- 非農業部門雇用者数は予想を上回っている
- 平均賃金が+11¢と高止まりしている
- 過度な利上げは景気の腰折れを招きかねない
5月雇用統計の結果
米国の5月雇用統計の結果は以下の通り。
非農業部門雇用者数は前月比予想19.0万人に対し、結果33.9万人。
失業率予想3.5%に対し、結果3.7%。
平均賃金前月比0.4%に対し、結果0.3%。
非農業部門雇用者数は予想を大きく上回っているものの、失業率が悪化している事や力強い雇用環境の割には決算ミスや消費の落ち込みなどやや失速している事が分かります。
インフレ長期化による家計への圧迫は、米国GDPの約7割を占める個人消費に影響を与えますので注意が必要です。
しかし、この結果によってFRB(米連邦準備制度理事会)が6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げを加速させる可能性は低いと考えます。
なぜなら、FRBは雇用統計発表以前に6月のFOMCでは利上げを一旦ストップする旨の発言をしており、インフレ退治は完了していないが様子を見る姿勢を示しました。
現在投資家の間でも、6月のFOMCで利上げ停止する確率は約74%であり、0.25%利上げする確率は約25%で概ね利上げ停止になるシナリオを織り込んでいます。
一方で、7月のFOMCで0.25%利上げする確率は約53%と最も高く、6月で利上げしなったからと言って完全に利上げ停止したという訳ではなく状況を見ながら利上げを続けていくと考えられています。
米国の経済指標は強いものの、過熱感は確実に鎮静化してきており今後は景気の腰折れも警戒する必要があります。
アナリスト予想も第2四半期のEPS予想を引き下げており、決算をミスする企業や売上・利益が減少する企業などが増えてくると考えています。
従って、直近の堅調な相場が長続きするとは考え難く、全降りする必要はないものの過度な強気は控える必要があります。
今後の投資戦略
必要であれば保有する個別株を利確しながら次の投資機会に備えるべきと考えます。
以前から指摘してきた利下げに対するFRBと投資家のスタンスの乖離は幾分縮まったものの、投資家が望む利下げ時期は確実に後退しています。
投資家は今年中に利下げすることを織り込んでいますが、FRBにその考えはなく、今年は経済指標を見ながら利上げを見送ったり実行したりで利下げをする選択肢はほとんど考えられません。
つまり、ここにも乖離が生まれており、加えて企業業績が落ち込むとなると一部の企業で指数を支えてきた構図が崩れる可能性が高く指数は調整局面に入るかもしれません。
当然ですが、今後発表される経済指標が悪化するような結果が続けばFRBも態度を改める必要がありますから、過度な悲観にならず経済指標を確認していきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
米国の経済指標が強いのは疑いようがありません。
しかし、その陰りが見えてきているのも確かです。
一部の巨大テック企業が株価を押し上げていますが、それが新たな相場の起点になることはありませんので無理な投資は控えましょう。