- 5日(月)米7月ISM非製造業景気指数発表
- FRBは9月に利下げするか
- 米国経済の急速悪化の今後と決算
これまでの動き
先週の米国株は、直近の経済指標の結果からハードランディング危機が強く意識された事や、AI関連銘柄を含めた好調であったはずの企業の決算内容が思わしくなかった事などがネガティブ要因となり急落する展開となりました。
2024年8月2日に発表された米7月雇用統計の結果は以下の通り。
非農業部門雇用者数前月比予想17.5万人に対し、結果11.4万人。
失業率予想4.1%に対し、結果4.3%。
平均時給+7¢。
雇用統計の結果からも雇用環境は悪化しており、米国経済が急速に後退している事が分かります。
これまではGDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費が旺盛だったこともあり、利上げの影響を最小限に食い止めながらも鎮静化させるソフトランディングが期待されていました。
しかし、デマンドプル型インフレは相次ぐ金融引き締め策等で鎮静化したものの、賃金上昇などのコストプッシュ型インフレによる物価高に上手く対処できなかったせいで、商品価格が上昇し続けついに最終消費者が手を出せないほどに高騰したため買い控えが急速に広がっていきました。
需要の極端な落ち込みは企業の売り上げに大打撃を与え、対消費者の企業を中心に業績が大幅に悪化しました。
そして、これまで活気付いていた旅行や外食も同じように減退しており、米国経済は目に見える形で不況に突入していきました。
このままではリセッション入りする事も考えられ、投資家はその資金を一気に退避させ今の様な株価急落が続いているのです。
それに加えて、これまで米国株を牽引してきたAI関連銘柄の決算にも陰りが見られ、ガイダンスが軒並み下方修正された事などが悪材料となり急落する企業が増えました。
高い成長率を期待されて上昇していたAI関連銘柄が鈍化するのであれば、早めに資金を引き上げようとする投資家が後を絶たず株価下落の要因になっています。
この急落は一朝一夕に解決する問題ではないため、今年から新NISA(少額投資非課税制度)を始めた投資初心者を中心に退場する人が増えています。
FRB(米連邦準備制度理事会)も経済悪化を理解しているのか、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で9月利下げに言及するなど、利下げへの方針転換の下地を作っています。
投資家の間でも既に利下げは織り込み始めており、9月のFOMCで0.50%利下げの可能性が約75%と、もはや0.25%利下げでは景気悪化に対処できないと予測しています。
11月のFOMCでも0.50%利下げの可能性が約6割となっており、FEBの利下げタイミングが遅れたと判断する投資家が大多数であることが分かります。
大方の予想では、年末には4.00%~4.25%になっていると考えられているため、大統領選への影響などと言っていられる状況に無い程米国経済の悪化が深刻であることが分かります。
しかし、米国ではこれまでのFRBの功績によって利下げオプションがあるため、米国株にとって悲観的な事ばかりではありません。
当初の予想通り、秋ごろに大底を付け反転する可能性は残っているため米国株は全降りする局面ではないでしょう。
しかし、決算内容はしっかり確認する必要があり、特に決算を控えるエヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)はAIバブル崩壊の引き金になる可能性を孕んでいるため注意が必要です。
一方日本では、日本銀行が日銀金融政策決定会合で追加の利上げを決定し、しかも予想に反して0.25%に引き上げると決定したため、急速な円高と日本経済の崩壊から日本株は暴落しています。
需要が無いこの国でなぜ利上げをする必要があるのか誰も説明できない中での利上げ強行は、ただ内需を破壊し、これまで輸出で儲かり株価を牽引してきたグローバル企業までも貶める結果となりました。
利上げを正当化するために大々的に行われてきた円安を悪者に仕立て上げるキャンペーンが功を奏し、日本人の多くは物価高は円安のみの責任だと洗脳されました。
円安に苦しむ庶民を助けるためには利上げしかないと言う空気を作り出せれば、財務省を始めとした政策関係者は己が利権のため堂々と日本銀行に利上げを決定させたのです。
