- 23日(火)米4月製造業PMI発表
- 26日(金)米3月PCEデフレーター発表
- 利下げ時期後退懸念
これまでの動き
直近の経済指標が予想を上回った事で米国経済の強さが際立ち、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げ時期に対するタカ派姿勢が目立ったことや、オランダの半導体企業ASMLや台湾のTSMCなどが決算をミスした事、イスラエルがイランへ報復攻撃を実行した事などがネガティブ要因となり全面安の展開となりました。
直近の経済指標の結果は米国経済の力強さを印象付けましたが、早期利下げを期待していた投資家にとっては利下げ理由がなくなったことによる失望感が強く、2024年の利下げ回数が更に減るのではないかとの懸念が強まっています。
FRBは、2024年初頭の段階では3回の利下げを想定していましたが、米国のインフレ率が再び上昇する可能性が高まれば今のままの高金利を維持する政策を変更する必要がありません。
利下げは株式市場にとってポジティブ要因になりますので、それが行われないとなると先回りしていた投資家は一斉に資金を引き上げる事になるでしょう。
投資家の間でも、5月・6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げする可能性は低いとみており、7月のFOMCでも現状維持の可能性が一番高いと予想しています。
こうなると、米国大統領選挙もある事から利下げ時期が大幅に後退するのは必至であり、2024年の利下げ回数がほとんど無くなるのではないかと考えられています。
従って、米長期金利は高止まりのまま推移する可能性が高く、株式市場にとってはネガティブ要因となるのです。
次に、これまで株価を牽引してきた半導体セクターの決算ミスの影響ですが、右肩上がりに成長すると考えられてきた半導体セクターがこんなにも早く成長が頭打ちになるとは投資家も考えておらず、主要な銘柄は大きく値を下げる展開となりました。
しかし、その内容を深く見てみると、ASMLは大口顧客である中国の市場が大幅に悪化しているのに加えて規制を掛けられた影響が決算に表れているだけであり、TSMCも台湾大地震の影響で今後の供給見通しを弱く見積もったためであり、いずれも半導体セクターの成長が頭打ちになったと言う明確な根拠にはなり得ません。
半導体セクターの決算ミスは市場に衝撃を与えましたが、それだけで他の銘柄まで手放すのは早計であり、むしろ買い場を与えた可能性すらあります。
当然ですが、決算をミスした企業の株は売り払うべきです。
しかし、それをセクター全体にまで広げる考えは間違っているでしょう。
最後にイスラエル情勢ですが、イランからのミサイル攻撃に対しての報復と言っていますが、世界はイスラエルに対し賛同するとは考えにくいです。
それでも攻撃を強行したのは、中東戦争を望んでいると言うよりは報復したと言う結果が欲しかっただけの可能性が高く、現に報復規模もごく小規模で終わっておりイラン側もこれ以上の応戦は考えていない可能性があります。
従って、両国が頭を冷やす形で本来の目的に落ち着くと考えられるでしょう。
これらのネガティブ要因が重なった事で株価が大幅に下落しましたが、一つ一つの内容を精査するとこれまでの相場が覆されるような展開は考え難く全降りする場面ではないことが言えます。
これからの投資戦略
決算内容を精査しましょう。
今は日・米共に決算が本格化しています。
ASMLやTSMCの様に、決算をミスする企業には投資できませんので、個別株投資は決算を重要視し今後の保有銘柄を決めるのが王道です。
ただし、長期投資や積立投資はファンドに間違いがないか、株価に一喜一憂せず持ち続けられるかなどのマインドが重要になってきますので、先週の様な下げ相場にハラハラするのであればあえて途中経過を見ないと言うのも選択肢の一つかもしれません。
あなたの投資目的が長期なのであれば、短期の値動きを追う必要はありませんのでコツコツを継続する習慣だけ忘れないようにしましょう。
新NISAが始まって以来の調整局面で多くの投資初心者が振り落とされ売却していますが、そもそも投資目的が違う情報に踊らされているので売却は間違っています。
しかし、新NISAなら右肩上がりに増えていくはずと勘違いした投資家は下落局面が耐えられないのです。
あなたの大切な資産を効率よく増やすためにも、正しい情報を自ら取捨選択しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
4月に入って一辺倒に下がっているため、下落に耐え切れない投資初心者が続出しています。
長期投資ではこのような下落など日常ですので、早めに慣れておくことが資産形成の第一歩かもしれません。