テーパーの時期について基本路線は変わりません
8月の米雇用統計が示した意味とは
議論を早める必要が無くなりました
景気は強いって言ってたのに、なんで?
令和3年9月3日に米国労働省が発表した8月の雇用統計(速報値)によりますと、非農業部門雇用者数の就労者数は+23.5万人となりました。
コロナ禍において米国は経済再開を着実に歩んでいましたが、新型コロナウイルスの変異種、デルタ株の増加によってサービス業において雇用者の回復が遅れていると考えられます。
9月に入り、米国のワクチン接種率は少なくとも1回目のワクチンを接種した人の率は62%を超えています。
ワクチン接種開始当初よりは鈍化したものの確実に上昇しています。
しかし、ここにきてデルタ株の猛威によって、テーパーの前倒し議論はやや後退したと考えられます。
FRB(米連邦準備制度理事会)の使命は、物価の安定と雇用の最大化です。
物価は先日行われたジャクソンホール会議で、 FRB(米連邦準備制度理事会) が考える目標に達したと発言がありました。
雇用に関しては後一歩の所まで来ているとの考えを示していたため、今回の雇用統計が前月並みに強い結果であったならば年内としていたテーパーの開始を早める行動に出る可能性がありました。
しかし、今回の指標が示したのは、予想75万人に対し大幅に下回った結果となりました。
従って、テーパーの開始時期を前倒しにする理由が無くなり、 FRB(米連邦準備制度理事会) は当初の計画通り粛々と議論を進めていくと考えられます。
9月からの展開をどう考えるか
引き続きテーパーに関する情報に注意です
結局何もなかったし、強気で良いんじゃない?
直近のリスクにおける原因の一つはデルタ株の今後の状況です。
米国に限って言えば、これは一時的なものと考えます。
ワクチン開発に成功した米国において、ワクチン接種がスムーズに行われる、或いは陽性者が抗体を獲得し結果集団免疫の獲得となれば、それ程長期化を覚悟した考えを持つ必要はないかと考えます。
次の原因はレイバーデー明けの相場とテーパーの開始宣言時の相場です。
去年の株式市場の状況を見ると、レイバーデー後に市場がギクシャクし、GAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)など巨大テック企業の株価もギクシャクしていました。
去年は、コロナ禍以後の決算で良好な数字を出す企業が多く、米国の金融政策・財政政策と相まって米国主要株価指数(ダウ・ナスダック・S&P500)などはコロナ前よりも大きく成長しました。
しかし、ワクチン関連のニュースや季節性などが原因で相場は動いていました。
今年はそうならないと決めつけず注視する必要があります。
加えて、テーパーの議論は投資家の間では周知の事実とは言え、決して全てを織り込んでいると考えず、実際にテーパーが開始された時の市場への影響は十分に注意した方が良いと考えます。
確かに、令和3年9月上旬の時点でも米国株の上昇は続いていますし、良好な決算を出す企業は多いのも事実です。
日本株も、菅総理の自民党総裁選への出馬断念のニュースで日経平均株価は金曜日に急騰しました。
これらの事から、特に投資初心者の人程さらなる株式相場の上昇を狙って売買頻度を増やすと考えられます。
しかし、それはあまり良い投資とは言えません。
状況は刻々と変化するとは言え、直近にあるリスクを十分認識した上で行動しなければ簡単に大損します。
ですので、今はポジションを減らし、来るべき投資機会に向けて力を溜めておくのが良いと考えます。
ポジポジ病に罹らないようにしよう
まとめ
いかがでしたか?
「相場は強気で上昇している所に何を弱気な事を言っているんだ」とあなたは思うかもしれません。
しかし、相場は常に上昇するなどと言う事はありません。
加えて、投資家全体に蔓延している強気の感情の中で建てたポジションは多くの場合割高で、簡単に損する様なリスクの高い行動になりがちです。
周囲の雰囲気に惑わされず、冷静に考える事が大事です。
メンタルを強く保ち、ホームワークを忘れず相場と向き合いましょう。
これからも、一緒に考えていきましょう