御用学者の総裁はこれに逆らえませんから、当然昔の日銀気質を取り戻す決定に躊躇はありません。
そこに正しい日本国民の声は全く届きませんでした。
従って、直近の日本株暴落は当然の結果であり、利上げをすれば株価が下がる事は2021年の年末から2022年の中頃までの米国株を経験した投資家であれば分かっていたため、容易に退避できたことでしょう。
世界中の投資家はそれを理解しているため、取引の7割が海外投資家になっている日本では、円高の影響も相まって海外資金が売りに転じたという訳です。
何もおかしなことはありませんし、突然起きた暴落でもありません。
それが分からず、日本株をトレードする投資家は軒並み退場する事でしょう。
一方で、素人インフルエンサー等に騙されて高配当目当てで日本株に投資した投資初心者は、配当には関係ないと考えているかも知れませんが、これからの業績は更に酷いものが予想され簡単に減配へと方向転換してもおかしくはありません。
その時になって慌てて逃げようとしても、それまでの暴落に加え減配による個別銘柄の急落に巻き込まれ目も当てられない結果になるかもしれません。
原材料費高騰は幾分落ち着いているものの、世界は賃金インフレの対処を迫られる事となりコストプッシュ型インフレに対応する財政政策がカギとなります。
しかし、日本では国家政策として企業に賃金上昇圧力を加えており、物価高を最終消費者に押し付けながらも増税と利上げで更に需要を破壊し続けています。
日本銀行もデフレ脱却を疎かにしたことで利下げのオプションが無く、政府も財務省の傀儡として緊縮財政を推し進めており、世界の流れから完全に逆行しています。
そんな国の株価が暴落するのは当たり前で、恐らくもう元には戻らないでしょう。
これからの投資戦略
米国の利下げ時まで投資は控えましょう。
米国の景気悪化はそう簡単に終わりませんから、今の下落に飛びつくような愚かな真似は止めましょう。
しかし、新NISAでの積立投資や長期投資家は米国株から全降りすることなく我慢の時期を過ごす覚悟を持って積み立て続けてください。
全体の決算内容を把握し、大統領選の動向を確認しつつも不透明感が晴れ大底を付けるその時まで恐怖と買いたい衝動を抑えるメンタルを鍛えましょう。
米国・ユーロ圏はこれから確実に利下げへとシフトしていくため、金融政策・財政政策のオプションを持つ投資先はこれからもチェックしていきましょう。
一方で、何の武器も持たずただ日本国民を淘汰し続ける日本には投資価値がありません。
植田ショックを言われている様に、今回の暴落は人為的であり政策の失敗が招いたことなので、早々に日銀メンバーを入れ替える必要があります。
初期の安倍・黒田体制の様に足並みを揃えてデフレ脱却に踏み出したように、政府・日銀が一体となって経済を立て直さなければこの崩壊は止まりません。
しかし、実際にやっている事は真逆であり、マイナス金利政策を異常と決めつけ金融正常化の名のもとに利上げを続ける日銀に正当性はありません。
岸田政権も増税路線の強化を止める事はありませんから、日本の未来に投資する要素が全く見当たりません。
利上げ時に株式投資する者がいない事に加えて、脆弱な経済基盤では成長は全く見込めません。
従って、日本がただ衰退していくこと、外資に買い叩かれ主権を失っていくことを黙って見ている他ありません。
ですが、もし今後唯一日本に希望があるとすれば、9月に行われる自由民主党総裁選挙で青山繫晴氏が総裁選に立候補でき、総裁選を勝ち抜くことが出来れば日本にも未来があるかもしれません。
メディアは利権維持のため完全に黙殺していますが、総裁選は自由民主党党員も参加することが出来ます。
つまり、一部とは言え日本国民も参加出来る訳ですから、可能性はかなり低いとは言え一筋の希望は残されています。
しかし、利上げ容認の空気に騙されるような国民が、果たして正しい選択が取れるか大いに疑問なため、やはり日本に投資価値が無いと言わざるを得ません。
2024年に日本の未来が決まると言っても決して過言ではありません。
まとめ
いかがでしたか?
今の暴落で総悲観になる気持ちは分かります。
しかし、いずれも希望は残されており、それが実現するかで今後の投資方針が決まる事でしょう。
それまではしっかりホームワークを続ける事で、いつでも行動できるよう準備しましょう。