- 29日(水)米10月FOMC
- 30日(木)米第三四半期実質GDP発表
- 決算シーズンの内容を確認
これまでの動き
先週の米国株は、インフレ鈍化を受けた利下げ期待と堅調な企業決算が追い風となり、3主要指数が揃って史上最高値を更新するという非常にポジティブな週となりました。
週初は、前週の安定した経済データを背景に投資家心理が改善し、ダウ平均・S&P500・ナスダックすべてが上昇スタートしました。
特に20日(月)はAIやクラウド関連のテクノロジー株を中心に買いが入り、投資家のリスク許容度が回復しました。
一方で、米政府の一部機関閉鎖懸念や地政学的リスクも残り、相場全体には慎重さも漂っていました。
しかし、企業決算が予想を上回る結果を示したことが安心材料となり、中盤にかけては上昇基調を強めました。
多くの決算企業は、売上・利益ともに市場予想を上回り、AI関連投資が引き続き企業収益の柱となっていることが確認されました。
とくに生成AIやデータセンター投資が業績を押し上げる構図が鮮明となり、投資家はAIバブルではなく、AI実需の時代に入ったとの認識を強めました。
一方、債券市場では米国10年債利回りが一時的に低下し、これが株式市場の支援要因として働きました。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)が12月にも利下げに踏み切る可能性が高まったとの見方が広がり、金利低下→企業の資金調達コスト低下→株価上昇という王道の資金循環が意識されました。
週末の24日(金)には9月のCPI(消費者物価指数)が発表され、前年比上昇率が市場予想を下回る結果となりました。
このインフレ沈静化のサプライズが決定打となり、投資家は一斉に株式を買い進めました。
ダウ平均株価は史上初めて47,000ドル台に乗せ、S&P500とナスダックもそろって最高値を更新。
特にS&P500は年初来で15%超の上昇率となり、2025年相場を象徴する強気相場を形成した。
この結果、米国株はインフレ鈍化×金融緩和期待×好業績という三拍子が揃った理想的な上昇局面に突入したといえます。
ただし、市場関係者の間では利下げ織り込み過ぎに対する警戒感もくすぶっています。
過去にもFRBの政策転換を過度に先取りした相場は、その後の発表で失望売りが生じたケースが多く、今回も期待先行型のリスクは無視できません。
特に、インフレが一時的に落ち着いているだけで再上昇の兆候が見えれば、株式市場は再び金利上昇懸念に揺れる可能性があります。
投資家にとって重要なのは、短期的な高値追いではなく、中長期的な資産形成の視点を保つことです。
今回の上昇局面はあくまでインフレ安定+金融政策転換への初動に過ぎず、次に来る局面では景気減速や企業の利益率低下が焦点になる可能性があります。
これからの投資戦略
今週の米国株は、FOMC(米連邦公開市場委員会)の政策発表と主要経済指標の集中公表を控え、投資家心理が大きく揺れる週となる見通しです。
最大の焦点は10月29日に予定されているFOMCであり、市場では0.25%の利下げがほぼ確実視されています。
現在のフェデラルファンド金利の誘導目標は4.00〜4.25%とされており、FRBがこれを3.75〜4.00%に引き下げる公算が大きいです。
インフレ率が鈍化傾向にある中で、企業活動や個人消費を下支えする狙いがあるため、利下げは株式市場にとって短期的には好材料です。
しかし、FRBが金融緩和へ踏み切るということは、裏を返せば経済の減速リスクを示唆している可能性もあり、楽観一辺倒ではありません。
実際、前週発表された9月のCPIは前年同月比で3.0%上昇と予想は下回ったものの、コアCPI(食品・エネルギー除く)は3.0%上昇と依然としてFRB目標の2%を上回っています。
市場では、インフレはピークアウトしたが物価の粘着性は依然強いとの見方が優勢です。
29日のFOMC後は、パウエル議長の記者会見に世界中の注目が集まります。
市場はすでに12月にも追加利下げが行われるとの観測を織り込みつつあるが、パウエル議長がデータ次第では利下げペースを調整すると発言すれば、過度な期待が後退し株式市場の一時的な調整もあり得ます。
30日には第3四半期の実質GDPが発表される予定で、前期比年率+3.1%成長と予想されています。
前期の+3.8%から鈍化する見通しであり、経済の勢いがやや減速していることを示す可能性があります。
もし成長率が2%を下回れば、景気後退懸念が台頭し、利下げ期待が一段と強まる一方で株式市場は方向感を失うかもしれません。
決算の内、テクノロジー株の動向次第ではナスダックが再び史上最高値を試す可能性もあるが、業績が市場予想を下回れば利益確定売りが出る展開も想定されます。
地政学的には中東情勢や米政府機関閉鎖問題も引き続きリスク要因です。
連邦政府の一部閉鎖が長期化すれば、重要経済データの公表遅延や投資家の不安心理を誘発しかねません。
総じて、10月最終週の米国株市場は利下げ期待と景気減速懸念という相反するテーマが交錯する週となる見込みです。
市場はFRBの言葉一つで大きく揺れるため、期待に浮かれずリスクを管理する姿勢が今週最も重要な戦略となる。
まとめ
いかがでしたか?
決算良好銘柄や利下げ期待から米国株主要指数は市場最高値を更新し続けています。
しかし、リスクが無い訳ではないので、投資は継続しながらも過度な楽観視は控えましょう。

