【プロが徹底解説】金利上昇局面で狙うべき安全資産3選

資産形成

2025年は、世界の金融市場にとって大きな転換点の年になっています。

日本では日銀が長年の超低金利政策を転換し、政策金利の引き上げ観測が強まる中で長期金利も上昇傾向にあります。

特に日本の債券市場では10年国債利回りが高水準で推移し、今後の追加利上げへの期待や警戒感が市場に影響を与えています。

一方で、米国は2025年を通じて利下げ局面にあり、FRBが政策金利を複数回引き下げて金融緩和方向にシフトしているため、日米で金利環境が大きく分かれています。

このような国ごとの金利トレンドの違いを踏まえたうえで、安全資産の選び方を考えることが重要になっています。

この記事では、こうした金利上昇局面をどう捉えるべきかをベースに、資産運用のプロが厳選した金利上昇局面で狙うべき安全資産3選をわかりやすく解説します。

資産を守りつつリスクを軽減したい投資家にとって、実践的な戦略を提供します。

金利上昇局面とは?

金利上昇局面とは、政策金利や市場での貸出・債券利回りといった金利水準が持続的に上昇している経済環境を指します。

金利はお金を借りたり預けたりする際のコストであり、景気やインフレ動向、中央銀行の金融政策によって変動します。

金利上昇局面が訪れる背景には、デマンドプルインフレ抑制を目的とした中央銀行の利上げや、景気の過熱を冷ますための金融引き締め策が多く含まれます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に貸出・預金に適用する指標となる基準金利であり、これが引き上げられると銀行同士の貸し借り金利も上昇します。

その結果、住宅ローンや自動車ローンなどの借入金利が高くなり、企業の設備投資や個人消費にも影響が出ます。

一方で、預金や債券の利回りは上昇するため、貯蓄者や債券投資家にとっては利息収入が増えるメリットもあります。

こうした動きが一連して起きるのが金利上昇局面です。

具体的には、金利が上がるとまず生活や投資に直接的な影響が現れます。

たとえば変動金利の住宅ローンを利用している場合、返済額が増えて家計の負担が重くなります

また企業にとっても借入コストが上がるため、設備投資や事業拡大を見合わせる動きが出ることがあります。

これが消費や投資の減速につながり、結果として景気が冷え込む可能性もあるのです。

同時に、預金や債券への利回りが高まるため、投資の観点では安全資産の魅力が相対的に増します

一方で、リスク資産である株式のバリュエーションが相対的に低下するため、株価下落要因の一つになります。

金利が上昇している局面では、銀行預金や短期国債、利回りの高い債券が見直され、資産防衛の一手として注目されます。

また、金利の上昇はデマンドプルインフレ抑制効果も期待され、インフレ率を抑える役割も果たします。

しかし、急激な金利上昇は株式市場にとっては逆風となる場合も多く、資金需要が拡大していない局面で無理に上げると、物価上昇には影響を及ぼさず株価の下落や投資リスクの増大を招くこともあります。

このように、金利上昇局面は家計・企業・投資家の行動に大きな影響を及ぼすため、資産形成戦略を考える上でも重要な経済環境の一つです。

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短期国債・短期社債

金利上昇局面では、長期債の価格は金利変動の影響を受けやすく、債券価格の値下がりリスクが高まります。

そのため、満期が短く、金利変動に左右されにくい短期債が安全資産として注目されます。

短期債には、政府が発行する国債や、信用力の高い企業が発行する社債が含まれます。

特に国債は元本が保証されており、リスクが極めて低いため、資産防衛を重視する投資家に向いています。

短期社債も投資対象として有効です。

信用格付けの高い企業が発行する社債であれば、元本の安全性が高く、金利上昇局面でも安定した利息収入が期待できます。

また、満期が短いため、利回りが高くなった場合は再投資のチャンスも早く訪れ、資金効率を高められます。

具体的には、短期国債では1年未満の国庫短期証券が代表的です。

利回りは低めですが、元本保証と流動性の高さが魅力です。

短期社債の場合は、発行企業の信用リスクを確認しつつ、分散投資することでリスクをさらに抑えることが可能です。

債券の種類や期間を分散することで、金利上昇による価格変動リスクを最小化しつつ、安定した利回りを確保できます。

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金(ゴールド)

金は、株式や債券とは異なる値動きをするため、金利上昇局面でもポートフォリオのリスク分散に非常に有効な資産です。

通貨の価値が下がるインフレや経済の不確実性に強く、世界的な金融市場の混乱時にも比較的安定した資産として評価されます。

金への投資は、現物の金(地金や金貨)、金ETF(上場投資信託)、金投資信託など複数の方法があります。

現物は資産保全性が高く、中央銀行や政府の影響を受けにくいのが特徴です。

ETFや投資信託は少額から購入でき、流動性が高く市場で売買が容易なため、短期・中期の運用にも向いています。

金利上昇局面では、銀行預金や債券利回りが上昇するため、通常は金利資産の魅力が相対的に高まります。

しかし、急激な金利上昇や経済不安時には、株式や債券が下落しても金は価値を維持しやすく、資産全体の安全性を高めるヘッジ(回避)としての役割を果たします。

特に日本のように日銀が利上げに動く環境では、短期国債や社債だけでなく、金を組み合わせることで、資産の安定性をさらに強化できます。

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マネーマーケットファンド

マネーマーケットファンド(MMF)は、短期の国債や社債、コマーシャルペーパーなどに投資する投資信託で、金利上昇局面に非常に適した安全資産の一つです。

投資対象が短期金融商品であるため、金利変動による価格リスクが低く、元本の安定性が高い点が特徴です。

MMFは銀行預金と同様に流動性が高く、いつでも換金できるため、急な資金需要や緊急時の資金保管先としても最適です。

一般の銀行預金よりも利回りがやや高く設定されていることが多く、特に金利が上昇する局面では、短期債の利回り上昇がそのままMMFの利回りに反映されやすいため、預金より効率的に資金を運用できます。

また、MMFは元本保証ではありませんが、投資対象が高信用力の短期金融商品で構成されているため、元本割れリスクはほぼゼロといえます。

リスクを極力抑えながら運用益を得たい場合、特に安全資産としてポートフォリオに組み入れる価値があります。

活用のポイントとしては、短期資金の運用や生活資金・緊急資金の保管場所としての位置づけです。

例えば給与の一部やボーナスなど、すぐに使う可能性のある資金をMMFで運用することで、利息を確保しながら現金化も可能です。

さらに金利が上昇している局面では、MMFの利回りも増加する傾向にあるため、資産防衛と運用利回りの両立が期待できます。

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まとめ

金利上昇局面では、株式や長期債などのリスク資産は金利変動の影響を受けやすく、価格が下落するリスクがあります。

そのため、資産形成を行う上では、元本の安全性を重視した投資先を選ぶことが重要です。

今回紹介した、短期国債・短期社債、金(ゴールド)、マネーマーケットファンドは、いずれも金利上昇局面で特に有効な安全資産として活用できます。

金利上昇局面では、これらの安全資産をポートフォリオに組み入れることで、資産を守りながら利回りの恩恵を受けることができます。

特に日本のように日銀の利上げが始まった局面では、短期債やMMFを活用することで元本を安全に確保しつつ、利回りの上昇も取り込めます。

また、金を組み合わせることで、株式や債券の価格変動リスクを分散し、長期的な資産形成の安定性を高めることが可能です。

資産防衛と利回り確保を両立させるため、今の金利環境に合わせた投資戦略を検討することが重要です。

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