- 雇用統計は強弱まちまち
- 6月のFOMCは金利据え置きの可能性が高い
- 利下げへの思惑に乖離が見られる
これまでの動き
2023年6月2日に発表された米雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想を大幅に超えていたものの、失業率が悪化しており強弱入り混じった結果となりました。
加えて、メディアが騒いだ米債務上限問題や米地方銀行破綻問題は、米国全体の不安に広がることもなく一気に沈静化しました。
これにより、直近のリスクが払拭されたことで世界のマーケットは堅調な動きとなりました。
その証拠に、日経平均がバブル後最高値を連日更新するなど、日・米共に過熱感はありながらも上昇基調が続いています。
一方で、投資家の間では逆イールドによる景気後退や、米地方銀行の破綻に起因したFRB(米連邦準備制度理事会)による早期利下げ期待など、FRBの姿勢とは違うシナリオを織り込んでいます。
確かに、長期的なインフレ圧力は個人消費に深刻なダメージを与えかねませんし、米GDPの約7割を占める個人消費が落ち込めば一気に景気後退局面に陥る可能性があります。
しかし、直近の経済指標は強い結果を示すものが多く、すぐに経済が壊れるかと問われれば大いに疑問が残ります。
FRBは6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で一旦金利を据え置く旨の発言をしていますが、これで利上げ終了という訳ではなく、状況を見ながら利上げする選択肢を残す姿勢を見せています。
つまり、賃金インフレの高止まりなど、今の様な強い経済指標が続けば更なる利上げも検討すると言うメッセージであると言えます。
従って、リスクから解放され新たな上昇相場の始まりなどと考えるのは間違いであると言えます。
今後の投資戦略
積極的な買い場ではなくなりました。
米国主要指数は堅調に推移しており、特にナスダックが上昇を牽引しています。
これはOpenAI社が開発したchatGPTを始めとするAIブームが要因となりますが、OpenAI社と業務提携しているMicrosoft社やハードウェア部門で必須の半導体を扱うNvidia社などはマネタイズの道を進んでいますが、これら一部の企業を除いては必ずしもAIブームの恩恵を受けているとは限りません。
その証拠に、ナスダックのADライン(騰落株線)は下落し続けており、一部の企業や投資家の気分で押し上げられた企業などで指数を何とか支えている状況が続いています。
AIによる収益化には、まだ手法が確立されてない事や正確性によるリスクなどが解決されておらず、成長は期待できるものの利益の積み上げには時間が必要です。
加えて、今の高金利下では資金調達も難しく、以前の様にハイテク株に投資する環境ではありませんので厳しい状況が続きます。
業績の良い企業も、今後のアナリスト予想を見ると利益が減少すると考えられており、米国株が上昇一辺倒と考えるのは厳しいかもしれません。
しかし、保有銘柄をすべて処分する全降りをするまでの状況にはなく、長期投資や積立投資の投資家は迷わず継続して下さい。
他の投資家が強気に浮かれている環境下で、あなたは冷静な目で相場を観察し、時には個別銘柄のいくつかは利確すべきかもしれません。
一緒になって買い上がるのだけはやめましょう。
まとめ
いかがでしたか?
相場全体が強気に傾いている時ほど冷静さが必要です。
その時は一旦相場から降りる必要があるかもしれません。
逆に、相場全体が弱気になっている時ほど勇気をもって相場に飛び込む必要があります。
勇気と蛮勇をはき違えない様に気を付けましょう。