投資を始められないのは現状維持バイアスのせい?行動しないリスクと資産形成の始め方

資産形成

「投資を始めた方がいいのは分かっているけれど、なかなか行動に移せない…」

そんな悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。

実はそれ、現状維持バイアス(Status Quo Bias)という心理が原因かもしれません。

人は変化を避けて今のままが安心と考えてしまう傾向があります。

しかし、資産形成において行動しないことは安全ではなく、むしろ大きなリスクになります。

インフレでお金の価値が目減りし、投資の複利効果を逃し、保険の見直しを怠れば数百万円単位の損失につながることもあるのです。

本記事では、投資初心者が陥りやすい現状維持バイアスをわかりやすく解説します。

現状維持バイアスとは?

現状維持バイアス(Status Quo Bias)とは、心理学でよく知られる行動経済学の概念で、人が変化を避けて今の状態を続けようと無意識に選んでしまう傾向を指します。

例えば、保険の見直しを勧められても今のままでいいやと先延ばしにしたり、投資の必要性を理解していても忙しいから後で始めようと考えて行動しなかったりするのが典型例です。

人間は本能的に、変化することによって生じる不安や損失を過大に見積もり、逆に何もしないことで失うものを軽視する傾向があります。

これが現状維持バイアスの怖い点です。

資産形成においては、この心理が大きな壁となります。

銀行預金に置いておくだけで安心だと感じるのも、現状維持バイアスの一種です。

しかし実際には、物価上昇(インフレ)が進むと資産の実質価値は目減りしていきます。

また、投資の世界では時間が最大の味方です。

20代で始めれば小さな積立でも複利の力で将来大きな資産に成長しますが、40代・50代になってから慌てて始めても同じ効果は得られません。

今はまだ大丈夫と思うことが、将来の大きな機会損失につながるのです。

現状維持バイアスは誰にでも起こる自然な心理ですが、資産形成においては行動しないことこそ最大のリスクになります。

だからこそ少額からでも投資を始める、年に一度は保険や資産配分を見直すといった小さな行動が、未来の安心を守る大きな一歩になるのです。

投資に否定的な態度の理由とは?

多くの投資初心者は投資を始めた方がいいと頭では理解していても、実際には行動に移せていません。

その背景にはいくつか典型的な理由があり、さらにそれを強めているのが現状維持バイアスです。

まず一番多い理由がお金がないから投資できないというものです。

物価上昇の影響で実質賃金が低下し、更には奨学金返済などの支払いのため生活費だけでカツカツで投資資金が捻出できないと言う意見もあります。

これは、実際は月100円や1,000円からでも投資は始められるのですが、ある程度まとまった資金がないと無理だと先送りにしている考え方なのです。

こういう人のほとんどが、言い訳するだけで生活費の見直しをしない、或いは浪費癖の現状を変えようとしないのです。

これも現状維持バイアスの影響で、今の生活を変えずに済む安心感を優先してしまうのです。

次に多いのが損をするのが怖いという心理です。

投資には価格変動リスクが伴いますが、人は利益よりも損失に強く反応する傾向があります。

つまり1万円得する喜びより1万円損する恐怖の方が大きく感じられるのです。

そのため、投資で得られる可能性よりも、損をする可能性を過大に見積もり、行動を避けてしまいます。

これもまさに現状維持バイアスで、投資しない=損しないという錯覚に縛られている状態です。

さらに、なんとなく始められない忙しくて時間がないという人も少なくありません。

投資の知識を学ぶのは確かに手間がかかります。

しかし、それを理由に今はやめておこうと判断してしまうのも現状維持バイアスの表れです。

新しい行動を取るより、何もしない方が心理的に楽だからです。

このように、投資初心者が投資を始められない理由はさまざまですが、根本には変化を避けたいという心理的な壁があります。

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資産形成における行動しないリスク

投資や保険の見直しをまた今度でいいやと先送りにしてしまう人は多いですが、実は資産形成において一番大きなリスクは行動しないことです。

何もしていないのだから安全だと思いがちですが、現実には静かに損失が広がっています。

これが行動しないリスクです。

第一に挙げられるのがインフレによる資産価値の目減りです。

銀行預金に100万円を置いておけば安心だと思うかもしれませんが、物価が年2%上がれば10年後には実質的に8割程度の価値しかありません。

預金で守っているつもりが、実際には目減りしているのです。

日本はこれまで長期間デフレに苦しんできました。

その結果、インフレ時の正しい対応を忘れてしまい、いざ急に物価上昇の波が押し寄せても変化を嫌い行動を起こしません。

次に大きいのが複利効果を失うリスクです。

投資の最大のメリットは、利益を再投資し続けることで雪だるま式に資産が増える複利効果にあります。

しかし、投資を始めるのを10年遅らせるだけで、老後の資産額は数百万円から数千万円も差がつく可能性があります。

今はまだ大丈夫と思っている時間が、そのまま機会損失となるのです。

お金は取り返す事が出来ますが、時間だけはどんなお金持ちでも取り返す事は出来ません。

さらに不要な支出を続けるリスクもあります。

例えば、ライフスタイルが変わっても保険の見直しをせず、過剰な保障に数十年払い続ける人は少なくありません。

見直さない現状維持バイアスが、長期的に数百万円単位の損失を生むこともあります。

お金が無いと言っている人ほど浪費癖が治っておらず、安易にコンビニ・ブランド品・外食等、資産にならないお金の使い方をしてお金が貯まらない状態を続けます。

資産形成における最大の落とし穴は、行動しないことが一番安全という誤解です。

まとめ

いかがでしたか?

投資や保険の見直しを先延ばしにしてしまう背景には、誰もが持つ現状維持バイアスがあります。

今のままで大丈夫と思う方が楽だからです。

しかし資産形成においては、行動しないことこそが最大のリスクになります。

インフレによる資産価値の目減り、複利効果を失う機会損失、不要な保険料の払い過ぎ、どれも動かないことが原因で起こる損失です。

大切なのは、いきなり大きな投資をすることではありません。

月5,000円からのつみたてNISA、iDeCoでの老後資金づくり、年に一度の保険見直しなど、小さな一歩を踏み出すことです。

こうした習慣を積み重ねることで、将来の資産は確実に変わっていきます。

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