【プロスペクト理論】投資初心者が陥る心理的ミスと資産形成の落とし穴

資産形成

「また損切りのタイミングを逃してしまった…」

「利益が出たのに、すぐ売ってしまって後悔した…」

そんな経験、ありませんか?

投資では冷静な判断が大切と分かっていても、実際には感情に左右される場面が多くあります。

その原因のひとつが、ノーベル賞を受賞した心理学理論であるプロスペクト理論です。

この理論を知ることで、あなたの投資行動に潜む損失回避バイアスや利益確定の早さといった非合理な判断の正体が見えてきます。

この記事では、プロスペクト理論の内容をわかりやすく解説しながら、資産形成における3つの落とし穴と、それを防ぐための具体的な対策を紹介します。

感情に振り回されずに、着実に資産を増やしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

投資でよくある非合理な行動の正体

プロスペクト理論とは、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマンらが提唱した理論で、人間がリスクを判断する際に利益と損失を非対称に捉える傾向があることを示しています。

この理論によると、私たちは同じ金額であっても、利益の喜びよりも損失の痛みのほうを約2倍強く感じるのです。

たとえば、1万円を得る喜びよりも、1万円を失うショックのほうが圧倒的に大きい。

これを、損失回避バイアスと呼ばれます。

投資の現場では、この心理が多くの非合理な行動を生みます。

たとえば、含み損が出ている株を損を確定したくないと手放せずに塩漬けにしてしまう。

また、わずかな含み益が出ただけで今のうちに利益を確定しようと早めに売ってしまう。

これらは、すべてプロスペクト理論が示す典型的な誤った意思決定です。

本来ならば、過去の損益に関係なく今後の期待値で判断すべきところを、感情が判断を歪めてしまうのです。

資産形成を成功させるには、このような心理バイアスの存在を理解し、感情に左右されないルールベースの投資を意識することが重要です。

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なぜ人は損切りできないのか?

投資の世界でよく聞く損切りできない問題。

理屈ではこれ以上の損失を防ぐために早めに損切りすべきと分かっていても、実際にはなかなか手放せません。

その背景には、プロスペクト理論に基づく損失回避バイアスが強く関係しています。

たとえば、あなたが10万円で買った株が8万円に下がったとき、売れば2万円の損失が確定します。

このとき、損したくない、もしかしたら戻るかもという希望的観測が働き、損切りを先延ばししてしまうのです。

実はこの心理、ギャンブルにも似ています。

負けている人ほど次こそ勝てると思ってやめられなくなるように、人は損失を受け入れることに強い抵抗感を持ちます。

これを心理学では現状維持バイアスや確証バイアスとも呼び、事実よりも自分の信じたいことを優先して判断する傾向です。

さらに、損切りをすることは自分の判断ミスを認めることにもつながります。

これはプライドや自尊心にも関わるため、無意識に避けようとするのです。

しかし、こうして損切りを先延ばしにすることで損失はさらに拡大し、最悪の場合には資産形成の大きな障害になります。

だからこそ、感情に流されず事前に損切りルールを決めておく仕組みが重要なのです。

資産形成でやってはいけない3つの心理的ミス

投資や資産形成では、数字や理論だけでなく心理が結果を大きく左右します。

ここでは、プロスペクト理論にもとづいて投資初心者がやってしまいがちな心理的ミスを3つ紹介します。

① 含み損を損だと認めたくない(損失回避バイアス)

事例:
Aさんは10万円で購入した株が8万円に下がっても、損失を確定したくないと売らずに放置。

その後さらに6万円まで下がり、損失は大きく拡大。

解説:
損失を確定させる痛みを避けたいという心理が働き、結果としてさらなる損失を招く。

冷静に判断すれば早期の損切りが正解だったとしても、今売れば負けたことになると思い、決断を先延ばしにしてしまう典型例です。

② 利益が出た瞬間にすぐ売ってしまう(利得回避バイアス)

事例:
Bさんは5万円で買った株が5万5千円になった時点で即売却。

利益があるうちに逃げたいと判断。

しかしその銘柄はその後、8万円以上まで上昇。

解説:
今のうちに利益を確定しないとまた損するかもという不安から、本来得られるはずのリターンを放棄してしまう行動です。

これはプロスペクト理論が示す確実な利益を早く手に入れたいという心理に基づいています。

③ 他人の成功談に流されて買ってしまう(参照点バイアス)

事例:
CさんはSNSで○○株が2倍になった!という投稿を見て、その銘柄を高値で購入。

しかし購入後に株価が急落し、大きな含み損に。

解説:
他人の成果を参照点として判断すると、自分も同じように儲けたいと焦りが生まれ、タイミングを誤ったエントリーにつながります。

これはFOMO(取り残される不安)にも関連する非合理な行動です。

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プロスペクト理論から学ぶ勝てる投資家の思考法

プロスペクト理論は、人は合理的なようでいて、実は損を避けるために非合理な判断をしがちという人間の本質を示した理論です。

では、そんな心理バイアスに負けない勝てる投資家たちは、どのように考えて行動しているのでしょうか?

① 感情ではなくルールで判断する

成功する投資家の多くは、上がったら売る・下がったら損切りするではなく、事前に売買ルールを設定し、そのルールに従って機械的に動きます。

たとえば、10%下落したら売却、○○指数がクロスしたらエントリーという明確な基準を設けることで、感情に左右されない投資が可能になります。

これは、プロスペクト理論が指摘する損失回避の心理に巻き込まれないための強力な対策です。

② 損失も学びとして受け入れる

勝てる投資家は損失を悪として避けるのではなく、投資のコストとして冷静に受け止めます。

プロスペクト理論では、損失を過大評価してしまう傾向がありますが、彼らは損失をリスク管理の一部として受け入れることで、判断を歪めません。

③ 長期的視点で全体最適を考える

目先の損益ではなく、10年・20年後の資産の増加を見据えて判断するのが、勝てる投資家の特徴です。

短期的な下落に過剰反応するのではなく、ドルコスト平均法やインデックス投資などで時間を味方につけた運用を心がけます。

このように、彼らはプロスペクト理論に基づく損失の痛みに一喜一憂せず、一貫した戦略を持って行動しているのです。

特に、新NISAを利用した長期投資家の場合、何十年後の将来に向かって資産形成するわけですから、目先の下落に一喜一憂せずホールドし続けるマインドが大事です。

長期投資は継続がルールなので、変な損切りルールなど作りません。

まとめ

いかがでしたか?

資産形成や投資の成功は、知識や情報だけでは不十分です。

もっとも重要なのは、自分の感情をコントロールする仕組みを持つことです。

プロスペクト理論が示すように、人は利益よりも損失に強く反応し、合理的でない行動を無意識にとってしまいます。

損切りが遅れる、利益を早く確定しすぎる、他人の成功に惑わされて高値で飛びついてしまう。

こうした行動はすべて、心理的なバイアスが原因です。

だからこそ、投資初心者に必要なのは、自分の判断は必ず感情に左右されると認めたうえで、それを制御するルールや環境を整えることなのです。

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