- 18日(火)米5月小売売上高発表
- 20日(木)米5月住宅着工件数発表
- 米国経済の減速度合いを確認
これまでの動き
先週の米国株は、CPI(消費者物価指数)が予想を下回り、インフレ懸念が後退した事によりAI関連銘柄を中心に堅調な週となりました。
6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)後のパウエル議長会見で、2024年の利下げ回数が3回から1回に修正されたとのタカ派寄りの発言が出ましたが、投資家の間ではもう3回も利下げするなどと織り込んでいる人がほとんどおらず、株価を動かす材料にはなりませんでした。
投資家の間でも、早ければ9月のFOMCで利下げを決定する確率が60%を超えており、徐々に9月利下げを織り込む動きが見えています。
通常であれば、米大統領選挙に影響を与えない11月か12月が有力でしょうが、昨今の経済指標の結果を見ていると米国経済の悪化が鮮明になりつつあります。
しかし、これで一気にリセッション入りすると言った事態にはならず、景気後退は緩やかであるとの見方が強く、それに合わせてFRB(米連邦準備制度理事会)は利下げに転じるとの予想されています。
米国のインフレも、デマンドプル型インフレからコストプッシュ型インフレに移行しつつあり、米国政府の方針転換も重要となってきており、今後のバイデン大統領の動きにも注目です。
一方で、CPIの結果から再び上昇相場となっているAI関連銘柄ですが、業績相場の中で力強く上昇しているものの、他のセクターがそこまで良い決算が出せず、そろそろ指数全体の成長も足取りが重くなってきています。
こうなると、唯一の急成長であったAI関連銘柄も一旦調整局面に入る可能性が高いと考えます。
ここの所の好材料で気持ちよく上昇していた銘柄も、さすがに材料出尽くしで株価ももたつくことが考えられ、これまで通りの上昇は難しくなるでしょう。
だからと言って、これでAIバブルの崩壊と言うことではなく、過度に悲観して全売りする様な事はせず、我慢の相場であると言う認識を高めましょう。
これからの経済指標の落ち込みは、米国経済や業績相場に影を落とす可能性もありますので、利下げ期待からのポジティブ面ばかりに捉えられないため、考え方を改めた方がよさそうです。
日本では、コストプッシュ型インフレが発端となった物価高ですが、政府・日銀が誤った政策で日本経済を毀損させているため今後も景気回復は望めません。
従って、引き続き一部のセクター以外の全銘柄は投資価値がありません。
そもそも、主たる原因を円安のせいにし、自らの過ちを認めない姿勢や無駄な解決策を模索し続ける限り真の意味でのデフレ脱却や景気回復は有り得ません。
物価高はサプライチェーンの崩壊やウクライナ戦争による原材料費の高騰が主たる原因であり、その後に需要過多でデマンドプル型インフレに悩んでいた米国が急ピッチで利上げしたため日米金利差が生じ始めたのが円安の始まりであり、円安は遠因であっても主因ではありません。
現在では、これに加えて需要不足にもかかわらず安易な賃上げ圧力で消費者に価格転嫁する形で更なる物価高に晒されています。
本来、需要過多による賃金上昇が正しい経済の仕組みですが、実質賃金が25か月連続でマイナスになっている事からも分かる通り、消費者は相対的に貧困化しているため進んで消費を行うはずがありません。
そして、消費が伸びないため企業も売り上げが伸びず本来では賃上げどころではありません。
しかし、政府の圧力によって賃上げせざるを得ない状況に追い込まれ、結局最終消費者に価格転嫁と言う形でコスト分を上乗せする羽目になります。
その責任が政府に向かない様に、主因を無理やり円安に押し付け、解決策が利上げしかないと日銀に責任を押し付ける格好になっているのが現在の日本なのです。
これでは、日銀も外圧によって利上げせざるを得ない空気を作られ、各方面からのリークによって外堀を埋められ誤った決断を強いられています。
もしかしたら、日銀メンバーは本気で正しいことをしていると勘違いしているかもしれませんが、いずれにしろ日本経済にとってはデメリットしかありませんので、効果が無いどころかマイナスにしかなりません。
しかし、それでも利上げによって儲かる一部の企業は存在しますので、それらのセクターに先回りして投資するのは有効かもしれません。
税金は財源ではありません。
国債の利回りも日本国債のほとんどは国内で消化されているので問題ありません。
利払い費の上昇や日銀の含み損の問題も、国庫納付金による返還や日銀は簿価会計であること、基本的には国債が満期になるまで保有し続ける事で含み損に意味はない事など、既に論理に値しない言い訳ばかりを情報発信して日本国民を騙し続ける国家に投資価値があるとは思えません。
多くの国民がこれらの嘘に騙されなければ、もしかしたら投資価値が生まれるのかもしれません。
これからの投資戦略
一旦保有銘柄を整理する時期に当てましょう。
AI関連銘柄が株価を牽引している状況が続いていて更なる投資を考える気持ちも分かりますが、未来永劫右肩上がりの相場は有り得ません。
時には立ち止まって冷静になって考える時期も必要です。
長期投資家や新NISAから積立投資を始めた投資初心者は、何も考えずひたすらに継続する事が必要です。
長期投資にとって、直近の上がり下がりは誤差に過ぎませんので、いかに時間を味方につけるか、いかに下手な情報に踊らされずマインドを保ち続けられるかが重要です。
商品選択を間違えていなければコツコツと積み立て続けましょう。
まとめ
いかがでしたか?
世界的にインフレが問題視されていますが、対応は国によってまちまちです。
既に利下げを決定したユーロ圏、今年中にも利下げに転じようとしている米国、これから利上げを始めようとしている日本。
どこに投資するのが正しいのか考えなくても分かりますね。