- 20日(水)エヌビディア決算発表
- 21日(木)米5月製造業PMI発表
- 米長期金利上昇で市場警戒か
これまでの動き
先週の米国株は、史上最高値圏からの急変動が起きた1週間でした。
週前半まではAIブームと企業業績への期待から強気ムードが続いていましたが、後半に入るとインフレ懸念と金利上昇が一気に市場心理を冷やし、特に15日は全面安となりました。
S&P500種株価指数は週間ベースではわずかにプラスを維持したものの、15日単日では約1.2%下落し7,408ポイントで終了しています。
NASDAQ総合指数も1.5%安となり、ハイテク株中心に利益確定売りが広がりました。
ダウ平均も1.1%下落し49,526ドルで取引を終えています。
一方で、小型株中心のラッセル2000指数は週間で2%以上下落しており、投資家のリスク回避姿勢が鮮明になった週でもありました。
今回の相場変動の最大要因は、4月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことです。
特にサービス価格やエネルギー価格の上昇が目立ち、インフレはまだ完全には抑え込めていないという見方が強まりました。
市場では2026年後半のFRB利下げ期待が広がっていましたが、このCPI発表によって利下げは想定より遅れるのではないかという警戒感が急速に高まったのです。
実際、米10年債利回りは4.5%を突破し、30年債利回りも5%台へ上昇しました。
金利上昇は将来利益を期待して買われていたグロース株に逆風となり、AI関連株や半導体株に売りが集中しました。
特にNVIDIA、AMD、Intelなどの半導体銘柄は大きく下落し、NASDAQ全体を押し下げる展開となりました。
また、中東情勢の緊迫化による原油価格高騰も市場不安を強めています。
WTI原油先物は一時1バレル105ドルを超え、エネルギー価格上昇による再インフレ懸念が拡大しました。
原油高→物価上昇→FRB利下げ延期という連想が市場で強まり、株式市場には重しとなったのです。
ただし、今回の下落にもかかわらず、市場全体が完全に弱気へ転換したわけではありません。
S&P500は依然として年初来で約8%上昇、NASDAQも年初来で約13%上昇しており、AIブームそのものは継続しています。
データセンター投資や生成AI需要の拡大期待は依然として強く、機関投資家の資金も引き続き大型ハイテク株へ流入しています。
つまり現在の米国株市場は、AIによる成長期待と高金利・インフレリスクが綱引きをしている状態だと言えるでしょう。
2025年までの相場はAI期待だけで株価が押し上げられる流動性相場の色が強くありましたが、2026年に入り市場は徐々に現実を見る相場へ変化しています。
これからの投資戦略
警戒を高めて無理な行動は控えましょう。
今週の米国株は、AI関連決算、米長期金利、原油高の3つが最大のテーマとなりそうです。
特に市場の注目は、20日に予定されているNVIDIAの決算発表に集中しています。
現在の米国株市場はAIブームによって支えられている側面が非常に強く、NVIDIAの決算内容次第ではNASDAQ全体の方向性が決まると言っても過言ではありません。
市場予想では、NVIDIAの2026年第1四半期EPSは1.74ドル、売上高は約787億ドルと予測されており、前年同期比で100%を超える利益成長が期待されています。
特に投資家が注目しているのは、BlackwellやRubinなど次世代AI半導体の需要、データセンター投資、AIインフラ需要です。
現在S&P500の利益成長率のうち約12%以上をNVIDIA1社が押し上げているとも言われており、決算が市場予想を下回ればAI関連株全体に大きな売りが広がる可能性があります。
一方、好決算となれば、先週急落した半導体株が再び上昇トレンドへ戻るシナリオも考えられます。
また、小売大手の決算も重要です。
19日にThe Home Depot、21日にWalmartやDeere & Companyの決算発表が予定されています。
特にWalmartは、米国消費の強さを測る重要指標として見られており、ガソリン価格上昇による消費減速への警戒感が高まっています。
すでに市場では、原油高が家計を圧迫し、消費関連企業の利益を悪化させるのではないかという見方が強まっています。
そして、今週の最大のマクロ要因が米長期金利です。
先週、米10年債利回りは4.59%付近まで急上昇し、30年債利回りは5.13%を突破しました。
これは2007年以来の高水準であり、市場に大きな衝撃を与えています。
背景には、4月CPIが市場予想を上回ったことに加え、中東情勢悪化による原油高があります。
市場では、FRBは簡単に利下げできないという見方が急速に広がっており、一部では次のFRBの動きは利下げではなく利上げになる可能性もあるという極端な見方まで出始めています。
投資家の間でも、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では現状維持が支配的ですが、それ以降は利上げの可能性を織り込む人も出始めており、今後の動きによってはハイテク銘柄が軒並み急落するシナリオも想定しなければなりません。
特に高PERのAI関連株は金利上昇に弱いため、米10年債利回りが4.6%を超えて定着するとNASDAQにはかなりの逆風となる可能性があります。
さらに市場を不安定化させているのが原油価格です。
現在WTI原油は1バレル107ドル前後、Brent原油は110ドルを超える場面もあり、エネルギー価格の急騰がインフレ再燃懸念を強めています。
背景にはイラン情勢の悪化やホルムズ海峡リスクがあり、市場では供給不安がかなり意識されています。
原油価格上昇は、ガソリン価格や物流コストを通じて企業利益を圧迫するだけでなく、FRBの金融政策にも直接影響を与えます。
つまり現在の市場は、AI期待による上昇と原油高・高金利による下落圧力がぶつかり合っている状態です。
経済指標では、20日のFOMC議事録公表が非常に重要です。
ここでFRBメンバーがインフレや利下げについてどのような議論をしていたかが明らかになります。
つまり、今週の米国株は、NVIDIA決算・米長期金利・原油価格の3つがすべて連動する極めて重要な1週間になります。
AIブームが継続するのか、それとも高金利によって市場が調整局面へ入るのか、その分岐点になる可能性が高いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
これまで米国株を牽引してきたAI・半導体セクターは、債券利回りの上昇で一気に崩される可能性があります。
データセンターなどの需要に大きな期待があったからこそ、長期金利の動向は非常に注意深く見ておかなければなりません。
今は積極的に動く場面ではなく、静かに移り行く相場を眺めながら冷静になりましょう。
