老後資金の不安が高まる中で、個人年金保険に入ったほうがいいのでは?と考える人が増えています。
保険会社のパンフレットや営業トークでは、将来安心・節税になる・確実に年金が受け取れるといった魅力的な言葉が並び、投資よりも安全で堅実な選択に見えるかもしれません。
しかし実際には、個人年金保険は利回りが高い商品ではなく、仕組みを理解しないまま加入すると、思ったより増えない、途中解約で大損したというケースも少なくありません。
さらに近年はインフレ(物価上昇)の影響もあり、数字上は増えていても資産価値が目減りするリスクも無視できなくなっています。
では本当に、個人年金保険は必要なのでしょうか?
そして、新NISAやiDeCoなどの投資と比べた場合、本当の利回りはどちらが有利なのでしょうか?
この記事では、個人年金保険の仕組みをわかりやすく整理しながら、実際の数字を使って本当の利回りを検証し、投資と比較した上で、あなたにとって最適な老後資金の作り方を解説します。
読み終える頃には、個人年金保険に入るべきかどうかを迷わず判断できるようになります。
個人年金保険とは?仕組みを超わかりやすく整理
個人年金保険とは、将来の老後資金を準備するために、毎月または毎年決まった保険料を積み立て、一定の年齢になったら年金形式で受け取れる保険商品です。
簡単に言えば、老後のための強制貯金に近い仕組みで、自分の意志だけでは貯金が続かない人でも、計画的に資金を積み立てられるのが特徴です。
仕組みはシンプルで、契約時に何歳まで積み立てるか、何歳から受け取るか、何年間受け取るかを決めます。
例えば、60歳まで積み立てて、65歳から10年間年金として受け取る、といった形です。
受け取り方法は、毎年分割して受け取る年金形式だけでなく、一括で受け取る方法が選べる商品もあります。
ただし個人年金保険には注意点もあります。
途中解約すると解約返戻金が払込総額を下回り、元本割れするケースが多いことです。
また、保険会社が運用するため利回りは高くなりにくく、資産を大きく増やす目的には向きません。
一方で、生命保険料控除が適用されるため、一定の節税効果が得られる点はメリットです。
つまり個人年金保険は、増やすというより確実に準備するための商品だと理解することが重要です。
個人年金保険は利回りが高いと言われる理由
個人年金保険は利回りが高いと言われることがありますが、その理由は主に実際の運用成績が良いからではなく、節税効果や受け取り額の見せ方によってお得に見える仕組みがあるためです。
特に保険会社の説明では、将来〇〇万円受け取れます、元本より増えますと強調されるため、投資よりも効率的に資産が増える印象を持つ人が多いのです。
まず大きな理由のひとつが、個人年金保険には生命保険料控除が適用される点です。
一定の条件を満たせば、個人年金保険料控除として所得控除を受けられ、所得税や住民税が軽減されます。
この節税分を利回りに換算すると、数字上は運用で増えたように見えるため、結果的に利回りが高いと言われやすくなります。
さらに、個人年金保険は積み立てた総額と将来受け取る金額がパンフレットに明記されるため、増えた分がわかりやすいのも特徴です。
投資のように価格変動がなく、将来の受取額がある程度固定されているため、安心感とともに確実に増える商品という印象を与えます。
しかし実際には、保険会社の手数料や運用コストが差し引かれるため、純粋な運用利回りは低くなりがちです。
つまり、利回りが高いと言われる背景には、節税や安心感による錯覚が含まれているケースが多いのです。
個人年金保険の利回り計算(リアルな例)
個人年金保険の本当の利回りを確認するには、単純に払込総額と受取総額を比べるだけでは不十分です。
なぜなら、保険料は毎月支払い、受け取りは将来に分割されるため、お金の時間価値を考慮した利回り(実質利回り)を計算する必要があるからです。
そこで使われるのが、Excelで計算できるIRR関数(内部収益率)です。
例えば、毎月2万円を30年間積み立てた場合を考えます。
支払総額は、2万円×12か月×30年=720万円です。
そして65歳から10年間、毎年80万円ずつ受け取れる個人年金保険だったとします。
この場合、受取総額は80万円×10年=800万円なので、一見すると80万円増えてお得に見えます。
しかし重要なのは、30年間お金が拘束される点です。
Excelでは、キャッシュフローを次のように設定します。
最初の30年間は毎年マイナス24万円(支払い)、31年目から40年目まで毎年プラス80万円(受け取り)です。
つまり、-24万円が30回、+80万円が10回という配列を作り、=IRR(範囲)で計算します。
このIRRが、個人年金保険の年利に相当します。
この条件で計算すると、IRRはおおよそ年利0.7〜1.2%程度になることが多く、投資信託や新NISAの期待利回り(年3〜5%)と比べると大きく見劣りします。
つまり、個人年金保険は受取総額が増えているように見えても、時間を考慮すると利回りはかなり低いケースが多いのです。
しかし、保険の販売員はこの事実を絶対に顧客に話しません。
節税分を足すと利回りは上がる?
