- 経済指標は強い結果が出ている
- 投資家の利下げ予測がFRBの意見に近づいている
- 米国債務上限問題はあまり重要ではない
これまでの動き
FRB(米連邦準備制度理事会)が今後の政策は経済指標を見ながら判断していくと決定してから、米国の経済指標は強い結果が続いています。
世間で心配されていた米地方銀行の経営破綻は、一部の地方銀行が取り付け騒ぎを起こしただけで米国全体に広がることはありませんでした。
引き出された預金も、JPモルガン・チェースなどメガバンクに移動しただけで、銀行経営による明暗が分かれる結果となりました。
これにより、直近の米国株は堅調な地合いとなったものの新たなリスクが顕在化しました。
その一つが、強い経済による金融引き締め政策の終了時期とその後の利下げへ変更のタイミングです。
これまでFRB(米連邦準備制度理事会)は、利上げ停止後すぐに利下げに転じることは無いとの発言を繰り返していましたが、5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でその文言は削除されました。
しかし、過去の経験からFF金利(フェデラルファンズレート)を小刻みに上げ下げする事は好まないため、利下げの判断は米国の経済指標を見ながら判断する事となりました。
一方で、投資家の間では、米地方銀行の経営破綻やリセッションの到来から利下げは早期に行われるのではないかと予想していました。
これにより、FRB(米連邦準備制度理事会)と投資家の間で乖離が生まれていましたが、直近の経済指標が発表されるにつれ、投資家は徐々にFRB(米連邦準備制度理事会)寄りの考えに傾いてきました。
しかし、それでは今まで織り込んできた早期利下げの思惑が崩れるため投資家にとってはネガティブ要因となります。
加えて、米国債務上限問題がニュースで報道される度に投資家に不安が広がっている事もネガティブ要因となります。
債務上限問題はデフォルトと違い、米国独自のルールに関する議論のため重要度はあまり高くありません。
それでも連日不安を煽るような報道がされれば、少なくない投資家はそれを真に受ける可能性もありますので注意が必要です。
これからの投資戦略
引き続き様子見で相場に臨みましょう。
ナスダックが米国株の上昇を牽引していますが、その中身を見てみるとADライン(騰落株線)は低下し続けています。
これは、指数全体は上昇しているものの、一部の構成銘柄が全体を押し上げているだけで下落している銘柄の方が多い事を示しています。
つまり、GAFAM(グーグル・アマゾン・メタプラットフォーム・アップル・マイクロソフト)に代表されるような巨大テック企業の株価がナスダック指数を押し上げているため、その上昇は極めて脆弱と言わざるを得ません。
しかも、これらの中にも決算をミスした企業があり、企業の成長に裏打ちされた上昇とは言えません。
従って、いつ調整が来ても可笑しくない状況であり、ここから積極的に投資していくには地合いが悪すぎます。
今はFRB(米連邦準備制度理事会)の動向や経済指標を確認し、次に買い場が訪れるのをじっくり待つ方が得策と言えるでしょう。
ただし、現在保有している銘柄や長期投資などは引き続き継続して下さい。
まとめ
いかがでしたか?
終盤であるとは言え、米国は金利上昇局面です。
金利の高い時には無理に投資せず、じっくり機会を伺う姿勢の方が高値掴み等のリスクを避けられます。
個人投資家は常に売買する必要はありませんので、じっくりチャンスを狙いましょう。