- 23日(金)米10月製造業PMI発表
- 決算シーズン本格化
- 半導体需要と資金調達の行方
これまでの動き
先週の米国株は、半導体を中心にハイテク株が大きく売られ、ダウ平均だけが上昇するという明暗の分かれた1週間でした。
ニュースの終値データによると、S&P500は週間で152.10ポイント、率にして1.9%下落して7,659.44で取引を終え、ナスダック総合は1,226.14ポイント、4.5%下落の26,140.03となり、一方でダウ平均は347.46ポイント、0.7%上昇の52,002.41でした。
S&P500とナスダックはいずれも6月以来で最悪の週となり、下落がハイテクに集中した形です。
小型株を示すラッセル2000も週間で3.0%下落しており、売りは広がりを見せました。
週の前半は悪くありませんでした。
しかし、流れが変わったのは14日で、9月分のインフレ指標が予想を上回り、追加利上げと資本コスト上昇への懸念が広がってエヌビディアが3%超下落しました。
そして16日の金曜日には売りが一段と強まり、S&P500は1.1%安、ナスダックは2.1%安となっています。
半導体の下げは際立っていました。
iShares半導体ETFは1週間で11.8%下落し、S&P500の下落率2.0%の約6倍でした。
個別ではマイクロンが14.6%、AMDが13%、ブロードコムが9.1%、TSMCが9.0%、エヌビディアが6.6%それぞれ下げています。
フィラデルフィア半導体指数は16日に約4%下落して11,137.29で引け、8営業日連続の下落は2008年以来で最長と報じられています。
エヌビディアの16日の下げは約1%台にとどまり、最有力のAI半導体企業は引き続き選好されている可能性が指摘されています。
背景として報道で指摘されているのは三点です。
第一にインフレ指標を受けた金利上昇への警戒。
第二にAIインフラ投資の資金調達や債務への不安。
第三に中国勢との競争を意識したメモリー関連株の売りです。
エヌビディア、マイクロン、AMD、インテルの4社は10月15日までにS&P500構成銘柄の時価総額増加分の28%にあたる約2.35兆ドルを積み上げていたため、相場の主役が崩れると指数全体への影響も大きくなりました。
では悲観一色かといえば、そうとも言い切れません。
SOXXは8営業日で16%下落しましたが、2026年通年ではなお大きく上昇していると伝えられており、急騰の反動を含む調整という側面があります。
UBSはこの売りを、AI投資の物語が崩れたのではなく期待の再調整だと表現しました。
一方で空売り勢は約320億ドルの含み益を得たと推計され、レバレッジ型のSOXLには過去最大の週間流入となる約39億ドルが入りながら価格は約5分の1下がるなど、強気と弱気の双方に根拠があり、方向感は断定できません。
今週以降に確認したいのは四つです。
米長期金利の動き、FRBの発言、半導体企業の決算で設備投資の見通しが維持されるか、そしてデータセンター関連債など信用市場の安定です。
S&P500の7〜9月期増益率はFactSet予想で29.0%と、前週の29.4%から小幅に下方修正されており、業績面では大崩れしていないものの、慎重さも必要です。
買うかどうかを考える際の一般論としては、一度に全額を投じず時期を分ける、値動きが大きいレバレッジ型商品は手仕舞う、生活費など近く使うお金は投資に回さない、という三点が基本になります。
半導体関連は同じ方向に動きやすいため、保有資産に占める割合も重要です。
半導体株は値動きが大きいぶん、短期の上下に一喜一憂せず、自分が許容できる下落幅をあらかじめ決めておくことが冷静な判断につながります。
今日できる行動として、まずご自身の証券口座を開き、半導体とハイテクが資産全体の何割を占めているかを計算してみてください。
この割合が高いほど、今回のような下落の影響を受けやすくなります。
これからの投資戦略
我慢の展開が続きます。
今週の米国株は、CPIも雇用統計もない指標の薄い決算週で、相場を動かすのは決算とAI投資の資金繰りをめぐる見方になりそうです。
水曜はMeta、Tesla、Lam Research、Texas Instruments、IBMが決算を発表し、木曜はWestern Digitalなどが続きます。
FRBは発言を控える期間に入り、10月27〜28日のFOMCでの25bps利上げ確率はCPI前の22%から17%に下がっています。
半導体関連では、Lam Researchの市場予想はEPS2.17ドル、売上81.4億ドルで、オプション市場は約7.95%の株価変動を織り込んでいます。
会社ガイダンスは売上81億ドル(±4億ドル)なので予想はほぼ中央値であり、焦点は来期の見通しです。
Texas Instrumentsは23人のアナリスト平均でEPS2.42ドル、売上59.1億ドルと、売上は前年同期比24.7%増が予想されており、4〜6月期にデータセンター向け売上が倍増したため、その勢いが続くかが論点です。
Metaは売上633.2億ドルが予想で、2026年の設備投資見通しは1,300億〜1,450億ドルです。
7〜9月期の設備投資は約410億ドル、フリーキャッシュフローは約マイナス91億ドルが予想されており、EPSは約100億ドルの訴訟関連引当金の扱いで予想が割れるため、数字の算出基準を確認する必要があります。
資金調達は、枯渇というより外部調達への依存が急上昇している状況です。
バンク・オブ・アメリカは大手5社のフリーキャッシュフローを2026年に約マイナス640億ドル、2027年にマイナス1,440億ドルと予測していると報じられ、Alphabetは4〜6月期に上場以来初めてマイナスになりました。
設備投資に占める増分債務の比率は、2024年度の9%から直近で32%に上昇しています。
ダリオ氏は、社債発行が上半期で約2,200億ドルと2025年通年の約1,080億ドルを上回ったと指摘しています。
一方で、5社のうち4社の総負債はEBITDAの約1倍以下ですが、これは数か月前の分析で、その後に債務は増えています。
弱い部分には先に影響が出ており、CoreWeaveは約520億ドルの債務とリース義務を抱え、10月中旬に株価と社債が下落しました。
減価償却の論点は会計上の寿命と経済的な寿命のずれで、AIサーバーは5〜6年の定額法で償却されますが、経済的な寿命が2〜3年なら、会計上の償却は実態の約半分になるという計算があります。
Nvidiaは残存価値としてA100が6年後に約25%、H100が3〜4年後に約58%と説明していますが、これは売り手側の資料です。
H100のレンタル料金は2023年の8ドル超から3ドル未満に下がったとの分析もあり、償却年数を延ばしても増えるのは報告利益だけでキャッシュは変わらないため、これは資金繰りではなく利益の質の問題です。
投資は今後も続く見通しで、シティは2029年までのAIインフラ支出予想を2.8兆ドル超に引き上げ、モルガン・スタンレーは2025〜2028年の需要を2.9兆ドル、資金不足を約1.5兆ドルと見積もっています。
ただし資金調達が追いつかなければ増加ペースは鈍り、半導体株には伸び率の低下だけでも逆風になり得ます。
今週はMetaの2027年の投資方針、Lamの来期見通し、TIのデータセンター売上、金曜のPMI、社債市場の動きを順に確認すると全体像がつかめます。
今日できる行動として、21日に決算を控える保有銘柄を確認し、決算後の数%の変動が許容範囲かを点検してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
AIを巡る開発競争で、AI関連銘柄や半導体セクターの需要は高まっていますが、それに対する設備投資が実態に伴っているか疑問の声が高まっています。
資金調達が困難になっている事も不安感を高め、半導体セクターは軒並みたたき売られています。
金利上昇局面とAI関連への不安が重なり、今後も厳しい相場が続くかもしれません。