個人年金保険は、節税できるから利回りが高いと言われることがあります。
確かに、個人年金保険には生命保険料控除(個人年金保険料控除)があり、支払った保険料の一部が所得控除の対象になるため、所得税・住民税が軽減されます。
この節税効果を加味すれば、表面上の利回りは上がるのは事実です。
しかし結論から言うと、節税分を足しても利回りが劇的に改善するわけではなく、投資より有利と言えるケースは少ないのが現実です。
例えば控除額の上限は、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円、合計6.8万円です。
ただし、これは6.8万円が戻るという意味ではなく、その金額分だけ課税所得が減る仕組みです。
仮に所得税10%、住民税10%の人なら税率は合計20%なので、節税額は6.8万円×20%=年間約13,600円程度となります。
これを30年間続けても約40万円ほどです。
一方で個人年金保険は、保険会社の手数料や運用コストが差し引かれるため、純粋な運用利回りは低くなりがちです。
つまり節税効果を加えても、内部収益率(IRR)で見ると年利1%台に収まることが多く、新NISAや投資信託の期待利回り(年3〜5%)には届きにくいのです。
しかも、新NISAは非課税、iDeCoは掛金全額控除であり、個人年金保険は節税の面でも全く勝負になりません。
節税はメリットですが、利回りを押し上げる決定打にはならない点を理解しておくことが重要です。
個人年金保険=安心は幻想
個人年金保険は、老後のために確実に備えられる、投資より安全で安心と言われることが多く、実際に加入を検討する人も少なくありません。
しかし結論から言えば、個人年金保険が与えてくれる安心は、数字の見せ方によって作られた幻想になっているケースが多いです。
なぜなら、個人年金保険は元本割れしにくいように見えても、資産形成という視点で見ると大きなリスクや弱点を抱えているからです。
まず最大の問題は、個人年金保険がインフレに極端に弱いことです。
将来受け取れる金額がある程度決まっているため、安心に感じますが、物価が上がればお金の価値は下がります。
30年後に受け取る800万円が、今の800万円と同じ価値を持つとは限りません。
つまり、額面は保証されても、実質的には目減りする可能性が高いのです。
さらに、途中解約のリスクも見逃せません。
多くの個人年金保険は途中で解約すると解約返戻金が少なく、払込額を大きく下回ることがあります。
転職や病気、家計の変化などで資金が必要になった時に、簡単に引き出せないどころか損をする可能性があるのです。
これは安心どころか、家計を縛る足かせにもなり得ます。
そしてもう一つ重要なのは、利回りの低さです。
個人年金保険は保険会社の手数料やコストが差し引かれるため、長期で見ても利回りは1%未満になることも珍しくありません。
安心を買ったつもりが、結果的に資産が増えないという矛盾が起こります。
つまり個人年金保険の安心とは、増える安心ではなく縛られる安心であり、資産形成を考えるなら冷静に判断する必要があります。
まとめ
いかがでしたか?
結論として、個人年金保険はほとんどの人にとって優先順位が低いゴミ商品です。
老後資金を増やすという資産形成の目的には向きにくく、長期間お金を拘束されるわりにリターンが小さいケースが多いのが現実です。
また、節税になるからお得と言われますが、個人年金保険料控除による節税額は限定的で、節税分を含めても利回りが劇的に改善するわけではありません。
新NISAやiDeCoのように、運用益が非課税になり資産が増えやすい制度と比べると、個人年金保険はどうしても効率面で見劣りします。
もちろん、例外として投資が怖くて絶対にできない人や強制的に貯める仕組みが必要な人にとっては、個人年金保険が役立つ場合もあります。
しかし、資産形成を本気で考えるなら、まず検討すべきは新NISAやiDeCoであり、個人年金保険は最後の選択肢として考えるのが合理的です。
老後資金づくりで重要なのは安心そうに見える商品ではなく、お金の価値を守り、増やせる仕組みを選ぶことです。
その視点で考えると、個人年金保険が必要になる人は少なく、答えはほとんどの人は不要と言えるでしょう。
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