- 1日(火)米8月ISM製造業景況感指数発表
- 4日(金)米8月雇用統計発表
- ウォーシュ議長の利上げ発言の余波
これまでの動き
先週の米国株は、週間ベースでは上昇したものの、週後半にFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策をめぐる警戒感が強まり、投資家心理が大きく揺れた1週間となりました。
先週末と先々週末の終値を比較すると、S&P500は7,674.37から7,711.76へ約0.49%上昇、NYダウは53,277.01から53,559.99へ約0.53%上昇、NASDAQ総合は26,180.46から26,402.42へ約0.85%上昇しています。
つまり、先週の米国株は下落したと捉えるよりも、週間では上昇したものの、FRBへの警戒から週末に勢いが鈍ったと見る方が実態に近いでしょう。
週初めは、AI・半導体関連株が売られ、NASDAQが0.8%下落しました。
NVIDIAは2.9%、Micronは5.8%、Broadcomは2.6%下落し、ハイテク株の比率が高いNASDAQを押し下げました。
しかし、27日には市場の雰囲気が一変します。
NVIDIAが発表した決算で、四半期売上高が962.2億ドルとなり、前年同期比で2倍以上に拡大したほか、今後の強い売上成長見通しを示したことで、AI関連株への期待が再び高まりました。
S&P500は0.72%、NYダウは0.20%、NASDAQは1.57%上昇し、特にNASDAQの上昇が目立ちました。
ところが、週末にはFRB議長ケビン・ウォーシュ氏のジャクソンホール講演が市場の流れを変えます。
ウォーシュ議長がインフレ抑制を重視する姿勢を示したことで、投資家の間では9月の金融政策に対する警戒感が強まりました。
市場では9月会合での利上げ確率が8月27日の35.4%から8月28日には55.7%へ上昇したと報じられています。
これを受け、8月28日はS&P500が0.25%、NASDAQが0.52%下落し、2年米国債利回りも上昇しました。
今回の1週間から見えてくるのは、現在の米国株市場がAIの成長期待とFRBによるインフレ抑制の綱引きになっていることです。
NVIDIAの好調な決算は企業業績の強さを示す一方、PCE価格指数が3.7%に達していることは、FRBが金融緩和へ簡単に転じられない可能性を示しています。
特にNASDAQのような成長株中心の市場では、金利上昇が将来利益の現在価値を押し下げるため、FRBの政策や米国債利回りが株価を左右する重要な材料になります。
したがって、今後の米国株を考える際には、株価指数だけを見るのではなく、FRBの金融政策、PCEなどのインフレ指標、米国債利回り、NVIDIAを中心とするAI関連企業の業績、そして現在の株価が企業の利益成長をどの程度織り込んでいるのかをセットで確認することが重要です。
先週の米国株は週間では上昇しましたが、週末にはFRBへの警戒が強まりました。
これは、今後の相場が単純なAI株高だけではなく、企業業績が強い一方で、FRBがどこまでインフレを抑え込む必要があるのかという金融政策とのバランスによって動く局面に入っていることを示しています。
米国株を長期保有する投資家にとっては、短期間の上げ下げだけで判断するのではなく、企業は利益を伸ばしているか、FRBの政策は株価に追い風か逆風か、現在の株価はその成長を織り込んでいるかという3つの視点から市場を見ることが、冷静な投資判断につながります。
これまでの動き
FRB議長発言の影響がどこまで広がるか注視しましょう。
今週の米国株では、9月4日に発表される米雇用統計が最大の注目イベントとなります。
特に、28日のFRB議長ケビン・ウォーシュ氏の発言を受け、9月の金融政策に対する市場の見方が変化しているため、今週発表される雇用・景気指標がS&P500やNASDAQの値動きを左右する可能性があります。
28日時点では、9月のFOMCで利上げが行われる確率が35.4%から55.7%へ上昇したと報じられており、FRBの金融政策が米国株の重要テーマになっています。
まず9月1日には8月のISM製造業景況指数が発表されます。
ISM製造業指数は米国製造業の景況感を示す代表的な指標で、50を上回れば一般的に製造業の拡大を示します。
前回値は55.6で、新規受注指数は56.7、価格指数は71.1でした。
今回は単純に指数が50を超えるかだけでなく、新規受注が強い状態を維持しているのか、価格上昇圧力が続いているのかがポイントになります。
景気が強く、同時に物価上昇圧力も強い結果になれば、FRBがインフレ抑制を優先して金融引き締め姿勢を維持するとの見方につながり、米国債利回りの上昇を通じてNASDAQなど成長株の重しとなる可能性があります。
9月2日にはADP民間雇用統計とFRBのベージュブックが予定されています。
前回のADP雇用者数は4.4万人増でした。
ADPは米雇用統計を予測する際の参考材料になりますが、政府が発表する非農業部門雇用者数とは調査方法が異なるため、ADPの結果がそのまま金曜日の雇用統計に反映されるとは限りません。
同じ日に発表されるベージュブックでは、米国各地域の雇用、賃金、消費、企業活動、物価などについてFRBが把握している経済状況を確認できます。
そして今週最大のイベントが9月4日の米雇用統計です。
市場予想では8月の非農業部門雇用者数は約5.8万人増、失業率は4.1%とされています。
一方、7月の非農業部門雇用者数は2.3万人減となり、事前予想の8.5万人増を大幅に下回りました。
そのため8月の雇用統計では、7月の弱さが一時的だったのか、それとも米国の雇用市場が本格的に減速しているのかが注目されます。
雇用が市場予想を大幅に上回れば、米国経済の底堅さが確認される一方、インフレが下がりにくくなりFRBの利上げ観測がさらに強まる可能性があります。
反対に雇用が弱ければ景気減速への懸念が高まりますが、FRBが利上げを急ぐ必要性が低下するとの見方から、米国債利回りが低下しNASDAQなどの成長株が買われる可能性もあります。
つまり今回の雇用統計では、良い数字なら株高、悪い数字なら株安と単純に判断するのではなく、その数字によってFRBの金融政策に対する市場の予想がどう変化するのかを見ることが重要です。
さらに9月2日にはAI・半導体関連企業のBroadcomの決算も予定されており、市場予想ではEPS3.24ドル、売上高294億ドルとされています。
NVIDIAが直前に強い業績見通しを示しているだけに、BroadcomのAI関連事業がどの程度成長しているのかもNASDAQや半導体株を見るうえで重要な材料になります。
今週の米国株を考えるうえでは、AI企業の業績とFRBの金融政策という二つの軸を意識することが重要です。
AI関連企業の業績が強ければ株価を支える材料になりますが、インフレや雇用が強すぎてFRBの利上げ観測が高まれば、金利上昇が成長株の評価を圧迫する可能性があります。
したがって今週は、9月4日の雇用統計は9月15〜16日に予定されているFOMCに向けた重要な判断材料となるため、今週の米国株では株価そのものだけでなく、雇用統計の結果を受けた米国債利回りとFRBの利上げ観測の変化まで確認することが重要です。
まとめ
いかがでしたか?
エヌビディアの決算クリアで、AI関連銘柄や半導体セクターは再び息を吹き返したものの、ジャクソンホール会議でのウォーシュ議長の発言で今週以降の警戒感がより強まってしまいました。
米長期金利の動向に注目しながら、2026年後半の投資戦略を練らなければなりません。
