- 16日(水)米3月小売売上高発表
- 17日(木)ユーロ圏4月ECB政策金利
- 決算シーズンの本格化
これまでの動き
先週の米国株は、トランプ関税の追加関税措置が90日間延期発表されたことで急反発する週となりました。
週初の4月7日、トランプ大統領が中国への関税を84%に引き上げると発表し市場は混乱しました。
これを受け、ダウ平均株価先物は800ポイント以上下落、S&P500とナスダックも大幅安となり、VIX(恐怖指数)はパンデミック初期以来の水準に急騰しました。
市場には政策の予測不能さが広がり、投資家心理は急激に悪化しました。
しかし、4月9日には一転して中国を除く全世界に対する関税を90日間10%に引き下げるとの発表があり、それまで急落していた原因が一時的にも取り払われた事で市場は急反発しました。
米国主要指数もS&P500は9.52%、ダウ平均は7.87%、ナスダックは12.16%上昇するという歴史的なリバウンドを見せました。
ただし、翌10日には再び懐疑的な見方が広がり、株価は反落し、政策の一貫性や持続性に対する懸念が根強く残った格好です。
また、ゴールドマン・サックスが2025年第4四半期のGDP成長率予測を0.5%に引き下げ、景気後退リスクを45%としたことや、JPモルガンのCEOによる関税の経済成長抑制に対する警告も市場の重しとなりました。
さらに、他国からの米国債の売り浴びせ等により長期金利が上昇し、FRBの利下げの効果が限定的になるという見方も株式市場にとってマイナス材料でした。
この米国債市場は歴史的な売り浴びせによって、米国債10年物利回りは約50bp(ベーシスポイント)急騰しました。
主因はトランプ政権による対中関税強化に端を発したインフレ懸念と、ヘッジファンドのベーシストレード解消による大量売却です。
また、中国を含む外国勢の売却観測も影響しました。
米国債長期金利の上昇は、米国株にとってネガティブ要因となります。
このまま上昇局面が続けば、トランプ関税とは違った下落要因となりせっかくの上昇基調も空振りに終わるかもしれません。
株安・債券安・通貨安のトリプル安から立ち直るためにも、この90日の間にトランプ関税の早期解決や米国債の安定的な低下が求められます。
これからの投資戦略
保有銘柄を整理しましょう。
米国債市場では歴史的な売り浴びせが発生し、10年物国債利回りは50ベーシスポイント以上急上昇しました。
このような不安定な相場環境では、投資家は守りを意識しながらも、将来の反発を見据えた柔軟な戦略が求められます。
まず短期的には、現金比率を高めるなど安定的に利息を得られる資産への資金シフトが有効です。
株式市場では、金利上昇の影響を大きく受けるAI関連銘柄や半導体セクターなどが厳しい場面となるため、ポートフォリオにこれらの銘柄が多くを占めているなら、他のセクターや別の株式市場に投資するなどしてハイテク株の比率を下げましょう。
今後FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策が利下げ方向に加速する兆しが出てくれば、再びグロース株やAI・半導体関連株などへの資金回帰が期待されます。
また、地政学リスクやインフレ圧力を考慮し、ゴールドやコモディティETF(上場投資信託)への分散投資も一考の余地があります。
特に金価格は、世界経済への疑念が高まる事で上昇する可能性が高いため候補として挙げられます。
また、財政出動に舵を切ったユーロ圏や新興国市場ではインドやベトナムなど、構造成長が見込まれる国を対象とした株式市場へと進出するのも、今の米国株メインの相場から方向転換するには良い選択でしょう。
この様に、米国株が下落したからと言って投資全体がダメになると言った総悲観になる必要はありません。
これまでの上昇局面から、投資初心者ほど米国株一択の投資スタイルでしょうから、そこから軸足をずらすだけでもあなたの資産の動きは変わるはずです。
90日後の7月までには多少なりとも株価が反発する局面が来るでしょうから、その時がリスク管理のための整理をする最後のチャンスです。
リスクを取り過ぎた銘柄や手放すのが遅れた塩漬け銘柄などを一気に整理するタイミングが来た場合は、しっかり行動に移しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
トランプ関税による暴落が一旦収まった今のタイミングだからこそ出来る行動もあります。
ここが大底であると言った楽観的な考えはせず、トランプ関税の行方を注視しながら慎重に行動しましょう。