- 7日(水)米5月FOMC
- 8日(木)英5月中銀政策金利発表
- 米国企業決算の行方
これまでの動き
先週の米国株は、月末にかけての上昇基調が継続し、S&P500は21年ぶりとなる9営業日連続上昇を記録するなど好調な展開となりました。
まず注目されたのが4月の米雇用統計であり、非農業部門雇用者数は市場予想を上回る17.7万人の増加、失業率も4.2%と安定的で、米国経済が依然として底堅い成長を維持しているとの見方が強まったことが投資家心理を支えました。
また、主要企業の決算発表が相次いだ中、多くの企業が市場予想を上回る業績を示し、特にテクノロジー企業を中心に好調な結果が目立ったことも株価上昇に寄与しました。
一方、4月初旬に発表された関税政策に対しては当初市場に不安感が広がったが、トランプ大統領が一部製品への関税延期や免除を発表したことで過度な懸念が後退し、株式市場にとっては支援材料となりました。
対中関税交渉への期待も重なって、株式市場は束の間の上昇局面を迎えました。
加えて、インフレ率の鈍化観測やFRB(米連邦準備制度理事会)による年内利下げ期待も投資家のリスク志向を高め、株価の下支えとなりました。
ただし、好調な株価とは裏腹に、米第1四半期の実質GDP成長率が年率換算でマイナス0.3%と予想を下回る結果となったことや、原油価格の下落、金価格の上昇など、他の金融市場ではリスク回避的な動きが見られた点は無視できません。
市場全体に楽観が広がっている一方で、関税発動後のコストプッシュインフレなど経済の実体との乖離や地政学的リスクが今後の市場に影響を与える可能性も残されています。
従って、短期的には堅調な動きが継続する可能性はあるものの、中長期的には経済指標や政策動向、企業業績の見通しなどに注視し、慎重な投資姿勢が求められる局面と言えます。
直近で米国株が連騰しているからと言って、これが力強い反発のサインと勘違いしない様にしましょう。
これからの投資戦略
保有銘柄の選別を急ぎましょう。
今後の米国株は、複数の重要な経済イベントや政策動向が投資家の注目を集める期間となります。
まず、5月7日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利の発表が予想されており、投資家の間でも97%以上が金利を据え置くと見ています。
なお、6月のFOMCでも金利据え置き確率が7割近くになっており、早期利下げ期待は確実に後退しています。
これも、トランプ関税によるコストプッシュインフレへの警戒であり、利下げを決定付ける条件が揃い難いのが現状です。
この会合では、金融政策の方向性が株式市場に大きな影響を与える可能性があり、パウエルFRB議長による記者会見で、インフレ動向や今後の利下げのペースについての発言が市場の反応を左右するでしょう。
さらに、5月9日にはFRB高官による一連の講演が予定されており、金融政策に関する追加の情報が提供されるため、これも投資家にとって重要な指標となります。
米国株式市場は先週S&P 500が2.9%上昇し強気のムードを反映しましたが、上昇基調を確固とする内容が出た訳ではなく、依然としてトランプ関税への不透明感が相場をギクシャクさせる可能性があります。
今後、モルガン・スタンレー(ティッカーシンボル:MS)は米国株式市場が引き続き回復の可能性を秘めていると予想し、ドル安や大型株の収益安定性が支援材料となるとしています。
しかし、トランプ政権の貿易政策やドル価値の低下、企業業績に対する懸念もリスク要因として存在しており、投資家は慎重な判断とリスク管理が求められる時期となります。
市場の動向を注視し、適切な投資戦略を講じることが重要です。
短期での上昇を楽観的に捉えず、来る90日間の猶予明けの動向に注視しながら保有銘柄を選定する必要があります。
まとめ
いかがでしたか?
今は米国株がフラフラと上昇し、かつての堅調さが戻ってきたのではと投資家は息巻いていますがそんな事はありません。
米国株が割高なのはトランプショックを経ても変わりませんし、さらなるネガティブ情報が飛び出ても可笑しくありません。
整理できるときに整理しましょう。
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