「株式投資で資産形成をしたい。でも、値上がり益だけを追いかけるのは少し不安……」
そんな人に知ってほしいのが、優先株式という選択肢です。
株式と聞くと、株価の上昇による利益をイメージする人が多いでしょう。
しかし、株式には普通株式だけではなく、配当や残余財産の分配などについて、普通株式とは異なる権利が設定された優先株式もあります。
優先株式は、一般的に配当などの面で普通株式より優先される権利を持つ一方、議決権が制限されるなど、独自の特徴があります。
では、優先株式は資産形成に向いているのでしょうか?
普通株式や債券とは何が違い、どのような人が検討すべきなのでしょうか。
高配当だからという理由だけで選ぶのではなく、優先される権利と、その裏側にあるリスクまで理解することが大切です。
この記事では、優先株式の基本的な仕組みからメリット・デメリット、普通株式や債券との違い、購入前に確認したいポイントまで、投資初心者にもわかりやすく解説します。
優先株式は値上がりだけに頼らない選択肢
結論から言えば、優先株式は資産形成の主役というより、インデックス投資などで基本的な資産形成の土台を作った後に検討する選択肢のひとつと考えるのが現実的です。
優先株式には、普通株式に比べて配当などの面で優先的な権利が設定される場合があります。
そのため、値上がり益だけではなく、配当によるインカム収入を重視したい投資家にとって魅力を感じやすい金融商品です。
しかし、優先という言葉から安全性が高いと判断するのは禁物です。
優先株式も株式である以上、価格変動リスクがあり、発行会社の業績や財務状況によっては配当や価格に影響が生じる可能性があります。
一方、インデックス投資は、幅広い企業や市場に分散して投資することで、特定企業への集中を避けながら長期的な資産形成を目指せる点が特徴です。
もちろんインデックス投資にも価格変動リスクはありますが、資産形成の中心として考える場合、優先株式よりもシンプルにポートフォリオを構築しやすいでしょう。
だからこそ、優先株式を最初から資産形成の中心に据えるのではなく、まずは長期・積立・分散を基本としたインデックス投資などで土台を作る。
そのうえで、配当収入を重視したい、普通株式とは異なる値動きや権利関係を持つ資産を組み入れたいと考えたときに、優先株式を検討するという順番が重要です。
資産形成は、特殊な商品を探すことから始める必要はありません。
まず土台を作り、その後に必要なものだけを加える。
優先株式は、その追加する選択肢のひとつとして位置づけると、過度な期待をせず冷静に向き合いやすくなります。
優先株式とは?
優先株式とは、会社法上の種類株式の仕組みなどを利用し、普通株式とは異なる権利内容を設定した株式です。
日本の会社法では、剰余金の配当、残余財産の分配、議決権などについて異なる内容を持つ種類株式を設計できます。
たとえば、普通株主より先に一定の配当を受け取る権利を設定することも可能です。
ここが優先株式を理解するうえで重要なポイントです。
優先株式という一つの商品がすべて同じ条件なのではありません。
発行会社によって、
- 配当の優先順位
- 配当額や計算方法
- 累積型か非累積型か
- 議決権の有無
- 普通株式への転換条件
- 会社による取得条件
- 残余財産の分配条件
などが異なる可能性があります。
そのため、優先株式を購入するときは優先株だから安心と考えるのではなく、その株式にどのような権利が設定されているのかを確認することが大切です。
普通株式と優先株式の違い
| 項目 | 普通株式 | 優先株式 |
|---|---|---|
| 配当 | 通常の株主として受け取る | 優先条件が設定される場合がある |
| 議決権 | 原則としてある | 制限される場合がある |
| 残余財産 | 優先株式より後になる場合がある | 優先される条件が設定される場合がある |
| 株価変動 | あり | あり |
| 元本保証 | なし | なし |
| 条件 | 比較的シンプル | 銘柄ごとに異なる |
優先株式のメリット3つ
1.配当を重視した資産形成を考えやすい
優先株式の大きな特徴は、普通株式よりも配当について優先的な権利が設定される場合があることです。
企業が利益を株主に還元する際、あらかじめ定められた条件に基づいて、普通株式より先に配当を受け取れる仕組みが設けられることがあります。
そのため、株価の値上がりだけを狙うのではなく、保有期間中の配当収入も重視したい人にとって、検討する価値があります。
ただし、優先株式だからといって配当が必ず支払われるわけではありません。
配当条件は銘柄によって異なり、企業の業績や発行条件によっても扱いが変わります。
高配当だから買うのではなく、どのような条件で配当が優先されるのかを確認することが重要です。
2.普通株式とは異なる特徴を持つ資産を組み入れられる
優先株式は、普通株式と同じ株式ではありますが、権利内容が異なります。
一般的には、配当や会社清算時の残余財産の分配について普通株式より優先される一方、議決権が制限されるなど、普通株式にはない特徴を持つことがあります。
つまり、優先株式の魅力は単純に普通株式より安全ということではありません。
同じ株式でも、異なる権利設計の商品を選択できることにあります。
資産形成では、資産の特徴を理解したうえで、自分の目的に合ったものを組み合わせることが大切です。
