能性は低いものの、銀行もきちんとした経営をしないと破綻のリスクがあることを投資家は再認識させられました。
今後は、急激な利上げによって短期金利が上昇したにも関わらず預金金利を上げないと言った怠慢な経営をする金融機関も、高い預金金利を求めて預金引き出しリスク(取り付け騒ぎ)がある事を理解しなければなりません。
加えて、スタートアップ企業の内、ハイテク企業など利益の出ていない企業の資金繰りが悪化する可能性もあるため投資先も気を付けなければなりません。
早期の利下げを織り込んでハイテク株が上昇していましたが、FRB(米連邦準備制度理事会)はそれを望んでおらず、小型ハイテク企業の経営不安と共にハイテク株はこれからも売られる可能性が高いと考えます。
つまり、上昇局面に入ったことで全て安泰という訳ではなく、今後も注意しながら買い進める必要があるでしょう。
しかし、長期投資やつみたてNISAを用いた積立投資などは引き続き継続して下さい。
まとめ
いかがでしたか?
春先は株価も堅調に推移していましたが、これから先も安泰と言う訳ではない事を意識しましょう。
保有する個別銘柄は再度確認すると共に市場全体の流れを把握しましょう。
慌てる場面ではありませんが、ホームワークは続けて下さい。