【9日〜13日】S&P500最高値から急落、その要因とは?

心得
  • 17日(火)米5月小売売上高発表
  • 18日(水)米FOMC
  • 19日(木)英6月中央銀行政策金利発表

これまでの動き

先週の米国株は、前半はテック株主導で堅調に上昇し、S&P500が一時的に史上最高値を更新する場面も見られましたが、週末には中東情勢の急激な悪化によりリスクオフの動きが強まり、主要3指数は揃って下落するという波乱の展開となりました。

週明けは、前週に発表された5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が13.9万人増となり、市場予想をやや上回ったものの、労働市場の減速傾向が示唆されたことで、FRBの利下げ期待が高まりました。

これを受けて長期金利が低下し、金利に敏感なハイテク株への買いが優勢となりました。

特にNvidia、Apple、Microsoftなどの大型テック株や、半導体・AI関連銘柄が強く、NASDAQやS&P500は連日上昇を記録し、過去最高値を更新しました。

しかし、13日には地政学的リスクが急浮上します。

イスラエルがイランの核施設を空爆したとの報道が駆け巡り、中東情勢の緊張が一気に高まりました。

これにより原油価格(WTI先物)は急騰し、エネルギー価格上昇によるインフレ再燃懸念が強まったことが株式市場のセンチメントを冷やしました。

とくに原油高は輸送、消費、航空など幅広い業種のコスト圧力となるため、企業業績への不安感が広がり、投資家はリスク回避姿勢を強めました。

その結果、13日の米国株市場ではS&P500が前日比で1.3%下落し、NASDAQも1.5%安、ダウ平均にいたっては700ドルを超える下落となるなど、全面安の展開となりました。

VIX指数(恐怖指数)も週末にかけて急騰し、リスクの高まりを如実に反映しました。

結果的に、週間ベースで見ると全指数がマイナス圏で引けています。

このように、今週の米国株は、前半のソフトランディング期待による買いと、週末の地政学リスクの顕在化による売りという、全く異なる2つの相場心理が交錯する形となりました。

今後の注目点としては、FRBの次回FOMCでの利下げに対するスタンス、中東情勢の推移、そして7月以降に本格化する企業の第2四半期決算が挙げられます。

特にインフレ指標であるCPIやPCEデフレーターが利下げのタイミングに与える影響は大きく、FRBが9月利下げに踏み切るか否かがマーケットのカギを握ります。

また、原油高が持続するかどうかも物価と企業コストの両面に影響を与えるため、引き続き注視が必要です。

短期的には地政学リスクの高まりがリスクオフの材料となりやすく、しばらくは不安定な相場が続く可能性もあるため、投資家はリスク分散を意識した慎重なスタンスが求められる局面といえるでしょう。

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これからの投資戦略

今後の米国株は、中東情勢の推移FRBの金融政策の方向性、そして企業業績とインフレ指標の変化が大きなカギを握る展開となりそうです。

まず、13日に報じられたイスラエルによるイランの核施設空爆は、原油価格を急騰させただけでなく、世界的な地政学リスクを一気に高めました。

今後、この衝突が拡大・長期化するかどうかによって、原油を中心とした資源価格がさらに上昇し、インフレ再燃のリスクが高まる可能性があります。

そうなれば、FRBの利下げ期待は後退し、株式市場にとっては逆風となります。

一方、6月前半に示された雇用の減速傾向やCPIの伸び鈍化は、FRBの9月利下げのシナリオを後押しする材料となっています。

特に今後数週間で発表されるPCEデフレーターや雇用統計などの主要経済指標が、引き続きインフレ鈍化と景気減速を示す内容であれば、投資家の間でソフトランディング期待が再び高まり、株式市場は落ち着きを取り戻す可能性があります。

投資家の間では、6月のFOMCでは現状維持で一致しており、インフレ再燃による利下げ後退への警戒心が高まっています。

また、7月以降には主要企業の4-6月期決算発表が控えており、特にAI・半導体関連の業績が市場の注目を集めます。

ここでポジティブな決算やガイダンスが示されれば、再びテック主導の上昇トレンドに戻ることも期待できます。

ただし、業績が市場予想に届かない場合は、バリュエーションの高さが意識され、ハイテク株の調整リスクも残ります。

総じて、当面は中東リスクとインフレ動向、そして利下げ時期を巡る思惑が入り乱れ、ボラティリティの高い展開が続く見通しです。

投資家は短期的なニュースに一喜一憂せず、リスク管理と分散投資を徹底することが重要です。

イスラエルとイランの争いが長期化し、また深刻化した場合は、世界的なリセッション懸念が高まり株式市場は大きな調整局面を迎えるかもしれません。

そのため、長期投資などコツコツ継続する投資家以外は、なるべく慎重な行動が求められるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

中東の地政学リスクの高まりで、週末は世界中の投資家が悲観的な動きを見せました。

この経過は把握する必要があり、単に小競り合いで終わると考えるのは難しそうです。

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