- 12日(水)米7月CPI発表
- 14日(金)米7月小売売上高発表
- ホルムズ海峡解放の行方
これまでの動き
先週の米国株は、主要3指数がそろって大幅に上昇しました。
週間騰落率を見ると、S&P500は3.58%上昇して7,757.64、NASDAQ総合は5.19%上昇して26,690.62、NYダウは2.96%上昇して54,036.93で取引を終えています。
特にNASDAQの上昇が目立ち、AIや半導体などハイテク関連株への強い買いが相場全体を押し上げました。
今回の米国株上昇を支えた要因として、大きく注目されたのが企業の決算、AI関連投資への期待、原油価格、そして米国の雇用情勢です。
まず3日は、米国とイランをめぐる緊張緩和への期待などを背景に原油価格が急落しました。
Brent原油先物は7%下落して83.77ドル、WTI原油先物は5.1%下落して80.34ドルとなり、インフレや金利上昇への警戒感が和らぎました。
原油価格が下がれば企業のコスト負担が抑えられ、インフレ圧力の低下を通じて金融政策の引き締め懸念が後退する可能性があります。
続く4日には、好調な企業決算が株価を大きく押し上げました。
S&P500は1.79%、NASDAQは2.59%、NYダウは1.71%上昇し、特にAI関連銘柄への買いが強まりました。
パランティア・テクノロジーズは年間売上高見通しを引き上げたことで株価が29.5%上昇し、キャタピラーも年間売上高成長率の見通しを引き上げ、株価が5.6%上昇しました。
また、半導体関連株にも買いが入り、フィラデルフィア半導体指数は6.6%上昇しています。
一方、AMDなど一部のAI関連株では、決算内容が市場予想を上回っていても株価が下落する場面がありました。
これは現在の市場が単純な好決算ではなく、すでに株価に織り込まれている期待をさらに上回る成長を求めているためです。
そして米国株市場に大きな影響を与えたのが雇用統計でした。
7月の非農業部門雇用者数は2万3,000人減少し、市場予想の8万人増加を大幅に下回りました。
雇用市場の弱さは通常、景気悪化への懸念につながりますが、今回はFRBによる利上げ観測が後退するとの見方が強まり、株式市場にはむしろプラス材料として受け止められました。
投資家の間でも、9月の利上げを織り込む市場の確率は前日の約55%から約44%へ低下しています。
また、7日時点でS&P500構成企業の436社が決算を発表し、その85.1%が市場予想を上回ったとLSEGのデータで報じられています。
これは1994年以降の平均である68%を大きく上回る水準です。
つまり、今回の米国株上昇は単なる期待だけではなく、企業利益の強さによっても支えられていたと考えられます。
ただし、今後も米国株が上昇し続けると決めつけるのは危険です。
原油価格が再び上昇すればインフレや金利への警戒が強まる可能性があり、雇用市場の悪化が景気後退につながれば企業利益にも影響します。
また、AI関連企業についても、巨額の設備投資が実際の売上や利益につながるのかを見極める必要があります。
今後の米国株投資では、株価の上昇だけを見るのではなく、企業の決算、利益成長、金利、雇用、原油価格を総合的に確認することが重要です。
特に個別株を検討する場合は、次回決算の売上高、利益、会社側の業績見通しという3つの数字を確認してみましょう。
株価は期待だけでも動きます。
長期的な資産形成を考えるなら、株価が上がっているかだけではなく、その株価を支える企業利益が本当に成長しているかを確認することが重要です。
これからの投資戦略
決算良好銘柄を保有しましょう。
今週の米国株は、先週の強烈な上昇を受けて、インフレと金融政策の方向性を見極める重要な1週間になります。
背景には好調な企業決算に加え、7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が2万3,000人減少したことから、FRBによる利上げ観測が後退したことがあります。
つまり現在の市場では、景気が強いかだけでなく、インフレが鈍化しFRBが金融政策を緩和方向へ動かせるかが株価を左右しています。
そこで今週最大の焦点となるのが、8月12日に発表される7月のCPI(消費者物価指数)です。
市場予想では総合CPIが前年同月比3.4%程度、コアCPIが2.5%程度とされています。
前月の総合CPIは3.5%だったため、予想通りならインフレ率はわずかに鈍化することになります。
CPIが市場予想を下回れば、先週の弱い雇用統計と合わせてインフレは落ち着き、雇用も弱くなっているという見方が強まり、FRBが利上げを急ぐ必要性がさらに低下する可能性があります。
これは米国債利回りの低下を通じて、特に金利に敏感なNASDAQや大型ハイテク株に追い風となる可能性があります。
反対に、CPIが予想を上回れば状況は一変します。
先週まで後退していた利上げ観測が再び強まり、米国債利回りが上昇し、高値圏にあるNASDAQやS&P500には利益確定売りが出やすくなるでしょう。
特に現在は株価がすでに大きく上昇しているため、予想通りよりも予想を上回るか下回るかが重要です。
さらに14日には7月の小売売上高が発表されます。
市場予想は前月比約0.3%増とされており、個人消費が底堅さを維持できるかが焦点です。
米国では個人消費が経済活動を支える重要な要素であるため、雇用市場が弱くなっているなかでも消費が維持されているのかを確認する必要があります。
小売売上高が予想を上回れば景気への安心感につながる一方、雇用減速と消費低迷が同時に確認されれば景気後退への警戒が強まる可能性があります。
また、今週は経済指標だけでなく企業決算も重要です。AIデータセンター関連の決算が予定されており、AI向け設備投資が今後も拡大するのかが注目されます。
特に先週はNASDAQが5%を超えて上昇したため、企業業績が株価の期待に追いついているのかを確認する局面です。
さらに13日にはCPI後のFRB高官発言も予定されており、インフレ指標をFRBがどう評価するのかも市場を動かす可能性があります。
最も株価に追い風となるのは、CPIが3.4%を下回る、またはコアCPIが2.5%以下となり、PPIも鈍化し、小売売上高が0.2〜0.3%程度の増加を維持するケースです。
この場合、インフレ鈍化+消費維持という比較的理想的な状態となり、FRBの利上げ懸念が後退することでNASDAQや成長株が再び買われる展開が考えられます。
一方、CPIが3.5%以上に上昇し、コアCPIも予想を上回れば、先週の株高の反動から調整するリスクがあります。
特にS&P500が過去最高値圏にあり、NASDAQも急上昇した直後だけに、インフレ指標の上振れは利益確定売りのきっかけになりやすいでしょう。
今週はまさに、雇用統計で生まれた利下げ期待が、インフレ指標によって裏付けられるのかを確認する週です。
短期的な株価だけを見るのではなく、CPI・小売売上高と金利をセットで確認することが、2026年後半の米国株を考えるうえで重要になります。
まとめ
いかがでしたか?
マグニフィセントセブン銘柄の決算クリアを筆頭に、多くの企業が予想を上回り好調な業績を発表しています。
しかし、中東情勢やFRBの利上げ姿勢など、この流れを断ち切るリスクはまだ解消されていませんので、引き続き慎重な姿勢で行動しましょう。
