- イールドカーブコントロール上限を±0.5%に変更
- 金融緩和のスタンスに変更なし
日銀によるサプライズ
令和4年12月20日に日本銀行で行われた政策委員会・金融政策決定会合の中で、今までとは違う政策に市場は驚き相場が荒れる事態となりました。
日銀金融政策決定会合と言えば、マイナス金利導入や現行政策であるイールドカーブ・コントロール、フォワードガイダンスを軸に続けてきました。
しかし、近年政策変更もなく、投資家の間でも気にするイベントでなかった今回の日銀金融政策決定会合で日本の長期金利の上限を実質認める政策変更を決定する異常事態となりました。
これはFRB(米連邦準備制度理事会)の様なFEDウォッチャーなどに観測記事を書かせると言った市場との会話を全く行っていなかったため、債券市場は動揺し債券価格が急落する結果となりました。
日本経済がデフレに陥って以来景気回復出来ずにいた昨今、新型コロナにより日本経済は更なるダメージを負いました。
新型コロナ以降の他国政府は、金融緩和・財政政策と言った急激に落ち込む経済を何とか回復させようと正しい政策を講じてきました。
その結果、異例の速さで経済が回復する事となり各国は致命的な事態を避ける事に成功しました。
しかしその反動で急激な景気刺激策は需要過多を生みインフレ率の急上昇を招きました。
本来インフレ率は緩やかに上昇するのがあるべき姿であって、インフレの急騰は経済にとって悪影響を及ぼします。
それが今の様な世界的な金融引き締め策の実行に繋がっている訳です。
対して、日本はデフレ脱却どころか消費増税など行き過ぎたインフレ状況ですらないにも関わらずインフレ対策を続けた結果、日本国民は一部の人を除き総じて貧しくなりました。
そこに新型コロナが蔓延し経済を破壊したため、さすがの日本政府も今までとは違った財政出動を行いましたが質・量とも足らず他国の様に実体経済が回復する事はありませんでした。
従って、他国の様に利上げ等金融引き締めを行うことが出来ず、主に日米との金利差により急激な円安に見舞われました。
つまり、新型コロナを機に日本も他国の様な政策変更をすれば良かった可能性が高いという訳です。
今頃になって政策変更した事の影響とは
会議内容が詳らかにされていませんのでハッキリとした事は分からないものの、その直前までメディア等で日銀に対し緩和を続ける必要性について話題となっていたことも要因と考えられます。
日本経済はコストプッシュ型インフレによって消費者物価指数が上昇しているためそれを抑制すると言った可能性もありますが、他国のインフレの原因であるデマンドプル型のインフレではないため日本の長期金利上昇の容認は明らかに間違ったメッセージを与えた可能性が高いのです。
日本は自前資源の開発を疎かにしエネルギー等を輸入に依存しているため、為替の急激な円安で物価は上昇しました。
加えて、元々日本は需要不足のデフレであり生産者は商品価格を満足に転嫁できず今日まで来ていたため、物価高はさらに消費者の購買意欲を削ぐ結果となりました。
そう言ったデフレスパイラルに陥っている中での金利上昇は、他国の例と同様に経済の鎮静化となるため経済被害は更に拡大することとなります。
黒田日銀総裁は利上げではないと発言していますが、市場がそれを正確に理解してくれる可能性は低いと考えます。
よって、長期金利の上昇は株式市場にとってもネガティブ要因になるため、単独で上昇する事の出来ない多くの日本株にとって厳しい状況になるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
サプライズとなった日銀金融政策決定会合でしたが、黒田日銀総裁が今後も丁寧に市場に語り掛ける事でもしかしたら理解が広がるかもしれません。
しかし残りの任期を考えればその可能性があるかどうかは不明瞭です。
日本は長年間違った政策を続けていますので、いつか正しい政策の起点が生まれる事を願います。