優先株式も、ポートフォリオの中で役割を明確にできれば、選択肢のひとつになり得ます。
3.インデックス投資とは異なる収益源を検討できる
長期の資産形成では、インデックス投資を中心に据えて、幅広い企業や市場への分散を図る方法があります。
その土台を作ったうえで、さらに配当などのインカム収入を重視したい場合、優先株式を検討する余地があります。
ただし、ここで重要なのは、優先株式をインデックス投資の代わりにする必要はないということです。
優先株式は個別の企業や発行条件に影響を受けるため、集中投資になればリスクも高まります。
だからこそ、まずはインデックス投資などで資産形成の土台を作り、そのうえで自分には配当を重視する資産が本当に必要なのかと考えるのが基本です。
優先株式のデメリット・注意点3つ
1.優先でも元本保証ではない
優先株式で最初に理解しておきたいのが、優先という言葉は、元本が守られるという意味ではないことです。
優先株式はあくまでも株式なので、購入後に市場価格が下落すれば、売却時に損失が発生する可能性があります。
また、発行会社の業績が悪化すれば、配当が減額されたり、条件によっては支払われなかったりする可能性もあります。
普通株式に比べて配当などの権利が優先される場合があっても、それだけで預金や元本保証型の金融商品と同じように考えることはできません。
特に高い配当が期待できるから安全と判断するのは危険です。
優先されるのは元本ではなく、あくまで契約などで定められた特定の権利です。
資産形成に取り入れる場合は、配当利回りだけでなく、価格変動や発行会社の信用力まで確認する必要があります。
2.普通株式のような値上がり益を期待しにくい場合がある
優先株式は、配当などを重視する代わりに、普通株式とは異なる権利設計になっています。
そのため、企業が大きく成長したとしても、普通株式と同じように株価上昇の恩恵を受けられるとは限りません。
銘柄によっては、企業価値の成長を通じたキャピタルゲインよりも、あらかじめ設定された配当などを重視した設計になっています。
もちろん、優先株式の価格も市場で変動するため、値上がり益を得られる可能性はあります。
しかし、企業が成長すれば大きく儲かるという普通株式の魅力とは性質が異なる場合があります。
長期的な資産形成で大きな成長を狙うのであれば、幅広い企業の成長を取り込むインデックス投資などを中心に据え、優先株式は補助的な選択肢として考えるほうが整理しやすいでしょう。
3.商品設計が複雑で、条件確認が欠かせない
優先株式のもう一つの注意点は、銘柄によって権利や条件が大きく異なることです。
配当がどのように決まるのか、累積型なのか、議決権があるのか、普通株式への転換が可能なのか、発行会社による取得条項があるのかなど、確認すべき項目は少なくありません。
同じ優先株式という名前でも、投資家が受け取れる権利やリスクが同じとは限らないのです。
そのため、表面的な配当利回りだけを比較して購入するのは避けたいところです。
利回りを見る前に条件を見る。
これが優先株式を検討する際の重要なポイントです。
優先株式と債券はどちらを選ぶべき?
優先株式を検討するとき、比較対象になりやすいのが債券です。
どちらもインカム収入を期待して検討されることがありますが、性質は大きく違います。
※債券も発行体の信用リスクがあります。
企業が発行する債券の場合、投資家は企業にお金を貸している立場です。
一方、株式投資では企業の所有者としての持分を持ちます。
債券では企業に利息・元本の支払い義務がある一方、株式の配当には同じ意味での支払義務はありません。
つまり、優先株式は債券と普通株式の中間と単純に考えるより、株式としてのリスクを持ちながら、配当などに一定の優先権が付与された商品と考えたほうが理解しやすいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
優先株式を検討するとき、最も注意したいのが配当利回りが高いからという理由だけで投資先を決めてしまうことです。
確かに優先株式には、普通株式より配当などについて優先的な権利が設定される場合があり、インカム収入を重視する資産形成では選択肢の一つになり得ます。
しかし、高配当であることと、投資リスクが低いことは同じではありません。
優先株式も株式である以上、価格が下落する可能性があります。
さらに、発行会社の業績や財務状況によっては、配当の取り扱いに影響が生じることもあります。
優先という名称だけを見て、元本や配当が保証されていると考えるのは避けるべきでしょう。
資産形成という観点では、優先株式を最初からポートフォリオの中心にする必要はありません。
まずは長期・積立・分散を基本としたインデックス投資などで資産形成の土台を作り、そのうえで配当収入を重視したい場合に、優先株式を追加の選択肢として検討するほうが合理的です。
投資で見るべきなのは、目立つ利回りだけではありません。
その利回りが生まれる仕組みと、背後にあるリスクです。
今日できることは、気になる優先株式を一つ選び、配当条件・議決権・転換条件・発行会社の財務状況を確認すること。
高配当という数字に飛びつく前に、その数字の意味を理解する。それが、長期的な資産形成で後悔しないための第一歩です。
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