- メインステージが株式市場であれば問題なし
- 暗号資産市場はこれから冬の時代へ
FTX破綻による余波はどこへ向かうか
令和4年11月11日、暗号資産交換業者であるFTXトレーディングが連邦破産法11条を申請し破産しました。
FTXトレーディングはFTXトークン(FTT)を発行し瞬く間に急騰しました。
しかし、バイナンスCEOがFTTを全て売却することが分かり、結果的にこれが破綻の決定打となりました。
その後バイナンスが買収合意など取りざたされましたが、FTXトレーディングの財務内容があまりに杜撰であったため、バイナンス自体が破綻しかねない買収策であることが分かりすぐに撤退しました。
新型コロナ流行以降、2021年までのリスク資産の上昇の流れに暗号資産も上手く乗れた事に加えて、様々な種類の暗号資産が生み出されては取引が活況となりました。
しかし、それはあくまでリスクが顕在化していない中で盛り上がっていただけか、或いはリスクがよく分からない無知な素人が手を出している状況があたかも暗号資産市場が急成長していると誤認させる結果となりました。
結局、今回も一過性のブームでしかありませんでした。
過去には2017年頃にビットコインがブームとなり急騰しましたが、その後2018年過ぎからはバルブ崩壊とばかりに急落しました。
暗号資産は投資家に注目を浴びるたびに急騰と急落を繰り返しており、今回もそれと同じ末路を辿ると考えます。
従って、多くの投資家は株式市場や債券市場をメインステージとしているため、逃げ遅れたギャンブラーが被害を被っているだけで市場全体を揺るがすような事態に発展する可能性は極めて低いです。
ただし、暗号資産の市場でプレーしていた投機家にはこれから悲惨な状況が続くでしょう。
今回の事件で見えてきたもの
暗号資産ブームはこれで沈静化し、しばらくは見向きもされないでしょう。
今回の事で分かったのは、リスクが想像を超えて大きいという事です。
以前の暗号資産のリスクで言われていたのはサイバー攻撃リスクや流出・喪失リスクなどでしたが、今回は取引所破綻リスクにより資金が引き出せなくなるというものです。
ましてや、レバレッジをかけるなどして取引量が過度に増えればより対応が難しくなります。
マーケットメイカーが流動性の提供を行えなくなれば、当然引き出しに対応出来なくなり引き出しはロックされます。
つまり、どんなに利益を積み上げて自分は億り人だと思い込んでいても、それが引き出せなければ元も子もありません。
株式売買より手数料は高くハイリスクな上、引き出す際には雑所得で申告せねばならず、加えて引き出しの保証にリスクが伴うと言った状況で取引をしている事を自覚するべきなのです。
そもそも暗号資産とは
暗号資産が仮想通貨と呼ばれるように、投資家の中には新しい通貨と勘違いしている人がいるかもしれません。
それは通貨(貨幣)が何かを理解していない事が原因であり、ただの勉強不足です。
各国が定める法定通貨の外に新たな貨幣を作ると言う壮大な理想は結構ですが、そもそも貨幣への理解が不足しているため現在そのような制度を確立することは不可能です。
暗号資産の現在の立ち位置は、あくまでも投機家のトレード対象の一つでしかなくその実態に価値はありません。
本来貨幣は物ではなく貸借の記録であるため、暗号資産の価値の根拠である数量に限界があると言った程度では貨幣の裏付けになりません。(貨幣とは何かを語るのは別の機会に行うため省略)
つまり、暗号資産は通貨であると言った幻想で取引するものではなく、一過性のブームの中でギャンブルをしていると考える方が自然なのです。
従って、早めに逃げた勝者と逃げ遅れた敗者がそこにいるだけで何も不思議な事はありません。
まとめ
いかがでしたか?
当事者には厳しい話をしましたが、投資を行う以上リスクは常に覚悟すべきです。
それが出来ないのであればそもそも投資には向いていません。
だからこそ、リスクを把握し自分自身のリスク許容度と合わせて投資判断をしなければなりません。
日々のホームワークを欠かさず行動していきましょう。