- 1日(月)米レーバーデーのため休場
- 2日(火)米8月ISM製造業景況感指数発表
- 5日(金)米8月雇用統計発表
これまでの動き
先週の米国株は、7月のPCEインフレ指標と第2四半期GDP改定値が公表され、インフレの粘り強さと米国経済の底堅さが確認された一方で、ジャクソンホール会議でのパウエル議長講演から金融緩和への期待感が維持され、主要株価指数は小幅反落にとどまりました。
全体としては方向感を欠く展開となりましたが、週末にはハイテク株が軟調となり利益確定の売りに押されたことで、米国株主要指数が揃って小幅にマイナスとなった一方、ラッセル2000は小幅の上昇で逆行高を示し、小型株の底堅さが意識されました。
投資家が注目した7月のPCEデフレーターは市場予想と一致し、インフレ鈍化が想定どおり進んでいるものの依然としてFRB目標の2%を上回る水準が続いており、賃金インフレなどの粘着性を確認する結果となりました。
また、第2四半期GDP改定値は年率+3.3%へと上方修正され、特にAI関連の知的財産投資や設備投資の伸びが成長を押し上げたとされ、米国経済の底堅さを裏付ける内容でした。
こうした経済指標を受け、ジャクソンホール後のパウエルFRB議長の発言で労働市場リスクに言及し、9月FOMCでの0.25%利下げの可能性が改めて意識されました。
投資家の間でも、9月のFOMCで0.25%利下げの確率が9割弱と、利下げ路線をほぼ織り込んだ動きとなっています。
市場では利下げ観測で短期金利は低下しましたが、長期金利はまちまちな動きとなり、金利動向をにらんだ不安定な相場展開が続きました。
セクター別では週末にかけて半導体や大型ハイテクに売りが広がり、NVIDIAやMarvell、Dellなどが需要鈍化懸念やガイダンスを背景に下落する一方、オートデスクは強気の見通しを発表し大幅に上昇するなど、決算内容やガイダンスへの反応が株価を大きく左右しました。
投資家にとっては、インフレは鈍化しても完全に沈静化したわけではなく、利下げ観測があってもバリュエーションの上値を抑える圧力が残ることを再認識させられる週となりました。
投資初心者にとって重要なのは、好決算を発表しても先行き見通しが弱ければ株価が売られるなど、短期的にはガイダンスへの市場反応が強く表れること、また、これまで上昇をけん引してきた大型ハイテク株が軟調になる一方で小型株に資金が流入する場面が出てきたことから、ポートフォリオの分散効果を改めて考える好機だという点です。
しかし、短期的な株価の上下に惑わされず、中長期的に資産形成を意識したポートフォリオ運用を心がけるべきでしょう。
これからの投資戦略
レーバーデー明けの相場に注意しましょう。
今週の米国株は、歴史的に9月が一年で最もリターンが低い月とされるアノマリーに加え、レーバーデー明けの投資家心理の軟化が重なることから、相場の不安定化に警戒が必要な局面と考えられます。
過去75年の統計によると、米国株主要指数はいずれもマイナスとなる傾向が確認されており、特に夏のバカンスから投資家が戻るタイミングで利益確定売りが出やすく、流動性の戻りがボラティリティ上昇につながりやすい点が注目されます。
また、レーバーデー明けの相場は休暇を終えた機関投資家がポジション調整を行うため、短期的な戻り売り圧力が強まりやすく、9月は弱いという市場心理が自己実現的に作用する面もあります。
9月は米国にとって日本で言う新年度に当たるとされており、各投資家が今期の成績を積み上げる上での気合が違います。
しかし、それが必ずしもポジティブに動かないのは歴史が証明していると言う皮肉もあります。
ですが、毎年同じ展開になるわけではなく、2025年に関してはインフレ鈍化と利下げ期待が相場を下支えする可能性も指摘されています。
実際、8月のS&P500は4カ月連続のプラスを達成、200日移動平均線を上回って推移しており、テクニカル的には上昇基調を維持しています。
もっとも9月第1週には雇用統計やADP雇用データが発表され、労働市場の強弱次第で利下げ観測の織り込み度合いが大きく変化するため、相場がデータに敏感に反応するリスクは高い状況です。
さらに9月後半にはFOMCが控えており、市場は0.25%の利下げをほぼ織り込み済みですが、パウエル議長の会見や声明文において今後の追加利下げの可能性に言及があるかどうかで中期的なトレンドが左右されるでしょう。
経済指標は底堅い結果を示しているものの、個人消費や景況感指数などは鈍化しており、インフレによる価格高騰が個人消費にダメージを与えている事に加え、トランプ関税による消費者への価格転嫁が更なる消費減退を招く可能性を危惧しています。
この場合、リセッション入りが強く意識され、景気悪化による失業率の増加や購買力の低下で企業業績が落ち込むことも心配されています。
つまり、割高感の強い米国株がリセッション懸念により大きな調整局面に入る可能性も考えておかねばなりません。
従って、今は積極的な売買や楽観的に上値を追うような行動は控えた方が良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
一年で最も難しい月に入り、投資家も危機感をもって相場に臨まなければなりません。
これまでの楽観視を捨て、秋の相場を慎重に歩んでいきましょう。