【2025年6月最新】米国株爆上げの理由

心得
  • 1日(火)米6月ISM製造業景況感指数発表
  • 3日(木)米6月雇用統計
  • FRBの利下げ観測

これまでの動き

先週の米国株は、S&P500やナスダックなど米国主要指数が史上最高値を更新するなど、非常に力強い上昇トレンドとなった1週間でした。

この期間中に見られた株価上昇の背景には、地政学的リスクの後退、FRB(連邦準備制度理事会)による金融緩和期待、貿易交渉の進展、そしてAIブームを起点とした資金のセクター横断的な広がりといった、複数の要因が複雑に絡み合っていました。

週明け23日には、アメリカによるイランの核関連施設への限定的な攻撃が報道され、地政学的リスクの高まりが一時的に意識されましたが、イラン側の対応が抑制的であったことや、米国が緊張緩和に向けた迅速な外交努力を行ったことなどから、大規模な軍事衝突への懸念は和らぎました。

むしろ、限定的な衝突にとどまったことによって市場心理は安定し、原油価格が一時7%近く下落するなど、インフレ圧力の後退を示唆する材料として投資家にポジティブに受け止められました。

原油安による輸送コストや生産コストの低下期待は、企業の利益拡大に直結するため、株式市場にとって好材料となったのです。

この週のもう一つの大きな焦点は、FRBの金融政策に対する市場の期待でした。

6月下旬にかけて、複数のFRB高官がインフレ鈍化に言及し、特にパウエル議長が「経済は着実な拡大を続けており、現在の金利水準が今後も維持される必要性は低下している」と述べたことで、市場では年内の利下げがより現実的な選択肢として織り込まれるようになりました。

これを受けて米国の長期金利は低下し、テック株のみならず、金利に敏感な公益株や不動産株、さらには金融株などにも幅広く資金が流入する展開となりました。

これまでAIや半導体など一部のテック銘柄がけん引してきた上昇相場に、セクターの広がりという健全性が加わったことが、今週の株価上昇に一層の説得力を与えました。

特に公益や通信、生活必需品といったディフェンシブセクターへの資金シフトは、AI一極集中型から全体相場型への構造転換を示唆する重要なサインと見ることもできます。

さらに、米中を含む貿易交渉の進展も株式市場の安心感につながりました。

報道によれば、米中間でレアアース(希土類)に関する新たな協定に向けた協議が進んでいるほか、米国政府は10か国以上との通商枠組みに関する協議を同時並行で進めているとされ、トランプ政権に広がった保護主義的な貿易リスクが後退する兆しが見られます。

一部では、トランプ氏がカナダとの交渉は打ち切るべきとの発言を行い、一時的にカナダ関連銘柄が売られる場面もありましたが、市場全体への影響は限定的であり、むしろグローバルサプライチェーンの安定に対する前向きな評価の方が勝った印象です。

こうした複合的な好材料を背景に、金曜日には、S&P500やナスダックがいずれも史上最高値を更新する快挙となりました。

これらの結果は、投資家心理がインフレ+景気後退という最悪の組み合わせから、物価安定+経済成長の持続というゴルディロックスなシナリオに大きく傾いていることを示しています。

今後の焦点は、FRBがいつ実際に利下げを実行するのか、そして第2四半期の企業決算で、実体経済が本当に堅調に推移しているかが裏付けられるかどうかに移っていくでしょう。

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これからの投資戦略

重要イベントをチェックしましょう

今週の米国株は、7月1日に発表されるISM製造業景気指数や2日のADP雇用統計、そして3日の雇用統計およびISM非製造業景気指数といった重要経済指標の結果に大きく注目が集まる一週間となります。

これらの指標が市場予想を上回れば景気回復期待から株価が上昇しやすい一方で、予想を下回る場合は景気減速懸念から売り圧力が強まる可能性があります。

7月4日の米国独立記念日により市場は休場となるため、週前半の取引では休場前のポジション調整が活発化しやすくなるかもしれません。

さらにFOMCを控え金融政策の先行きへの警戒感も残る中、全体としては経済指標の内容次第で市場が大きく動く可能性が高く、現時点での主要株価指数は堅調に推移しているものの、投資家はこれらの経済指標と政治的要因を注視しつつ柔軟な対応が求められる局面と言えるでしょう。

投資家の間でも、7月のFOMCは現状維持が8割を超えているものの、9月には0.25%利下げの確率が7割を超えているなど、早期利下げへの期待感が高まっています。

その結果、インフレ再燃などで利下げが先送りになると、多くの投資家の失望感からギクシャクする展開も考えられます。

史上最高値更新に沸き立つ相場ですが、過度な楽観視はせず引き続き慎重な行動をしていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

米国株が史上最高値、日経平均も4万円台回復など投資家にとっては久しぶりの明るいニュースです。

しかし、ポジティブ要因による力強い上昇局面と言うには時期尚早で、例年夏場の厳しい相場を考えながら行動して下さい。

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