- 5日(月)米9月非製造業景気指数発表
- 7日(水)FOMC議事要旨
- 米長期金利上昇局面での投資戦略
これまでの動き
先週の米国株は、指数によって結果が正反対だったことをご存じですか?
先週はナスダックだけが上昇し、S&P500とダウは下落しました。
しかも分かれ目になったのは企業決算ではなく、利上げをめぐる金利の動きでした。
今日は、なぜそうなったのか、そして今から何に注意すべきかを、数字の根拠つきで順番にお話しします。
終値から計算した週間騰落率は、ナスダックが約プラス0.5%、S&P500が約マイナス0.3%、ダウが約マイナス1.3%でした。
では、なぜ週の前半は下がったのでしょうか?
理由は長期金利です。
28日の月曜、米10年債利回りは5.23%まで上昇し、2007年以来の高水準を付けました。
背景には、ホルムズ海峡封鎖が長期化して原油価格が大きく振れていることがあります。
金利が上がると、預金や債券の魅力が増して株が売られやすくなり、企業の借入コストも膨らみます。
しかも米国では、FRBが9月の会合で3年ぶりの利上げに踏み切ったばかりです。
月曜はS&P500が0.8%下落し、7,683.69で引けました。
ここまでは、よくある下げ相場に見えます。
ところが、週の後半に流れが変わります。
水曜に発表されたPCE価格指数が予想より落ち着いた内容で、10月の利上げへの賭けが後退しました。
そして決定打が、金曜の9月雇用統計です。
非農業部門の雇用者数は2万9,000人増と、予想の8万4,000人を大きく下回り、失業率も4.1%から4.2%に上がりました。
普通、悪い経済指標が出れば株は下がります。
でも今回は逆でした。
景気が弱ければ追加の利上げが遠のくと、市場が受け止めたからです。
10月の利上げ確率は、1週間前の約69%から発表前に約28%へ下がり、発表後はさらに低下して最新では約22%とされています。
この結果、金曜はナスダックが1.2%上昇し、取引中には過去最高値を付けました。
ここで一つ疑問が浮かびます。
同じ米国株なのに、なぜダウだけがこれほど弱かったのでしょうか。
9月の月間成績を見ると、ナスダックは1.9%上昇、S&P500は0.5%下落、ダウは4.3%の下落でした。
高金利は借入に頼る企業や景気に敏感な銘柄に厳しく、AIや半導体など一部のハイテクには資金が集まりやすいという二極化が起きているのです。
つまり今の相場は、全面高でも全面安でもなく、利上げの影響を受けやすい株と受けにくい株で明暗が分かれる局面だと言えます。
では、今から買うべきでしょうか?
ここは断定できませんが、判断材料は三つあります。
次回のFOMCが10月27日から28日に開かれること、日々の値動きが大きいので購入を分けて平均取得単価をならす方法があること、そして次の雇用統計が11月6日に発表されることです。
年内にあと一度の利上げが残るという見方もあり、相場がまだ安定したとは言えません。
最後に、今日できる行動を一つだけ提案します。
それは、あなたが持っている銘柄やETFが、大型ハイテク中心なのか、景気に敏感な中小型株中心なのかを確認することです。
これだけで、次に利上げのニュースが出たとき、慌てずに済みます。
これからの投資戦略
積極的な行動は控えましょう。
今週の米国株は、経済指標がほとんど出ないのに、実は一番だまされやすい週だと言われています。
理由は、材料が少ないぶん、たった数本のニュースで相場が大きく動くからです。
今週見るべきものは三つだけです。
長期金利、原油、そして水曜のFOMC議事要旨です。
この三つの数字を押さえれば、ニュースに振り回されずに済みます。
まず長期金利です。
先週金曜は雇用統計の悪化で利回りが下がりましたが、水準はまだ高いままです。
そこで今週は国債入札が試金石になります。
水曜に10年債を390億ドル、木曜に30年債を220億ドル売る予定で、買い手が弱ければ利回りが跳ね上がり株の重しになります。
次にインフレです。
直近の8月分CPIは前年比3.4%、コアは2.4%で、コアは2021年3月以来の低さでした。
ところが、ガソリンだけは前年比27.4%も上がっています。
今週は新しい物価指標がなく、本命のCPIは翌週の10月14日です。
だから今週は、原油が物価の先行きを占う主役になります。
10月2日の終値は、ブレントが102.25ドル、WTIが91.11ドルでした。
金曜の下落は、EUが戦略備蓄の放出を検討し、G7やIEAの枠組みで合計1億バレルの放出が議論されたことが理由です。
ただ、サクソバンクの分析では、いま足りないのは原油より軽油などの精製品だそうです。
バークレイズも10〜12月期のブレント予想を115ドルに引き上げました。
ここで気になるのが中東情勢です。
ホルムズ海峡は戦前、世界の石油の約5分の1が通る要衝でしたが紛争で輸送が崩れました。
足元では中東の原油輸出が戦前に近い水準へ戻ったとされる一方、米国とイランの交渉は不透明なままです。
木曜には、中国の製油所が10月の石油製品輸出を止めたとの報道や、米軍の増派報道でブレントが4ドル以上跳ね上がりました。
つまり、交渉が進むか、海峡で事件が起きるかで、原油も金利も株価も一気に動く状況です。
そして水曜の午後2時(米東部時間、日本時間では木曜午前3時)に公表されるのが、9月FOMCの議事要旨です。
FOMCは9月に3年ぶりの利上げを決めました。
ただし、議事要旨は9月会合の記録なので、先週金曜の雇用統計は含まれていません。
その雇用統計は、雇用者数が2万9,000人増と予想の8万4,000人を大きく下回り、失業率は4.2%に上がりました。
10月に利上げする確率は、1週間前の約69%から発表前に約28%まで下がり、12月の利上げ確率は66.1%と報じられています。
市場は、10月は据え置き、12月に追加利上げという見方に傾いているわけです。
ほかに、月曜のISM非製造業景況指数は予想が55.1、金曜はミシガン大学の消費者信頼感とデルタ航空の決算が控えています。
ここまでを三つの分かれ道で整理します。
入札が好調で議事要旨が穏やかなら、金利が落ち着いて先週の戻りが続きやすくなります。
入札が不調なら、利回りが再び上がって調整色が強まりかねません。
原油が急伸すれば、インフレ懸念から利上げ観測が再燃します。
ですので、今日の行動はひとつだけです。
水曜夜の入札と議事要旨を、カレンダーに入れておいてください。
AI関連銘柄や半導体セクターなどのようにボラティリティの高い相場では、少しの材料でも大きく動きますので、慎重な判断が求められます。
まとめ
いかがでしたか?
特定の銘柄が急騰すると、それに乗り遅れて損をした気持ちになるのは分かります。
しかし、それはあくまで投機であり投資ではありません。
あなたはギャンブルがしたいのですか?
それとも資産形成がしたいのですか?
あなたの投資目的が問われる期間となるでしょう。
