2024年、日銀はマイナス金利政策を終了し、政策金利を引き上げました。
しかし、家計の預金金利はほとんど上昇せず、物価上昇が続く中で実質金利は依然としてマイナスの状態が続いています。
現在のインフレは、需要の増加(デマンドプルインフレ)によるものではなく、輸入物価の上昇(コストプッシュインフレ)が主因であり、こうした状況での利上げは本来正当化されません。
また、今の利上げが実質的に国民への増税となり、家計の負担を増加させると警鐘を鳴らしています。
このような状況下で、預金を中心とした資産運用では資産価値の目減りを防ぐことが難しくなっています。
本記事では、実質金利の重要性と、円安・物価高に対応するための具体的な資産形成の対策について、初心者にもわかりやすく解説します。
実質金利とは?
金利と聞くと、多くの人は銀行の預金金利や住宅ローンの金利を思い浮かべると思います。
しかし、私たちが資産形成や将来のマネープランを考えるうえで本当に注目すべきは、名目金利ではなく実質金利です。
実質金利とは何か、そして名目金利と何が違うのかを理解することは、インフレ(物価上昇)や円安といった経済環境の変化に対して正しく備える第一歩になります。
まず、名目金利とは、私たちが普段目にする金利のことで、たとえば銀行預金に対して提示される年0.2%や0.3%といった数値です。
これは、物価変動を考慮しない表面上の金利です。
一方で実質金利とは、この名目金利からインフレ率(物価上昇率)を差し引いたもので、実際に得られるお金の購買力の変化を表す指標です。
たとえば、預金金利が0.3%であっても、物価が年2.0%上がっていれば、実質金利は「0.3%-2.0%=マイナス1.7%」となります。
つまり、表面上は金利を得ているように見えても、実際にはお金の価値が目減りしているのです。
これは、インフレによって資産が溶けていく状態に他なりません。
実質金利がマイナスの状況では、預金をしているだけではお金の価値が守れません。
たとえば、100万円を1年間預金して0.3%の利子を受け取ったとしても、物価が2%上がれば、1年後には同じ100万円で買えるモノやサービスが減っているということになります。
このような環境下では、現金や預金だけに依存する資産運用は非常にリスクが高くなるのです。
この実質金利の概念は、単に金融知識の一部ではなく、私たちの生活と資産を守るために欠かせない経済リテラシーの基本です。
とくに現在の日本では、日銀の政策によって名目金利がわずかに上昇した一方で、物価上昇がそれを上回るペースで進行しています。
その結果、実質金利は依然としてマイナス圏にあり、多くの家庭の資産が静かに、しかし確実に目減りしています。
なぜ預金金利は上がらないのか?
一般的に預金金利は、無担保コール翌日物金利などの短期市場金利に影響を受けます。
しかし、預金金利の決定にはそれ以上に重要な要因があります。
預金金利は単に政策金利に連動するだけでなく、銀行の資金需要や貸出状況、経済全体の資金需要など、複数の要因によって決定されます。
つまり、日銀が政策金利を引き上げたとしても、銀行が資金を貸し出す先を見つけられない場合や、経済全体の資金需要が低迷している場合、銀行は預金金利を引き上げる必要性がありません。
その結果、預金金利が上昇しない可能性があるとされています。
従って、利上げしても家計が得をするとは限らないです。
特に、実質金利(=名目金利 − 物価上昇率)がマイナスのままであれば、家計の実質資産は目減りしてしまいます。
つまり、見かけ上の預金金利が上がっても、物価がそれ以上に上がっていれば意味がないということです。
利上げは国民増税と同じである
日銀の利上げは、表面的にはインフレ抑制や円安是正といった経済安定策に見えますが、実質的には国民増税と同じ効果をもたらします。
なぜなら、本来の利上げ政策はデマンドプルインフレ時に行われるものであり、今の日本経済は明らかなコストプッシュインフレのため、そもそもインフレの認識を間違えているからです。
加えて、日銀は円安是正のために利上げするのは日銀の使命に反します。
日銀の使命は物価の安定であり、円安是正など為替の正常化は財務省の仕事です。
円安だからと言って利上げすれば、それこそ不当な為替介入であり市場原理に反します。
そのため、日銀関係者は円安是正のための金利操作はしません。
しかし、それでも強行してしまえば、利上げによって住宅ローンや事業資金の借入コストが上昇し、家計や企業の支出が増加します。
結果として可処分所得が減少し、実質的な税負担の増加と変わりません。
特に多くの国民は、変動金利型の住宅ローンを利用しており、わずかな金利上昇でも返済額が大幅に増える恐れがあります。
企業側も同様に、資金調達コストの上昇で投資や人件費に回す余裕がなくなり、景気の下押し圧力になります。
経済の根本的な需要不足が続くなかでの利上げは、物価を下げるどころか、家計と企業に負担として跳ね返ってくる可能性があるのです。
利上げ=景気引き締め=負担増という構造は、まさに増税と同様の経済的インパクトを持つといえるでしょう。
資産を守るには今こそインフレに強い運用へシフト
物価上昇が続き、実質金利がマイナスの状況下では、預金に資産を置いておくだけで目減りしていきます。
今こそ重要なのは、インフレに強い運用へのシフトです。
これは単なる資産運用の話ではなく、家計防衛の第一歩でもあります。
インフレに強い資産には、実物資産(不動産・金など)や、物価連動の利益を生む資産(インフレ耐性のある株式・REITなど)が挙げられます。
また、外貨建て資産も、円安が進行する局面では有効です。
これらはインフレ下でも相対的に価値を保ちやすいため、長期的な購買力を守る手段となります。
一方、預金や円建て債券などは、名目金利が物価上昇率に追いつかない限り、実質的な損失を被る可能性があります。
金融リテラシーが求められる時代、守りの資産構成から攻めも兼ねた守りへの転換が、あなたの資産を守る鍵となるのです。
利上げで安心しないことが重要
日銀の利上げが実施されたとしても、もう安心だと考えるのは危険です。
なぜなら、利上げは名目金利の引き上げにすぎず、私たちの生活に直接影響を与える「実質金利(=名目金利-物価上昇率)」が依然としてマイナスである限り、資産の目減りは止まりません。
これでは、利上げ=安心という発想がいかに表面的であるかがわかります。
さらに、利上げはローン金利や借入コストを上昇させ、家計や企業の負担を増やす側面もあります。
つまり、預金者が得をするどころか、経済全体が冷え込み、資産運用環境がより厳しくなる可能性もあるのです。
だからこそ、金利正常化・金利ある世界というニュースに踊らされず、実質的に自分の資産は増えているのか?を常に意識することが重要です。
安心すべきは、インフレを上回る利回りを確保して初めて得られる本当の安心なのです。
本来であれば、日銀が利上げなどしなければ良いのですが、植田総裁に交代して以来、一貫して利上げ政策の議論が行われこの暴挙が正当化されてきました。
しかも、9月頃には再び利上げするのではないかとの情報も漏れ出ており、日銀の情報管理を疑うような観測も世間に発出されています。
それでも私たちは自分の資産を守らなければいけませんので、今何をすべきか真剣に考えましょう。
まとめ
いかがでしたか?
植田総裁による利上げの暴挙を正当化するため、オールドメディアを中心に世論誘導しています。
しかし、SNS等が発達した現状では、一部に正しい情報も発信されますので受け手である個人が正しい知見を持つ必要があります。
それを磨くためにも日々ホームワークを続けましょう。
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