- 9日(水)米6月FOMC議事要旨
- トランプ関税の90日延期期限
- FRBの利下げ観測
これまでの動き
先週の米国株は、S&P500やナスダック総合指数が史上最高値を更新し、テクノロジー株を中心とした上昇トレンドが継続していることから強気一辺倒のような展開となりました。
上昇の背景には、米国経済の底堅さを示す好調な雇用統計や、企業業績の回復、そして素材・金融・エネルギー・生活必需品など幅広いセクターに買いが波及している点などがありました。
市場の上昇が、AI関連銘柄や半導体セクターなど一部銘柄への過度な期待によるものではなく、相場全体としての質の改善が進んでいることが伺えます。
一方で、7月3日に発表された6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が14万7000人増と市場予想を上回り、失業率も4.1%と低下したことで、労働市場の堅調さが改めて確認され、これによってFRB(米連邦準備制度理事会)による早期利下げへの期待が後退しました。
実際に、投資家の間では7月FOMC(米連邦公開市場委員会)で現状維持の確率が95%を超えており、これまで市場を下支えしてきた金融緩和への期待がやや後退したことで、金利の高止まりが続けば特に高PERのグロース株や小型株にとっては割高感が意識されやすくなります。
この場合、投資家の失望感から調整圧力がかかる可能性があるため、現在の株価上昇局面においても投資家は楽観的になりすぎることなく、FRBの金融政策動向や重要指標、パウエル議長の議会証言など、インフレの進展状況や政策スタンスに大きく影響するイベントを慎重に見極める必要があるでしょう。
今後の投資戦略は、特に短期的には金融政策への期待よりも、企業業績の実態が株価の持続性を左右する業績相場に移行していく可能性があります。
今の相場は確かに強い上昇基調にあるものの、追随して楽観に流されるのではなくあくまで慎重な強気という姿勢を持ち続けることが、最適なスタンスであると言えるかもしれません。
これからの投資戦略
今週の米国株は、米国株主要指数が史上最高値水準により投資家心理は強気に傾いているものの、6月FOMC議事要旨を始めとした重要イベントがあり、利下げ時期やインフレ再燃に対する警戒感がくすぶる中での神経質な展開が続くと考えられます。
実際に、9月のFOMCで0.25%利下げの確率が6割台まで低下しており、利下げの更なる先送りがあるのでないかと警戒しています。
また、7月9日にはトランプ関税の90日間の関税猶予期限が到来し、交渉が進んでいる国もある一方で、日本・カナダなどとは交渉難航の兆しがあり、貿易リスクが再燃する可能性も意識されています。
加えて、6月の好調な雇用統計に続く重要指標で労働市場の堅調さが確認されれば、利下げ観測がさらに後退する可能性があり、市場はその結果に敏感に反応する状況にあります。
これらすべての材料が重なる中で、相場は短期的な高値警戒感と中長期的な上昇期待がせめぎ合う形となり、投資家には過度な楽観も悲観も避けながら、イベントリスクに備えた分散投資とポジション調整が求められる一週間となるかもしれません。
一方で、新NISAなどを活用した長期投資家は、引き続き短期的な値動きに惑わされずコツコツと継続する事をお勧めします。
長期投資は数年・数十年後を見据えて投資するものですから、目先の情報に一喜一憂してはいけません。
一度決めたスタンスを守り、SNS等の情報に振り回されないマインドを身に付けましょう。
まとめ
いかがでしたか?
トランプショックから完全に立ち直り、今も史上最高値を更新し続ける米国株ですが注意も必要です。
今の上昇局面を鵜呑みにするのではなく、大局観をもって判断していきましょう。