- 12日(水)米CPI発表
- 米6月平均賃金+12¢
- FRBはあと2回の利上げを想定
これまでの動き
2023年7月7日、米国の6月雇用統計が発表されました。
非農業部門雇用者数は予想を下回りましたが、平均賃金が+12¢と予想を上回る上昇となりました。
これまで、2022年のピークからインフレも順調に低下してきましたが、ここにきてFRB(米連邦準備制度理事会)が最も恐れる賃金インフレが再加熱した事で市場は動揺しました。
その兆候は金利にも現れており、7月に入ってから米国10年債利回りは上昇を続け、現在は4.07%となっています。
これは、今年3月上旬以来の高い数値です。
現在の数値は米国10年債利回りにとってネックラインとなっており、今後も上昇を続けネックラインを突破してしまうと利回りの一段高も考えられます。
利回りの上昇は株価にとってネガティブ要因となりますので警戒が必要です。
しかし、インフレによる米国経済の悪化や中国経済の崩壊、世界的な景気先行き不安など金利上昇要因を挙げればキリがありません。
従って、今後も株価の調整局面が続く可能性は高く、リスク資産の割合には気を付ける必要があります。
加えて、ドル円などの為替に関しても注意する必要があります。
米国は引き続き利上げ局面ですが、あくまで利上げの最終段階であり、FRBからの発言でもある通りあと2回の利上げが想定されています。
ユーロ圏でも、米国に遅れてはいますが利上げは終盤であり、両地域とも来年以降は利上げを停止する可能性が高いでしょう。
新興国は一足先に利上げを完了している地域もあり、経済悪化による利下げが想定されています。
しかし、日本では金融政策の変更どころか、正しい財政政策をせず増税などの緊縮財政を続けており、とてもじゃないですが利上げなどできません。
加えて、財政政策により需要を創出しなかったため他国とは違い需要超過に陥らなかったものの、原材料費の高騰などコストプッシュ型インフレによる物価上昇で家計は大きなダメージを負っています。
他国と同様にデマンドプル型インフレであれば金融引き締め政策を議論すればよいのですが、実質賃金が下がり続けている現状では、利上げによる経済への副作用の方が強く日銀も判断に苦慮しています。
つまり、日本の金利は当分現状維持の可能性が強く、かと言ってインフレ率は上がり続けると言った非常事態に陥っている訳です。
いずれ他国のインフレが鎮静化し、利上げを停止する場面になると、各国との金利差の縮小やインフレを放置している様に見える日本に対する投資家の変化に注意する必要がります。
これからの投資戦略
現金比率を増やしましょう。
早期の利上げ停止や利下げが期待できず、かと言って賃金インフレの高止まりによる利上げ局面の長期化など難しい相場が続くでしょう。
下半期は、上半期の様にAIブームによる株価上昇や利下げ期待など楽観視できる状況にはなく、リスク資産の割合を減らしてでも今後の調整局面を乗り切る必要があります。
多くの投資家が含み益を抱え、今なお強気の情報を流し続けているメディアなど相場が天井を付ける条件が整いつつあるにも関わらず、これから先も相場に対し強気の姿勢を取るのは大事な資産を失う可能性すらあります。
相場での欲は身を滅ぼしますので、今一度現状をしっかり把握しましょう。
一方で、長期投資や積立投資などは引き続き継続する事をお勧めしています。
投資戦略はあくまで個別投資などの短期投資に対する考えですので、時間を味方につけコツコツと積立投資を続ける投資家は止める必要はありません。
目的に合った投資を心掛けましょう。
まとめ
いかがでしたか?
これからは2023年で一番難しい相場となるでしょう。
無理せず現金比率を増やして次の投資機会を待つのも選択肢の一つです。
その間はホームワークを続けましょう。