- 利上げペース鈍化は株式市場にとって好感
- 米国経済後退の可能性が高まっている
FOMC議事要旨の内容と考え方
11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、利上げペースの減速が近く適正となる可能性が高いと参加者の大部分は考えていることが分かり、ハト派寄りに傾いたことで株式市場はその結果を好感しました。
FF(フェデラルファンド)金利の最終的な水準は従来の見通しをやや上回るとしていますが、重要なのは利上げペースが今までの0.75%から鈍化する可能性が高まったという点にあります。
従って、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では0.50%の利上げに変更する可能性が高く、この変更の意味する所はインフレが確実に鎮静化しているとのメッセージに他なりません。
これによって米国における債券利回りは低下することが予想され、株式市場は上昇しやすい土壌が形成される事となります。
FRB(米連邦準備制度理事会)は、今回の高インフレに対し経済を失速させてでも対処する姿勢で利上げを行ってきました。
その実行策として従来の利上げペースは0.25%であった所をその3倍の0.75%と言う異例の上昇幅で実行してきました。
金利が上昇することは株式市場にとって最も悪影響を及ぼす要因となりますので、年初来から米国株は下落し続けました。
その流れが変わるという事は投資家にとって待ちに待ったイベントであることは間違いありません。
為替への影響はどうか
利上げペース減速はドル安要因と考えます。
今までの金利上昇で債券利回りは上昇した事や、米国内の需要過多によるデマンドプル型の高インフレなどの影響でドル独歩高の状況が続いてきました。
しかし、それも高インフレが是正されると徐々に解消されているのが今の状況です。
これから先の米国経済は景気後退局面を迎える可能性が高く、それを裏付けるような重要指標が発表される度にドル安の圧力が掛かり易い状況が考えられます。
巨大テック企業の大規模なレイオフを始めとした雇用統計の悪化やCPI(消費者物価指数)の悪化など来月以降は特に注意して確認する必要があります。
加えて、景気後退局面では現地通貨は下がりやすい傾向もあり、過度なドル高が是正される以上のドル安も考えられます。
従って、為替に関してはドル安基調になる可能性があります。
今後の米国経済はどうか
米国経済がリセッション(景気後退)になる可能性は50%に高まった事を明らかにしています。
今までの米国経済はハイテク企業の成長や米国政府の財政出動などに助けられ、米国民の懐は随分と温まっていました。
それによる消費過熱により今回のインフレが発生した要因でもありますが、消費者の資産が過度に傷んでいる訳ではないものの、民間国内支出の低調な伸びなどを見るとFRB(米連邦準備制度理事会)が行ってきた金融引き締め策が累積的に効いてきたとも考えられます。
従って、今後の景気指標は予想を下回る悪化を見せる可能性が高く、米国経済が引き続き力強く成長するとは考えにくいです。
金利低下による株式市場の上昇で今まで通り米国株のみに資産を置く考えは修正する必要があると考えます。
まとめ
いかがでしたか?
多くの投資家は利上げペース鈍化を織り込み始めていますので、12月の発表でサプライズ的な動きがあるとは考えにくいですが、来年以降のFRB(米連邦準備制度理事会)の考え方などを重点的に確認しましょう。
株式市場にとってポジティブである事に変わりはないので、積極的な投資行動をとるのは良い事でしょう。
注意すべきは今まで通りの投資方法では儲ける事が難しいという事です。
投資は自己責任ですから、自分自身のリスク許容度とよく相談して行動しましょう。